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東海沖地震があるのは間違いないとして、それが何時、何処にいるときに起こるかというのは運のよしあしだろう。仕事に行っているときにおこれば、多分助からない。助かったら助かったで、今度は死んでしまいそうな位忙しくなるだろうが。
本書は災害時における人間心理に焦点をあて、危険下ですべき行動とは何かを検証する。しかし、パニックと本能の区別は何処にあるのかわからない以上、行動はおのずから制限があるような気がしてならないのだが。
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パニックはなぜ起こるかを説明しつつ、パニックはそれほど起こらないと主張している。書いてあることは割と当たり前。学んだことは、「パニックを怖がるあまり、事態を過小に伝達すると、人々の危機感が薄まって、危険を増す」ということだけ。
定年間際の教授の本は、論旨が不明瞭になり、主張が方々に散ってしまう。これは、きっと、知見が多すぎて、あれもこれも書きたくなってしまい、結局、何を言いたいかわからなくなってしまうたまでと推測。
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[ 内容 ]
地震や洪水、火災などの災害に遭遇した時、身をまもるために素早く行動できる人間は驚くほど少ない。
現代人は安全に慣れてしまった結果、知らず知らずのうちに危険に対して鈍感になり、予期せぬ事態に対処できなくなっている。
来るべき大地震のみならず、テロや未知の感染症など、新しい災害との遭遇も予想される今世紀。
本書では災害時の人間心理に焦点をあて、危険な状況下でとるべき避難行動について詳述する。
[ 目次 ]
プロローグ 古い「災害観」からの脱却を目指して
第1章 災害と人間
第2章 災害被害を左右するもの
第3章 危険の予知と災害被害の相関
第4章 「パニック」という神話
第5章 生きのびるための条件
第6章 災害現場で働く善意の力
第7章 復活への道筋
エピローグ 「天」と「人為」の挟間に生きる人間として
[ POP ]
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☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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防災に係わる職場にいるし、緊急時の人間行動や災害心理というのは比較的とっつきやすい分野だったので何となく手にとって読み始めたのだが…。
読んでいる途中で東日本大震災が起こった。
当然本の話題に上がっているのは今まで起きた地震・起こるであろうと言われている地震等の災害の話。(それだけではないが。)
とはいえ語られている内容が、現在進行中の事象とあいまって、途中読み進むのが非常につらくなった。
東海・東南海・南海の複合地震が起きたときの災害規模や災害後に起こる人々の心理状態の変遷の話はあまりにも今回の震災と近似していて背筋が寒くなった。
テレビで映るその状況が、死者行方不明者の規模が、本の内容と合致するのだ。
そして、災い防ぐ「防災」ではなく、災い減らす「減災」という表現をしていたのが印象的であった。
確かにそうなのだ。
災害は起こるもの。それを無くすのではなく、被害を最小限に抑える方向へ発想をシフトするべきなのであろう。
余談だが、震災初期の頃ニュース取材で著者の教授がコメントをしていたが紹介のされ方が「メディアの専門家」。(少なくとも私にはそう聞こえた)
…おや??この方は災害心理の専門家では??
意図してか知らずか。
この頃“専門家”が乱出していたのでついつい目に付いてしまった。
本とは全く関係の無い話だが。
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今回の地震で初めて手に取った職場の蔵書。
一般に向けて非常に分かりやすく書かれています。
2004年の本なので、もちろん今回の地震を想定した書かれ方はされていませんが、阪神大震災の綿密なデータに基づいた記述は説得力があります。
海馬とは、気になる名前だと思っていたら、ギリシア神話のゼウスの兄弟で海の神ポセイドンが乗る海馬ヒポカンポスからとられたとのこと。
器官が尾の形に似ているためだそうです。
実際には、神話とは離れた現実的な体内器官であるため、PTSDと海馬の気質的変形は、精神的な外傷が脳に変化をもたらすという心と生理との緊密なつながりを示し、心身一元論の証明になるとのこと。
戦争体験者や被災者、暴力・性的犠牲者は、高確率でPTSDになりやすく、自殺、孤独死を招くということ。
被災者の抱える漠然とした不安、不眠、無気力さ、怒りっぽさを、緩和していくことが今後大切になることでしょう。
人類が、世界中に住んでいることの理由として、科学雑誌「サイエンス」のライターの説として、「旅への憧れが今日の人類を形成した」と挙げておきながら、著者は、「災害や病気や構想、侵略などから逃れる避難のため。逃れ続けているうちに、祖先は世界中に広がり土着した」という説を掲げています。
なるほどと思いました。
通常の、平和な時に読むと、さらっと読み過ごしてしまいそうですが、今回の大地震を経た後に読むと、どの項目に書かれていることも、納得のいく内容ばかり。
一読する価値のある本だと思います。
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この感想を書いた夜、NHKの「クローズアップ現代」にちょうど著者がコメンテーターといて参加していました。
東京女子大学教授として紹介され、終始穏やかな物腰柔らかい方でした。
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政府はパニックを恐れているらしい。パニックってそんな簡単に起こるものではないらしいぞ。政府関係者にはこの本を読んで欲しいな。
政府がパニックを恐れるあまり嘘をついているんじゃないか、必要なことをしていないんじゃないかっていう政府への不信感が買いだめパニックに繋がった。
政府は、津波や地震の情報は多少不確かであってもすぐに公開している。その事で一定の成果を上げているのに、原発関連の情報はほとんど表に出さない。
パニックを恐れているのではなく、情報を公開することによって自分たちの手落ちが明らかになることを恐れているのではないか。
けれど誤った秘密主義は、結局高く付く。
大災害は社会に大きな変化をもたらす。良い変化にするために、私に何が出来るだろう。これからどう生きればいいんだろう。
参考文献
ロバート・リフトン 広島で被曝した人にインタビューした
『台風とのたたかい 青函連絡船遭難体験記録』
『洞爺丸遭難記』 淵上満男
『原爆体験記』 北山二葉
心身一元論 PTSD 海馬の縮小
ハーバート・サイモン 愛他行動は、それを行うものの利益に反するが、社会全体の利益を高める。
『死の淵からの生還 エストニア号沈没 そして物語はつくられた』ケント・ハールステット
ジュディス・ハーマン 『心的外傷と回復』
被災して、生き残った人達に「生きていてくれてありがとう」って伝えたい。
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長文レビューを書いたのに、うっかり消えてしまってショック・・・。
過去の災害を取り上げているので、ケーススタディーになる。
この本で気になった点をいくつか。
①人が逃げ遅れるのは、災害に対して鈍感にできているから(これを正常性のバイアスという)
②災害からの復興には、被災社会システムの活力が大いに影響(←日本は今回立ち直れるのか・・・?)
③過去の大災害からのみごとな復興には、有能なリーダーがいた。(←日本は・・・)
④パニック神話(←恐れられているほど、パニックは起きない)
自明なものをやたら抽象的に書いているので、ざっと目を通して読む程度でよいかと。
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日本語には、英語のサバイバーに対応する言葉がない。…このような被害感覚は、"生きのびた罪"を、災害を生きのびた人びとに、強く意識させるのではないか…
タイトル、テーマとは外れるが、この言葉に考えさせられた。
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今回の震災と照らし合わせたりして
非常に興味深く読んだ。
パニックはそうはおこらない。
沈着冷静がサバイバーになるために効果的。
震災後の復興は合理的に進むので体力がもともとなかった地域はなくなることも考えられる。
などなど。
海難事故や停電、ペスト、テロなど
いろいろな事象がとりあげられていた。
結局は情報を自分でいくつも照らし合わせて判断するしかないのだ。
八潮は地盤が砂ではなくがれきなどの産業廃棄物、
つまりコンクリ的なものらしく液状化はまぬがれるらしい。
東京湾が震源だった場合高いところにすぐ逃げる。
とかいまのうちに考えておくだけでも有効だよね。
あと災害持ち出し袋。
それぞれ作ろう。
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政治家、役人、マスメディアや指導的な立場にある人びとは、すでにこのような知識をお持ちのことと思うが、実のところ欠如しているのではないかと心配でもある。
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新幹線の移動中に読みました。
パニック神話の部分など勉強になるところ多い。
しっかりした計画と、沈着冷静な行動が大事。
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実はパニックは起こりにくい。人間とはむしろ、危機を前に切迫感を抱かないようになっている。
パニックを起こさないためには、情報提供の中身、方法の吟味が必要。
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仕事がらみで読みました。2004年の初版ですが、今、平積みされています。わかりやすく書いてあります。しかし、東日本大震災のケースであてはまるのか・・・?
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災害時ほとんどの場合、人はパニックにならない。その場の雰囲気に流されず、冷静な判断をすることで生き残れる。その際、1時間後に生き残る可能性を高めるために今リスクを取ることも時には必要。
災害は社会の新陳代謝を早める。優れたリーダーシップで思い切った改革をするべき。
今の日本はどうか。
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地震・伝染病・テロ……現代社会を脅かす災害は枚挙にいとまがない。本書は、災害を乗り越えるために必要な事を、心理学を通して考察したものである。
まず災害が発生した場合の人間の心理状態を分析し、被害軽減のための諸条件を検討する。そして、災害が過ぎ去った後の、復興へ向かう道についても言及している。
災害時の人間心理を中心に据えながらも、災害後の行動や災害と社会の関係性など、災害と人間について広く考察がなされており、災害について考える入門書として位置づけられる。特に、主に終盤にかけて述べられている筆者の災害観は、東日本大震災を経験した今こそ強く心に響くものである。
「心理学」と題されてはいるが、学問的に突っ込んだ内容は少ない。また、理論の根拠代わりに事例を頻繁に用いていたり、論の展開が曖昧な部分も多いなど、厳密に読もうとすると引っかかる所がある。
しかし、実際に発生した災害の事例が数多く詳細に紹介されており、読み物としては面白い。難解な内容も特にないため、新書らしく誰にとっても読みやすいと言える。