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夏がそこまで来てるというのに、季節外れですが『雪密室』を読みました。
あまりに面白かったので、W杯イングランド戦そっちのけで、夢中で一気読みしてしまいました。
鍵のかかった離れのラウンジに死体。本館との間には一面の雪。雪と鍵による二重密室。
テーマはタイトル通りです。本格ミステリの王道です。
でも、まるで土曜ワイド劇場みたい。読んでる最中、ずーっと頭に映像が浮かんで、大人の愛憎ドラマを見てるようでした。
キレのある会話と写実的な臨場感が本のページをめくらせる。
死体の状況は、誰がどう見ても自殺なわけです。それを必死に他殺だと言い張って聞かない法月貞雄。彼は警視です。休暇で冬の月蝕荘を訪れている招待客の1人です。その息子が推理作家で名探偵の法月綸太郎。彼は東京にいます。
彼らを含むキャラが全員立ってて、個性を放ち、よく描き分けられてます。
特に篠塚真棹(まさお)。彼女が抜群に良い。彼女だけで外伝を別に書いて欲しいくらい。
それから、冒頭に置かれた「引き裂かれたエピローグ」がじつに効果的です。
出生の秘密、暴かれざる過去、表の顔と裏の顔、…など。
シンプルでよく計算されたパズルのようでした。
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新雪に囲まれた離れでの殺人。
舞台は本格。トリックは、あっと驚くほどではない。
いい息子をもつと幸せだ、というお話。
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作者と同姓同名の素人探偵(本業小説家)、法月綸太郎初登場。父親の法月警視が信州の山荘で密室殺人に遭遇するものの困惑し、自宅で執筆中の息子に泣きついて雪国の現場まで呼びつける。この作品では父親法月警視と息子綸太郎のやりとりが、ドライで良好な父子関係を表わしていて気に入っている部分。
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初期の密室シリーズ第二段。かなりオーソドックスなトリック先行型に近い味わいを持つ。少し筋が多岐にわたるためにゴチャゴチャ感が残るが、それでも素直ないい作品だと思う。冒頭の思わせぶりなシーンとラストのどんでん返しもいい感じだ。
それでもこの作品のよさは、名探偵・法月綸太郎の父が主役であり、また綸太郎の出生の謎が埋め込まれているところにあるように思う。この後どのように展開されるのかわからないが、シリーズの冒頭を飾るという意味では、抑えておきたい作品だと思う。
少し名探偵が身近になった感じがするな、これを読んでから。あっと驚くエンディングを見せる「頼子のために」も理解しやすくなった気がする。
PS)
作中「シド・バレット」が出てきたのが驚いた。薬物中毒の例としてだが・・・。
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作者と同名の探偵が活躍する法月綸太郎シリーズの一作目。
密室状態の離れに発見者の足跡が一筋しかないという不可能的状況。
少し反則気味だが、スマートな解決法でため息が出ました。近頃、ぶっ飛びトリックばかりだったので正統派なミステリーを読み、満足した。古典と現代を結ぶ架け橋の一冊といえる。
主人公の設定はやりすぎ感がある。魅力的な探偵像を創るならマイナス効果だと思う。もう少しキャラクターを大切にすべきかと。
今後どうなるのかは気になるところ。
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法月綸太郎の2作目の長編。
同名の探偵作家が活躍するシリーズの初舞台作品と言うべきか。
雪山の山荘、謎の宿泊客、雪と鍵で二重に閉ざされた密室殺人と、3大要素が揃った本格推理小説。
最後には読者への挑戦もついているという念の入れよう。
でもまぁ、あんまり面白くなかったなー。
まず法月警視のキャラが不安定。
他の登場人物もイマイチ書ききれてなくて、いろいろ説得力がないし何より区別が付かない。
それから何と言ってもトリックが弱い。
雪山の山荘パターンはそれこそ数多く輩出されているので、その中で印象に残ろうと思ったらそれはそれは大変なことなのだろうなぁ、と思った。
ところで本人のあとがきによると、この本で決着を避けた問題が『一の悲劇』に引き継がれているらしい。
たぶん法月親子の件だと思うのだけど、それは読まなくては。
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作者と同名の探偵(小説家だが)、法月綸太郎とその父親法月警視のコンビが登場するシリーズである。
『月蝕荘』に招かれた人々。彼らは、何故招かれたのか。そしてそこに住む人々の複雑な関係。招待された中に、法月警視もいた。
そしてその夜、『月蝕荘』で、招待主が殺された。いや、それは自殺にみえた。現場は月蝕荘の離れで、周りに降り積もった雪には新しい足跡が一つ。それは、異変を感じて離れを見に行った人のものであった。雪による密室。その一見、自殺に見える事件を法月警視は殺人であると感じていた。彼は自分の息子を『月蝕荘』へ呼び出し、その事件の解明に乗り出す。
登場人物が非情に多く、その割りに多くの人間の役割がない。さまざまに作り込まれた登場人物の背景も、直接事件とは関係のないものばかりで、ミステリやトリックを楽しむには無駄な混乱要素が多い。また、警察が来ているにも関わらず、調べればわかるいくつものポイントが、綸太郎氏が来るまで見過ごされているのも気になる。
先が気になるストーリー展開なだけに、密室のショボさやトリックの不在が残念だ。しかしこのシリーズ、なんとなく惹かれるものがあるのできっとまた次の作品を読んでしまうのだろうなぁ。
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ザ推理小説、超古典的(あってる?)、「雪が降って足跡がどうの...」みたいな分かりやすいネタ。
誰が読んでも楽しめる作品ではないかと。
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10月の9冊目。今年の181冊目。
初法月綸太郎氏。雪が降る中足跡をつけずにどうやって脱出したのか?これは密室の定番っちゃ定番ですよね。それをどのようなトリックで可能にするのか。本格の楽しみ方ですね。しかし、いかんせん描写がよくわからない。なんかごちゃごちゃしてよくわからなかったなーという印象を受けました。そして、もう1つ強い違和感を覚えたところもありましたね。ま、そこはあえて言いませんが、おそらく大半の人は違和感をそこに持つと思うので。
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法月綸太郎の『雪密室』を読了。本作は法月の二つ目の作品であり、同作家の以降の作品にも登場し続けることになる探偵の初登場作品でもある。ちなみに探偵の名前は作家と同じで、法月綸太郎である。ちなみに息子が探偵で父親が警視という設定は、エラリー・クィーンを意識しているものだと見て間違いないだろう。
殺人が起きた庭の離れは密室であり、その離れから本館までの雪上には死体の第一発見者の足跡しかない。いわゆる二重密室が本作の最大の謎。この二重密室、古典ミステリの時代からよくみられるものである。
トリックはさておき、本作はところどころ無理があると感じられた。例えば、まだ3歳の子供が一昨日の夜中にあったことや、その時間など覚えていられるだろうか。時計のことがまだ理解できないというのは納得できたが、デジタル時計の表示を形として覚えていたというのには流石に無理があるのではと感じた。
だが前作の『密閉教室』よりは全体的に謎が優しい。前作はどんでん返しが多すぎてどうしようもなかった。本作は「読者への挑戦」もある。厳しいところもあるが、解けないこともない。オレは無理だったが。
エピローグを二つにし、冒頭と最後に分けたのは面白いと思った。結末はどうなるのかを読者に気にさせ、最後まで読ませる手法の一つとして有効なのは間違いない。
ただ、まずは法月親子の父子関係を書いて欲しいというのはあった。このことに関しては、文庫版あとがきで触れられているが、本作では不透明なままに終わってしまう。それについては次作で描かれているようだが、それをあとがきで反省していると見られる法月には好感が持てた。
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初の法月綸太郎作品。
多少、ブツ切り感はあるけど、比較的読みやすかったです。
密室トリックもよくあるものなので
解明が苦手な私でもわかりました。
これから法月親子がどうなっていくか楽しみです。
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読了直後の率直な感想としては、
そうそう!これこそミステリー!!!
…といった感じ。
「読者への挑戦」とか、久々に見てワクワクしてしまいました。
このシリーズは続けて読みたいと思います。
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雪の離れで女性が殺されます。足跡は女性らしきものが一組しかない…という王道の密室モノです。「読者への挑戦」もありますし、雰囲気も悪くなかったと思います。
しかし、色々詰め過ぎてパッとしない印象ですし、作品全体のバランスも悪い気がしました。
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悲惨な家庭環境に育った子供の縮図と、積年の恨みの復讐が動機だと思います。そして、不可能犯罪と思われる密室殺人の計画を実行する。
※最初から仕組まれた事件なのか・・・。
法月綸太郎の長編第二作目にしては、よく練られしかも本格ミステリの王道を真正面から当たる作品に仕上がっていると思います
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記念すべき〈法月綸太郎シリーズ〉第1作(第1長編)は、法月貞雄警視自身の事件でもある。
著者があとがきでも触れているが、シリーズ第1作にこの父子関係がテーマとなる事件をもってきたことには、
著者のマニフェストが掲げられていることに他ならないらしい。
警視の言動がキャラクターとして定まらないのもあえてなのだそう。
さて、本作は冒頭に「白い僧院はいかに改築されたか?」とあるように、『白い僧院の殺人/ジョン・ディクスン・カー』へのオマージュでもある。
途中でそのネタバレもある。
状況は似ているようで、謎はより強固だったが読者に大ヒントをあたえる描写がpp.200にあり、そこで考えたことがだいたいあっていたため、結末にあまり驚くことはなかった。
著者は30年代お屋敷パズラーを主とする黄金時代に安穏と閉塞するつもりではないと心強い。
今後の作品でそれを証明しているのだろうか。しているはずだ。
ミステリ :☆☆
ストーリー :☆☆☆
人物 :☆☆☆
文章 :☆☆☆