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人は何故山に登るのか。
人は何故生きるのか。
すごかった。すっごかった。言葉が出ない。
作品としては1997年のもので、作中のエヴェレスト登攀歴も最新のものじゃないと思うんだよね。調べれば分かるだろうけど。いかに8000m級の山ってのが狂った場所かっていう。6500mがぎりぎりだって書いてあったかな。高度順応をいくらしても、それ以上はいるだけで体力が削られるって。
マロリーが登頂したのかしてないのかはやっぱり分からないままなんだね。そのマロリーのカメラがネパールの登山道具屋で売られているのを、たまたま見つけた日本人カメラマンが主人公。山に登ることしかない山屋の話。
羽生のことはまあ好きにはなれいないけどなぁ。別に好かれるための登場人物でもないからいいんだろう。
作中の山屋たちが覚えていただろう「ひりひりした感覚」を疑似的にでも味わえたような気がしました。すごかった。
ナラダールとアン・ツェリンが好きです。
抜粋。アン・ツェリンの言葉。
「誰であろうと、自分の人生を生きる権利がある」
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山に取り憑かれた男が、未達の無酸素単独南西壁に挑む迄の流れを丁寧に作り込み、エヴェレストに対する登山家の憧れ恐れが良く分かります。そして、圧倒的で緻密な描写でエヴェレストの迫力が伝わり、その尋常では無い過酷で死と隣り合わせの登山を読みながら体験する事が出来ました。
ジャンル問わずお勧め出来ます。
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人が普通に生活できない領域へ踏み込むこと、そこに依存していった男たちの物語。
高山でのしんどさ、限界を迎えた人間の心理描写が秀逸。
●気に入ったフレーズ
人は両手に荷物を持っていたもうそれ以上は持てない。いったん両手の荷物を捨てなければ次の荷物を抱えられないからね。
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エヴェレスト南西壁の冬期無酸素単独登頂を狙う男の物語。10年も前に読んだ本だが、読んだ時の気分の昂揚は忘れられない。ヒリヒリするような描写で、共に挑んでいるかのような気持ちにさせられる。
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この小説を読んだら、山に登りたい!でも死にたくない!と思うはず。ストイックな山岳小説だがミステリー要素もあり面白すぎてページが止まらない。
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日本の3000m級の山は、夏の間に登ったことはあるけれど、冬の8000m級のエヴェレストというのは想像を絶する世界でした
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極限の状況下での登攀の物語。本書は過酷な登攀シーンを読みたいが為でしたが期待どおりに終盤、主人公であり、読者目線の人である深町を通して堪能できました。分厚い本の、もっと多くの割合で生死の狭間から、ビバークなり一時の休息が繰り返させるシーンをもっと読みたかったです。
中盤のマロリーのカメラを巡るクライムサスペンス要素は過酷な登攀シーンを待ちわびる心境から正直どうでもいいという気持ちになりながら読みました。羽生の元恋人との絡み要素はいいですね。
ともあれ、山岳小説はいいですね。小説の内容とは関係ないですが、合本版は重くて好きになれません。
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1058Pにも及ぶ山岳長編作品、GW最終日に読了となりました。
意外にもこれが著者の作品初読み。
山岳物は数冊読みましたが、タイトル通り最高峰の作品だと思います。
確かに長いんですが、全く飽きることなく読み終えました。
本作はフリーのカメラマン・深町誠の視点で描かれており、深町が主人公なのですが、本当の主人公は間違いなく天才的クライマー・羽生丈二。
敢えてネタバレをすると羽生はエヴェレストで命を落とします。
そんな羽生の半生を深町の視点で描いた作品と言っていいと思います。
孤高の天才クライマー・羽生が目指すのは前人未到のエヴェレスト南西壁冬季無酸素単独登頂。
世界最高峰のエヴェレストで過去に登頂者はいるものの難易度が高い南西壁を、冬季(12月以降にベースキャンプを出発)、たった一人で、酸素ボンベを使わずに登頂を目指す前人未到の挑戦はまさに死と隣り合わせの登攀。
なぜ羽生はそんな無謀ともいえる挑戦を行うのか?
そして、深町はそこで何を見るのか。
副題である神々の山嶺にあるように、その頂きは人間がいる世界と神々の世界の境。
人はなぜ、山に攀るのか?
真っ直ぐな山男達が己と向き合う感動物語。
内容(「BOOK」データベースより)
1924年、世界初のエヴェレスト登頂を目指し、頂上付近で姿を消した登山家のジョージ・マロリー。登攀史上最大の謎の鍵を握る、マロリーのものと思しき古いコダックを手に入れた写真家の深町誠だが、何者かにカメラを盗まれる。行方を追ううち、深町は孤高の登山家・羽生丈二に出会う。羽生が狙うのは、エヴェレスト南西壁、前人未到の冬期無酸素単独登攀だった。山に賭ける男たちを描いた、山岳小説の金字塔、待望の合本版。
著者について
●夢枕 獏:1951年、神奈川県生まれ。東海大学文学部日本文学科卒業。77年「カエルの死」で作家デビュー。89年『上弦の月を喰べる獅子』で日本SF大賞、98年『神々の山嶺』で柴田錬三郎賞を受賞。著書に『陰陽師』『キマイラ』『闇狩り師』『サイコダイバー』など人気シリーズ多数。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
夢枕/獏
1951年、小田原生まれ。東海大学卒業。『上弦の月を喰べる獅子』で第10回日本SF大賞、『神々の山嶺』で第11回柴田錬三郎賞、『大江戸釣客伝』で第39回泉鏡花文学賞、第5回舟橋聖一文学賞、第46回吉川英治文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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とにかく登山家たちの登頂への思いは想像するより遥かに強い。
エベレストに三度挑んだジョージ・マロリーが登頂できたのかは、マロリーが亡くなって何十年も経った今でも謎のままである。
ネパールの地で、マロリーのカメラの謎と羽生という登山家を追う深町。
ある意味山岳ミステリーとも受け取れる作品。
主人公の深町自身は、ちょっと情けないというかふがいないというかそんな印象を受けるが、その経験を通して強く成長していく。
そこら辺も見所のひとつだと思う。
マロリーが残した名言「そこに山があるから」は、正確には「そこにエベレストがあるから」である。
なぜか日本語ではエベレストを山と訳されるのだが。
実在の登山家マロリーを題材にしたこの作品を読んだら、マロリー登頂の謎が余計気になってきてしまった。
映画化もされてるようなので、そのうち観てみようと思う。