紙の本
主観という暴力
2008/11/21 21:31
5人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:mayumi - この投稿者のレビュー一覧を見る
名家で起こった大量殺人事件。数十年を経て、解き明かされる真実。
一体、誰が真実を語っているのか?
芥川龍之介の「藪の中」を思い出していた。
多分、事件の当事者が個々に自分の見たもの、感じたことを語っていくという形が呼び起こしたものなのだろう。ここには、「藪の中」のようなわざと混乱させるような作為はない。この小説の中にあるのは、人は自分の見たいものを見て、自分の聞きたいものを聞き、自分の都合のいいように感じるという、暴力的なまでの主観があるだけだ。
だからこそ、犯人は存在していながら、存在していない。
事件を起こし、物語の中心となったはずの犯人は、いつの間にか物語の核から弾き飛ばされる。
それが悲劇なのだ。
作中でさるすべりの花が印象的に語られる。
百日紅ともいわれる、さるすべりはこの悲劇を象徴していると思った。
儚く散ることもかなわず、忘れ去れるまでに咲き続ける花。
切ない物語だった。
紙の本
引き込まれる
2013/06/27 00:09
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:どめす - この投稿者のレビュー一覧を見る
状況の描写と、登場人物の心理の描写と両方があり、話に引き込まれた。
小説内の情景を写真で調べると、いっそう引き込まれる。
読んだ後に、読んでよかったと思えた。
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:のきなみ - この投稿者のレビュー一覧を見る
幻想的な雰囲気が漂うミステリー。
百日紅の紅と不思議な詩が差し込まれそれが印象づけられている。
ずっと謎が謎を呼んでこんがらがっていくストーリーが後半一気に解きほぐされていくのは快感。
電子書籍
読み進める程に苦しくなる
2015/10/12 16:43
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:しま - この投稿者のレビュー一覧を見る
素晴らしいミステリーでした。
もうこの言葉につきます。
読み進めれば進めるほどに、事件のヒントが散りばめられ
なんとも不安な気持ちになる。
そして読む手を止められなくなる。
やはり恩田陸さんは素晴らしいなぁ…
読み終わった今はこの鮮やかで艶やかな手さばきにうっとりしています。
本当に楽しかった…
投稿元:
レビューを見る
すごくゆっくりじわじわと真相に近づいていく感じがドキドキしました。知りたい、知るの怖い、でもやっぱり知りたい!みたいな。読み終わってしまうのがもったいなかったなぁ。
ひとつの出来事に対して複数の人たちがいろんな角度から語っていくのは面白いですね。口語文で進んでいくせいもあって実際に自分が話を聞いているようでした。やっぱり恩田陸は大好きです。
投稿元:
レビューを見る
もやっともやっともやっとぉぉぉぉーー。なんか結局よく分からなくて、気持ち悪いよー…。それがこの作品の持ち味なのかもだけど。
投稿元:
レビューを見る
旧家の大量毒殺事件の記憶と記録。読む前より読んだ後の方がわからない本。数々の証言から読者が自分なりの真相を紡ぐってのがおそらく正しい読み方。ところで一個だけ教えて久代ちゃんってだれ!
投稿元:
レビューを見る
'08.09.15 読了
最後駆け足で読んでしまったので消化不良気味。
再読の必要がありそう。
投稿元:
レビューを見る
本屋さんであおり文句に負けて購入。
恩田さんって鬱々とした地に着いた文章書きますよね。
恩田陸といえば、もう「六番目の小夜子」の印象をどうしても拭えないです。
処女作で完璧に世界観を確立してしまったような。
今回は、巻末の字体や装丁へのこだわりを書いた「ユージニアノート」がおもしろかったです。
いや、本編もかなりおもしろかったですよ!
投稿元:
レビューを見る
やー、なんか、いっぱい視点変わるからもっかい読まなきゃ内容が把握できない笑
恩田陸読破の道はまだまだ遠いです。
投稿元:
レビューを見る
数十点前のひとつの凶悪事件をそれに直接的・間接的に関わる人たちの回想でつづられていく物語。
毎日のようにいろんな大犯罪がおこる今の感覚からか、事件じたいはさして変わったものではない。
でもすごく美しくそのぶんぞくっとするものに仕上がっている。
誰が真実を話したの?
誰も話していない気がする。
そして真実は?いったい何だったのか。
ゆっくりゆっくり終わっていった。
多くの謎も残して。
なにもかもが解決するなんてありえない。謎が残るから美しい。
投稿元:
レビューを見る
一つの事件をめぐってさまざまな人の証言をインタビューするような形になっている小説です。
見えそうで見えない事件の全体図が深みにはまらせてくれます。
投稿元:
レビューを見る
丸窓さん、お誕生日のお祝い、毒入りジュース。
どんどん真実に近づいていくような、いや離されているような、物語。
でも、そういうもんだよねー。
投稿元:
レビューを見る
恩田陸である。
このネトーッとしたというかドローッとしたというか、物語の冒頭、季節の移ろいを指して「じわじわと境界線を侵食するように季節が塗り替えられていく。曖昧に、未練がましく、ぐずぐずと」とか「むっとするような…不穏な雨雲は、…卑屈に忍び寄り、のたりと身体をもたげて町に這い上がってくる」という表現があるけれど、全編まさにそんな感じ。
32年前の暑い夏、嵐の午後、地方の名家・青澤家の祝宴で出された飲み物に毒が盛られ17人が殺され、ひとり盲目の美少女が生き残る。
犯人が遺書を残して自殺した後も、事件関係者達はある一人の人間を疑っていた。
そして事件からおよそ10年、関係者の証言を集めた本が出版され、それに呼応するように消される証拠…。
物語は更にその20年後。今一度、同じ道程をあるインタビュアーが辿る。
かつて本を出した満喜子、取材を手伝った後輩の学生、青澤家に出入りの女性、事件を追った刑事、満喜子の兄、文房具屋の若旦那、近所の子どもだった人、満喜子の本の編集者…、彼らが語る事件は同じものを語りながらそれぞれ異なる。
妙に細かなところと曖昧なところ。ヌメッとした落ち着かなさ。
事件の様相だけでなく、事件を語るそれぞれの人の人生と人となりを描いて、結末へと向けての物語の盛り上がりは上々。
ただあやふやなものを辿っている不安定さが貫かれた故、いささか最後はあっけなし。
投稿元:
レビューを見る
期待感が大きかった割にはそれほどの感動を受けませんでした。
盛り上がりに欠ける印象。ホラーとミステリの要素あり。