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ムーアの法則のような技術的なイントロから、セカンドマシンエイジにおける価値の測り方(GDPの限界)のような経済学的な話、政策提言まで多岐にわたっていて読み応えのある良書。
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『機械との競争』を著したエリック・ブリニョルフソンとアンドリュー・マカフィーのコンビによる著作です。内容は前著と同じですが、前著は小論といった文量であったところ、本作はより詳細かつ網羅的・構造的に書かれているため、前著の完成版と位置付けることができます。あるいは、前著は本著のダイジェスト版とも言えます。また、本著は前著の前提知識を必要としません。
コンピュータを中心としたテクノロジーが社会に影響を与える「セカンド・マシン・エイジ」においては、2つのべき分布が存在します。一つはムーアの法則でよく知られた技術の発展の度合いであり、もう一つは所得分布です。
べき分布はどの区間を取っても同じ線形を見せ、微分して傾きが1の所に立つと、後ろはほとんど平坦である一方、前はほとんど垂直の崖のようです。そのため、過去を振り返ってもほとんど変化が起きなかったように思えるのに、控える未来は急激に変わることが予想されますし、その急変の内容は容易に予想できません。所得分布については、セカンド・マシン・エイジにおいては高スキル労働者の需要が高まり資本家の力が強くなりますが、それよりも重要な事象は、限界費用が限りなくゼロに近づくことやグローバル化、ネットワーク効果などが相まって勝者総取り(スーパースターの台頭)になることです。実際に、アメリカにおいては1人あたりGDP平均と所得中央値は1975年ごろまでは歩調を同じくして上昇しているものの、それ以降は平均値は上昇し続けていますが中央値は横ばいあるいはやや下降しています。
このような時代にあっては、政策は何よりも教育に重点を置くこと(そして個人としてはとにかく勉強すること)、加えて法整備により起業のしやすさや知財関係を整えること、負の所得税のように最低保障と労働インセンティブが共存する再分配をすることが求められます。そして、「機械は人から労働を奪うか?」という問いに対しては、「機械とペアを組む」ことが解であり、そのための教育が特に求められます。
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蒸気機関の登場がザ・ファースト・マシン・エイジであり、まさに訪れようとするシンギュラリティがザ・セカンド・マシン・エイジである。冒頭のグーグルカーのくだり、GDPの形骸化の指摘は視座に富む。
しかし後半の提言は意外に基本に忠実で現実的なもの。経済学の王道をゆくものだ。ベーシックインカムに対する労働の真価の議論は興味深いながらも、未知の時代の対応策がこれでよいのか、多少の疑問は残る。
どういった時代が訪れるのか概観する中盤まではよく現状がまとめられている。その答えは、筆者は一つの考え方を提示しているものの、我々自身がこれから模索していくことになるのだろう。
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技術関連全ての本に言えることだけれど、その道の最先端の人は本を書かない、書く暇なんてないから代わりの者が書く。すると、著者も読んだだろう何冊かの関連書籍のどこかで読んだような話にしかならない。
この分野で書き手が不足しているのか知らないし、私自身どんな内容の本が読みたいのかわからないけれど、これではないという本ばかり。
だから人工知能の分野って言う程、そんなに進展してないか人材難かと密かに思ったりする。
「これから」というのは便利な言葉です。
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人工知能についての学びだけではなく、
過去のコンピューターの歴史、進化と合わせ、
今後の世界が読み解けます。
様々チャンスを得るヒントが詰まった1冊です。
おすすめですよ!!
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ファースト・マシン・エイジを産業革命後の世界と置いた上で、現代をセカンド・マシン・エイジと称する。機械は人間の労働を奪うのか。代替されない労働とはどのようなものか。個性に秀でたスーパースターが総取りをするようになる世界について。
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普段からITの現場で働いているとあまり感じないが、あらためて客観的に見ると、凄まじい時代に突入してしまったと衝撃を受けた。
想像の産物でしかなかった技術が次々に実現されていて、今後もその流れはしばらく続くと思う。
そのさまをもっと見ていたい。
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2019/07/09再読 広島市図書館
2018/06/ 丸善
□8章 GDPの限界
●音楽が統計から消えた
●レオンチェフ 人間と馬
●人間は,非線形処理ができる最も安価な汎用コンピュータ NASAの報告書
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「ムーアの法則」=Digital発展の鍵
1年半ごとに半導体の性能が倍増する
指数関数的進化 ①処理②記憶③通信(81)(87)
例外は「バッテリー」 電子品ではなく化学
増加率は一定だが、増加分は激増 特に期間の後半
人は指数関数=非線形をイメージ出来ない
「社会革命」へ ←産業革命から (152)
①Digital化 copy自在 限界コストただ
②Network化 時間・空間を超える
Global化 世界最適へ
「補完イノベーション」が不可欠=社会変革難しい(168)
①社内体制 業務改革 組織・人事・運営の改革
vs既得権・守旧派
②社会体制 規範 制度 体制の改革
→秩序を破壊し、社会的混乱も
③日本は成功体験・社会意識から既存秩序維持が優勢
Digital時代の三つの勝ち組(220)
①高いスキル労働者
②資本家
③スーパースター
→負け組は一般労働者
分配は賃金所得から資本所得へシフト
所得分布の変化(263)
「正規分布」 厚い中間層
「べき分布」 格差の拡大 ウイナーテイクスオール
☆翻訳が素晴らしい! 村井章子氏
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グーグルのハル・バリアンは「どんどん安く豊富になるものにとって必要不可欠な存在となる」ことを奨めるが、データ・サイエンティストや携帯電話向けのアプリ開発者は、まさにそれである。また遺伝子配列の解明が進むにつれて、遺伝子関連のカウンセラーも必要不可欠になるだろう。
現在すでに利用可能なオンラインの教育リソースから最大のメリットを享受できるのは、まちがいなく、やる気満々の自学者である。一例を挙げるなら、12歳で大学の講義を受けている子供がいる。この年齢の子供が大学の講義にアクセスするなど、従来は考えられなかったことだ。その一方で、こうしたものにとんと関心を示さない子供もいる。これでは、両者に大きな差がつくことは目に見えている。
楽観論では、人間と機械は戦ったりしない。人間と機械はクラウドを介して融合し、「技術的特異点(technological singularity)」に到達する。技術的特異点とは、コンピュータ科学者にしてSF作家のヴァーナー・ヴィンジが1983年に提唱した概念で、「人類はじきに、人間を超える知性を創造するだろう・・そうなったとき、人類の歴史はある種の特異点に到達し、ちょうどブラックホールの中心部における空間と時間のように、知性の進歩はもはや人間には見通すことができなくなる。そして世界は、人類の理解をはるかに超えるものとなるだろう」と説明されている。
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社会の発展度合いを計測する『社会開発指数』により人類史を捉えると、まさに現代は重大な転換点にある。その原動力となるのが
・デジタル化
・コンピュータの『指数関数的』高性能化
・『組み合わせイノベーション』
である
コンピュータの高性能化は、チップの処理速度がおよそ18ヶ月で2倍になる『ムーアの法則』が知られる。これは科学者の努力によるものであり、ここまで加速度的な進歩が起こる産業は他にはない
人工知能の発達は目覚ましい。これまでは、機械により雇用がなくなることは『労働塊の誤謬』とされていたが、今後は分からない。人間も馬のように、産業界から排斥される可能性もある。
人間特有の能力として、『複雑なコミュニケーション』『パターン認識』『非定型の肉体労働』が挙げられる。特に、人間にとっては簡単な運動でも機械には困難な『モラベックのパラドクス』が興味深い。
デジタル産業の強みは、情報伝達、複製のコストがほぼゼロの『限界評価ゼロ』経済であることだ。今や世界中のデータベースにアクセスでき、最高のアルゴリズムを無限にコピーして、しかも無料で利用できてしまう。
デジタル経済は人々の生活を劇的に豊かにしておきながら、その費用は極端に低い(あるいは無料で提供されるため)GDPに反映されない。音楽産業がCDからストリーミングに転換した時、まるで産業が丸ごと消えてしまったかのような現象が、統計上では起こる。
デジタルサービスの場合、物理的な障害がほとんどないため、すぐにグローバル化する。そして、一番が市場を独占し、その流れが『ネットワーク外部性』により加速する『ウィナー・テイク・オール』の世界である。
その結果として、桁違いの所得格差が生じる。今後、大金持ちとなる可能性のある人間は
・エンジニアなどの高スキル労働者
・システムを所有する超資本家
・芸術、スポーツなどの分野のスーパースター
である。
機械によって代替されにくい人間の特徴として、『発想』が挙げられる。機械は答えを出せる一方で、問いを立てることが出来ない。今後の教育には、ラリーペイジやジェフべゾフなど、名だたる天才が受けたとさらる、個人の自発的な好奇心を伸ばす『モンテッソーリ教育』が効果的かもしれない。
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前著の「機械との競争」とあわせて購入しました。まず全体的な感想から言うと、申しわけありませんが正直ほとんど感銘を受けませんでした。その証拠に数ページ読むとつまらなくなって読むのをやめてしまったので、全ページ読むのにかなりの期間を要しました(苦痛に感じたときもありました)。タイトルにも書いたように、ページのかなりの部分が他人(もしくは他の研究機関)の調査結果や発言を紹介しているため、「あなた自身の考えは何なの?」というのがよくわからず、自分の意見を表明しているときも、誰それはこういう調査結果を発表しているが私も同意する、という程度の意見表明です。その意味では、学術論文の第1章で既存研究についてのLiterature surveyというのを書きますが、あれが最後まで延々と続いている本、という印象でした。ためしにあるページをランダムに選んで、著者以外の人(組織)の研究調査から参照してきた部分にマーカーを引こうとしたら、ページ全部に線が引かれてしまいました(笑)
また私は経済学の知識はそれなりにあるつもりなのですが、こと経済学に関する記述については恐ろしく表面的と感じました。想像するに、Googleでキーワードを入力して、出てきた論文のサマリーだけを読んで、ざっと記入しているのではないか、と感じる箇所が多々ありました。またやたらと「ノーベル経済学賞を受賞した・・・氏」が述べている(→よって間違いない)、というような形で経済面での自身の主張を補強していますが、例えばミルトン・フリードマンの発言のいくつかが、全くの間違いであったことは後世彼自身が認めていますし、ノーベル賞受賞者だから全部正しいということはありません。むしろ、やたらとノーベル賞受賞者の発言ばかりを持ち出すところに、著者の経済学の知識のなさをなんとか「権威」で補強しようという意図が見え隠れしていました。頑張って全ページ読みましたが、残念ながら最後まで読んでも星2つの評価は変化しませんでした。