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2012年1月21日読了。シリーズ最終巻。焼き討ちにより廃れたキングズブリッジだが、スペイン~フランスを流浪する旅から戻ったジャックとフィリップ院長は、野心家ウォールランやウィリアムとの競り合いの果てに大聖堂を建立する・・・。最後の最後まで難局が繰り返し発生するが、「神に祈ったら奇跡が起きた」「スーパーサイヤ人化して敵をぶっ飛ばした」というやり口ではなく、主人公たちが正々堂々と・整然と打開策を考案して物事に当たる様が非常に心地よく、面白い。国王側か叛乱者側か、権力を握る側に着きその利益に沿えばどのような暴力・乱暴狼藉も許されるが逆張りをしてしまうと破滅にしかならないのは騎士だが、教会・聖職者たるものは、権力に擦り寄らず、「神と民衆のため」いう自らの存在意義を主張していくことでないと、結局生き残ることができないってことか。
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現代の視点で大聖堂を見ると膨大な費用、歳月、労力等を費やしてまで建立する必要があったのか大いに疑問である。但し、非信の徒が読んでもいつの間にか大聖堂の建設が必然であったかのように錯覚させてくれる。只惜しむらくは、何故最後に大聖堂を登場させなかったのか?勧善懲悪的な結末ではなく愛も憎しみも全て、歴史の大きなうねりの中に消し去ってほしかった。18年後に書かれることになる続編への布石か?話が変わるが登場する老若男女がのべつ幕なしエールを飲んでいた。私はエアコンもつけず、汗まみれでラガーを飲み続けた。□\(^_^
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ヨーロッパキリスト教的二項対立、勧善懲悪、
波乱万丈なよく出来た面白い群像劇。
マクロな面白さは文句なしなエンターテインメント。
一部人物を最後まで追いきれていないところは残念。
艱難辛苦の波状攻撃が、よくもまあ次から次へと。
相似パターンの繰り返しにややしんどくなる。
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その評判とともに長さと重さも聞いていたので躊躇していたがなんのなんの、読み始めたら1日1冊ペースで3日で読了。考えてみればケン・フォレットがそんなに読みにくい話を作るわけなかったのだ。
12世紀のイングランド、シャーリング州キングズブリッジという小さな村を中心に、大聖堂建立(再建)に関わる様々な人々の人生が交わる長い長いお話。
12世紀のイングランド、修道院、スティーブンとモードといえばエリス・ピーターズの「修道士カドフェル」シリーズと同じ舞台設定。しかし私の愛読するかのシリーズはピーターズ女史の死亡により未完なので、スティーブンとモードがどうなったかを覚えていなくて(世界史でやった筈なんだけど忘れた)、私も登場人物と同じく目の前で行ったり来たりする権力に翻弄された。
登場人物は皆人間らしい欠点を持ち、多くの諍いは和解で終わることなく、理不尽にも悪人は報いを受けず、この時代ならではのあっけなさで人は死んでいく。
それでも最後には信仰が人を救うのか。
天に向けて立つ大聖堂は、その問いに答えるために作られ、今もそこにあるのだろう。
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中世という時代ではあるけど、そこに生きる人々の愛や情熱、野心や嫉妬などは現代と変わらない。さまざまな人間の織りなすドラマに引き込まれ、一気に読んでしまった。
立派な建物がいくらでもある現代ならともかく、中世において大聖堂の他にはこれほど壮麗な建築物は他にない。大がかりな機械もなく、高度な数学の知識もなく、人々が貧しく飢えて死ぬことも珍しくない時代に、どうしてこんな建物が造られたのか、と作者はそこに引きつけられたと言う。たしかに、現代でも優美な姿を見せてくれる高い尖塔を持つ大聖堂は、何百年も昔にはさぞかし人々の畏敬の的になったことだろう。
これでもかと降りかかる幾多の障害にも負けず、人々の夢であった大聖堂は完成する。そして複雑に絡み合った愛憎のドラマにも終止符が打たれる。
この時代の女性は慎ましやかで控えめなのかと勝手に想像していたが、アリエナやエリンなど、たくましくて強い女性が登場し楽しませてくれる。年を重ねても色あせないアリエナとジャックの熱愛がほほえましかった。
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おもしろかった。
なんか都合よく展開する場面も多々あったけど、エンターテインメント小説としては最高。
ドラマのDVDを借りて見てみようかなーとも思うけど、おそらく小説の方がずっとおもしろいような気がするのでやめておきます。
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1,100年代の中世イギリスを舞台に大聖堂に関わる人々を軸とした約半世紀に渡っての物語。
この時代を背景とした様々な話が述べられているが、まず物語として面白い。
そして私にはこの時代についての知識がほとんどないこともあり、物語を通してどんな社会だったのかとか、一般人からキリスト教徒や貴族などがどんな生活をしていたのかとか、この時代についていろいろ描かれているのも興味深かった。
話としては基本的には単純に善悪に分かれての善の側からの話に近いものではあるものの、主人公側の人達がそれぞれ100%善というわけではなく、それぞれ多少なりとも負の面も持っているというのも個人的には納得感があった。
大聖堂の作りに関する説明がところどころにあったが、流し読みしたこともあり良くは理解できてない。
でも、ちょっと興味があるので、いずれ大聖堂の構造に関する図解付きの本でも探して読んでみたい。
あと、話の最後の方でマーサがどうなったのか書かれてなかったので、それが少し気になる・・
凄く長い本ではあるけれども、日本語訳もうまくできていてすんなり読めた。
良い本だと思う。
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リドリースコットにドラマ化されたベストセラーの最終巻。中巻を読んでから、かなり期間が空いての完読になりました。
歴史的には11世紀イギリスの王位継承を原因とする内戦を軸に、地方領主と教会、教会内部の抗争を織り交ぜながら、大聖堂建築を進める修道院長と建築家一家 を描いています。
内戦の結果、最終的に王位を継承したヘンリー2世は、フランス・アンジュー家、ノルマンディー公も相続しており、それが後の100年戦争の遠因にもなるので、複雑な中世のイギリス・フランスの歴史を知るにも参考になります。
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あまりにアップダウンが激しい物語で、下巻は疲れた。笑
中巻までで、作者がかけてくるトラップも掴めてきたので、
「来るぞ来るぞ…ほら来た!」ってな感じで、大分驚きは少なかったけれど、それでもやっぱり最後まで勢いをもったまま読み終えました。
絶望に包まれていた街の成り行きを見届けました。
物語が終わった今、その街で暮らしていた愛すべき人々との別れが切ない…
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中世のヨーロッパなんて、興味もなければ知識もない。
いくら面白いと言われているとはいえ、そんな自分に
読めるのかと思ったが、そんなの心配いらなかった。
大聖堂の建物の構造については、いまいちよくわからないところも
あったが、そんなの問題ない。
しかし疲れた。アリエナも、キングスブリッジの人々も、
とんでもないクソ野郎のウィリアム・ハムレイに怯え続けたかも
しれないが、読んでる自分も怯え続けた。
これでもかと理不尽な災いが降りかかる。フィリップ達はしかし克服する。
登場人物はどれもみな魅力的だ。悪役は憎たらしいったらない。
後半ともなると、涙涙の連続。
久々に、強烈に面白い本に出会えたと思った。
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最終巻になってもまだまだまだまだ波瀾万丈。
ウィリアム&ウォールランの悪行コンビが大活躍。
最後の最後までフィリップたちを悩ませる。
それでもそのたびにフィリップたちはなんとか苦難を乗り越え、ついには悪行コンビを打ち破り、物語はフィナーレを迎える・・・。
大変面白い小説だった。
次から次へと襲いかかる災厄とそれに立ち向かう主人公たちの勇気と機転。
最終巻になってもそれは変わらない。
それはいい。
しかし、若干やりすぎなのではなかろうか。
おそらくは作者の読者サービスのたまものだとは思うが、最後の最後まで波乱が起こる。
そのため、ラストがあっさりしすぎな感がある。
これだけの枚数を費やしてきた物語だけに、ラストはもう少しじっくりと描いてほしかった。
また、あれだけ苦しめられたのだからウィリアム&ウォールランの没落ももっときっちり書いてほしかった。
だって、「民衆のデモが発生しました」で、次の部で縛り首だよ。
たとえば。
司祭殺害が大問題になって、誰かを罰さなければいけなくなって、じゃあ実行犯だよねとウィリアムに罪をかぶせようとする。ウィリアムはいろいろ手を回してそれを逃れようとする。ついに罪状と罪人が宣せられる日がやってくる。王はゆっくりと読み上げる。罪人は・・・ウィリアム!罪状は司祭殺害!慌てふためくウィリアム。泣きわめき、許しを請うも認められず、牢に連れて行かれる。牢の中では過去に殺害してきた罪のない人たちの亡霊に悩まされ、ついには縛り首の日を迎える。
これくらいはほしかった。
今まであれだけやられたんだもん。
まぁそんな文句もこの物語世界にどっぷりとはまったからで、この小説が面白いのは間違いない。
読んでよかった。
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焼き討ちのさなかに殺害されたトムを引き継ぎ息子のアルフレッドが大聖堂の建築を引き継ぐが工事を急ぐあまり落成式典のさなかに天井が崩落する事故がおこる。
教会と国王の葛藤は、もつれ遂にはトマス大司教の殺害に至る、一旦、武力による勝利にみえたこの事件も大司教殉教という大衆の崇拝すなわち教会の勝利へ姿を変え、これに連座したウィリアムもついには絞首刑となり大団円となる。
下巻は国家権威と宗教の対立というおおきなプロットに積み上げられたものが織りなされスケールの大きな物語となっている。
ケンフォレットの期待を裏切らない一冊である。
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司馬遼だ宮城谷だで歴史小説をわかった気になってはいかんということですな。
物語性もさることながら、知的興奮度で言ったらこちらが上かも。
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数十年に渡る苦闘の末にフィリップ院長とアリエナは平安を得て、ジャックは二代に渡る大聖堂建設を成し遂げる。戦乱の世は終わりルネサンスの息吹を感じつつ物語は終わりを告げる。
英国版『樅の木は残った』ですな。
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ものすごいボリューム&スケールの本。
物語の中で何十年も時が過ぎるのに、最後の方に出てくる処刑所の情景は、最初の処刑のシーンを彷彿とさせる。歴史のつながり・・というか、因果を感じる。。
中世イギリスで、大聖堂(の建設)をめぐる、愛憎、権力争い、謀略、でもたまに庶民の暮らしなんかも出てくる壮大な物語。
とにかく、登場人物たちの「めげなさ」がものすごい。
フィリップ院長は、いつの間にかすごく応援してた。(たまに負けず嫌いなところやしたたかなところが出てくるのがよい)
アリエナはあんまり好きになれなかったけど、くじけない度はほんとうにハンパない。
好きな登場人物も、好きでない人物も、なかなか強烈な印象を残してくれました。
読んだことないような話で、面白かったです。
女性対するあれは・・そういう時代の話では避けて通れないものとして、目をつぶりました。