紙の本
6つの物語
2017/11/04 15:54
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:まさ - この投稿者のレビュー一覧を見る
社会に出て数年、恋愛や結婚、独立や転職。色んな節目をそれなりに経験して、毎日をそれなりに送っている。人生を悟る程歳を重ねてはいないし、でももっと若かったころみたいに無鉄砲には飛び出せない。
そんなもだもだした思いを抱えている方に、ふとした何かを気付かせてくれる、癒しにつながるきっかけをくれる、そんな6つの飴玉のようなお話。
紙の本
「癒し」と「ホラー」の境目に見えるもの
2002/02/17 13:17
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:楓 - この投稿者のレビュー一覧を見る
6つの物語が収められている短編集です。どれも、ホラーの要素を持ちながら、著者いわく「時間」「癒し」「宿命」「運命」についてかかれたものです。
中でも印象深かったのは表題作の「とかげ」でした。「私」は恋人「とかげ」にプロポーズをするのですが、その時「とかげ」が秘密を打ち明け始め、二人はお互いに傷を隠し持っていたことに気付きます。思い出を語るように二人は身らの過去を語るのです。最後にはちゃんと「癒し」が用意されているのですが、痛い話ではあります。
傷を癒す、ということは痛みをともなうものですから、当然、そういった苦しみや暗さも作中にはきちんと書かれています。しかし、文章の雰囲気は決して暗くはなく、透明感というか、ある種の悟りのようなものすら感じる気がします。洗練度は☆5個であらわすと文句なしに★★★★★ですね。この頃の吉本氏の文章は、すでに安定してきており、安心して読めます。
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投稿者:カノン - この投稿者のレビュー一覧を見る
とかげの秘密とわたし(主人公)の秘密。傷を抱えながら生きてきた二人。それでも愛することを忘れない二人は強いと思う。
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人に許可されたいと思う人たちの話。
でも本当は許可なんて要らないんだよ。でも許可がないと自信が無いよね。許可してください。
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この本のテーマは「癒し」とあるが、確か「癒し」が流行語大賞となったのは、1999の事であり、しかし今でも十分癒されると思うぞ、俺は。
1996に発刊された文庫版においては短編6編を収録している。確かにいつもの吉本ばなな節なのではあるが、今作はどちらかと言えばおとなしめの印象を受けた。だが、単純に大人しいわけではない。どことなく、吉本ばななが持つどことない奇妙さ(表現が曖昧ですまない)の底上げが成されているように思える。この表現では上手く伝わらないと思うが、タイトルにわざわざ『とかげ』(平仮名)を選んできたことを考えると伝わるかと思う。
この6編の中では、やはり表題作である『とかげ』が一番面白かった。男である主人公が、女の子に対して「とかげ」という愛称を付ける、その女の子とのやりとりの物語だ。これが「とかげ」という言葉を上手く言い得た話で、引き込まれてしまった。
加えて、今作で思ったのが、『TUGUMI』の時ほどではないが、人物がはっきりと浮き彫りになっている。特に『大川端奇譚』では、吉本ばなな作品にしては珍しく多くの人物が登場するが、その一人一人が主人公との関わり方を異にしていて、その辺りが面白かった。幾分、強引なところもあったが。
結局のところ、俺は吉本ばななが好きであり、その変わった一面が今作に集められた気がする。後書きにテーマとして書かれている、「時間」と「癒し」、「宿命」と「運命」であるが、どうも安っぽくなりがちな昨今。それにしては、自然とこのテーマが、それでも深く扱われていて、つまりは主人公の思想史となるのだが、おかしな主人公に同調してしまうのだ。
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「キムチの夢」が良い。ただそれだけのことだけど、そういう日々の中の自分の中の転換って感動するよなあ。
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中3の時購入したもので、初めての吉本ばなな。
短編集。帰るべき駅で降りなかったサラリーマンの話が好き。
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吉本ばななさんの作品の中でも、特に好きな作品です。糸を一本一本紡ぐような繊細な表現の中に、ハメをはずす瞬間のタイミングが非常に上手いです。
私は特に「新婚さん」が好きですね。
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短編小説。題材のひとつひとつは決して綺麗ではないけど、切なさや美しさを感じた。読むたびに別の発見がある本。
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キョンキョンがとかげを読むというCDもありましたねぇ。とかげは何度も何度も読む事で心のひだにじわっと染み込んでくる。きっと著者が意識してそうさせてるのかもしれない。今までの作品だと、がむしゃらな行動が何かしらの流れを生み出したりしてるのだけれどとかげではもっと抑えたトーンで進む。それが内に入った暗さ(悪い意味ではなく)を出してるように思う。
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短編集、マリカのソファーでの文章力に惹かれ、読みやすい+友人の勧めもあったので読んでみました。女性独特の表現方法、というよりは著者の描写によるものが多いんでしょうね。透明であり、未知と現実とのリンクがある…そんな印象を受ける面白い作品でした。薄いので読みやすさも良い^^
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前にキッチンを読んだけどそれとはちょっと違うテイスト。でもなんかこの人独特のちょっと冷めたというか、距離をとった見方が特徴的。
きっとこの人は世の中が視えてるんだろうなぁと思います。内容的にも、その話の主人公の行動なども理性だけでついていこうとすると??がつきそうですが、それ以外のもので見るとなんとなくわかる気がする。
すごい漠然としていて普通捕らえられない世の中の仕組み、流れみたいなものをこの人はわかっているんじゃないかなぁと思わせる人です。やっぱただものじゃないですねぇ。
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短編集。夏休みの課題で読んだのですがはまった。短編なので一気に読めるし、普段の生活の中で『癒し』ってかんじることがなかったけれど、なんとなく『こういう形』みたいなものを捉えることが出来ます。
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短篇集。ああ都会の女ー。みたいな。中でも、電車の中でホームレスがキレイな女の人にかわる、その話がとっても印象的で感動したっけ。
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彼女の本はあまり読まないんだけど、ある一文が気に入って手に取ってみた。
数を読んでないのであれこれ言えないけど、平和に悲劇的だな、と思った。悲劇的要素がなんだか浮いてしまってる感じ。
嫌いではないけれども、沁みてもこなかった。