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素直にさみしい、と思った。
もし私が誰かと生涯を、人生を分かち合えたとして、
老いて私が人生を終えたときに。
そのことで必要以上に悲しまずに、
また素晴らしいなにかを見つけて、誰かと出会って、
新しい幸せを見つけてほしい。
とは思うものの。
それが理想的だとは分かるものの。
でもさみしい。
それはさみしい。
さみしいけど、いつまでも縛り続けるのは愛でも優しさでもないから。
だからせめて、
いつか、別れの日が来ても、
それまで幸せだった、
あたたかい時間を分け合えた、
楽しみを喜びをあなたの中にある輝きを十分引き出せた、
と思えるような関係を作りたい。
思い出すだけで幸せな気分を思い出せるような、あたたかい存在になりたい。
と、忘れられた巨人を読んで思いました。
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と、読んだ当初(半年前?)は思っていたけど、しばらく経って印象は変わる。読み返していないのに、不思議。
夫婦って素敵と思う。マイプリンセス、だなんて。そんなふうに、思いやって、思いあって生きるのって、素敵。
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★2015年7月4日読了『忘れられた巨人』カズオ・イシグロ著 評価B-B+
長崎県出身で5歳から英国に滞在する日本人作家の作品。海外では大変評価が高いらしく、長崎出身と聞いて興味を持ったので、読んでみました。ノーベル賞を村上春樹よりも先にとるのではないかとの噂もあるらしい?!
様々な作風の著作があるようですが、今回は英国のアーサー王没後の時代の物語で、ファンタジー系。
翻訳のために、その作風は本当に日本語訳の通りかどうかは原作に目を通さないと何とも申し上げられませんが、うーん 評価は難しいところ。
ファンタジーとしての物語の出来は、上橋菜穂子さんの方がずっと上のような気もするし、雰囲気、書き込みの表現はイシグロ氏の方が数段上の感じ。おそらく、イシグロ氏はネイティブの英国人と同等の感性で、書いておられるので、日本人の私には理解出来ない世界、背景がやはりあると考えざるを得ません。そう、作品全体にイメージで言えば、英国の荒涼とした原野とどんよりした雲と氷雨という雰囲気が重く感じられると申し上げればお分かりいただけるでしょうか?
ブリトン人の老夫婦のアクセルとベアトリスは、村ではつまはじきにされて苦しい生活を送っていた。ある日、家を出て他の村に住む息子を訪ねようと夫婦は旅立つ。
その旅の途中で、若きサクソン人の戦士、ウィスタンと鬼に襲われて胸に傷を負い、村人から鬼に変わると怖れられ殺されそうになっている少年エドウィンと出会う。
国中を覆うクリエグという雌竜の吐く奇妙な霧によって、皆が昔の記憶を失う状況に、そのクリエグを追い求める旅になってしまう。その旅の道すがら、アーサー王の騎士で年老いた老騎士ガウェインに出会い、危ない目に遭いながらも、クリエグを遂に見つける。そして、、、
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さすが、イシグロ・カズオ。苦手なファンタジーっぽい
設定でも(ファンタジー小説ではないが悪鬼や雌竜、騎士などが出てくる)飽きさせることなく読み終えたよ。
ブリトン人であるアクセルとベアトリスの老夫婦が遠く離れて住む息子を訪ねていく道中の物語。
そこで出会うサクソン人の戦士ウィスタンに助けられた村の勇敢な少年エドウィン、のちにウィスタンと戦うことになるブリトン人のガウェイン爵。
そして重要なのは船頭。
果たして、ひとりづつ乗せて運ぶことになったけど、ちゃんと戻ってアクセルをベアトリスの元へ連れていってくれるのか…
物語は唐突に終わった感があるけど、あの終わり方がベストだと思う。
アクセル自身が多分、忘れられた巨人なのだろう。
(記憶は霧によってあいまいになっているが)
その霧は晴れることがあるのか、獰猛な生物、竜クリエグはウィスタンによって退治されたけど。
なぜ、息子は死んだのかも。
あいまいな部分は残るけど、その独特な文体がなんとも心地いい。
映画化されるみたいだけど、どんな映像になるのか楽しみ~
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忘却の幸せと罪。歪んだ平和に価値はあるのか?全てを知って憎しみあうが良いのか?最後の解釈どうしたものか…
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忘れずにいて、しかし赦しあうことは可能か。
忘却による安寧と、確執による復讐の連鎖と。
縦の論理と、横の倫理と。
仕事と、愛と。
偽の物語にすがることの愚鈍さと、真実を引き受けることの残酷さと。
誰もが引き裂かれている。矛盾を抱えている。
霧が晴れるにつれてさらに痛みは募る。
忘れることなく、
発狂することなく、
誇りを失うことなく、
人は矛盾に耐えていけるのだろうか。
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これはきっと何か大きな歴史や文化の暗喩の物語であるのだと思うのですが、それの意味するところをまったく理解できず、ひたすらに続く老夫婦のまだるっこしい会話やつまらない活劇がただただ退屈で仕方なかった。
訳者の責任もあるのかどうか?登場人物の吐く台詞がいちいち回りくどくて的を得ない。ベアトリス婆さんの台詞には憎しみを抱くほどだった(笑)。
っていうか、根本的な文化の違いなんだろうと思う。
読む人が読めばきっと良い作品なんだろう。。。
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カズオ・イシグロの作品は、シニカルさを感じるものが多いが、この物語では作家のメッセージが直球で届いた。
我々は、平和や愛を求めながら、憎しみや復讐を繰り返す。今も昔も変わらない。
真実と向き合い、時間がかかっても、問題を乗り越えられる時が来ますように。
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忘却の霧に支配された土地で、人々は過去が不確かなまま生活をする。
アクセルとベアトリスは仲のいい老夫婦だが、失くした記憶の向こう側に見える過去から、自分達には息子がいることを知る。そして息子の村へと二人は旅立つ。
二つの国の対立と、強引に解決した過去。
忘却の霧によって二つの国の国民は隣人への憎しみを忘れていたが、やがてその霧を払うために遣わされた男と、老夫婦が出会う。
面白かった。
忘れることで麗らかな関係を築いていたとしても、当然許しにはなっていない。
しかし、全てを思い出したあげくに発生するだろう対立の果てに何が待っているのかはわからない。
老夫婦は人生の終わりを見据えて全てを思い出す道を歩んだのだろうけど、若者にとっては悲惨な結果かもしれないと思う。
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数世代に及ぶ人類の歴史を一世代の夫婦の人生に収斂させた歴史物語なのだろうか。かつての民族間の激しい諍いも、現世を生きる者たちにとってその痛ましさは記憶にない。記録さえも時とともに霧にかすんでいく。邪悪な雌竜、現代ならば核兵器は、眠らされているものの、争いの抑止を担ってきた。その廃絶によってもたらされるものは、平和なのか、新たな諍いなのか。ないがしろにされる古き者ども。彼らは最期の十念を次代に遺すため、つとめて忘れ去ろうとしてきた忌まわしい過去、その巨大な犠牲を手繰り寄せる旅に出る。かな。
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イギリス。夫婦。騎士。竜。霧。記憶。ファンタジー。大切な思い出を忘れて、対立を忘れて、そんな生き方を変えたなら、のところで物語は終わる。夢のような話だった。
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これまで邦訳されたものは全て読んでいるカズオ・イシグロの最新作。作品ごとにテーマが異なるのは彼の作品の一つの特徴だが、今回はイギリス中世を舞台にした歴史ファンタジーという点に驚かされた。鬼や竜が登場し、アーサー王伝説を下敷きにした騎士が活躍するというこれまでの彼の作品世界からはかけ離れたものであったが、読み進めればいつもの彼の文学世界に浸ることができる。
彼が得意とする「信頼できない語り手」の文学技法は、登場人物数名の一人称で語られる本作でも健在であり、主人公の老夫婦の語り口を怪しみながら、どのような結末になるのかを期待するのは、彼らの作品の大きな楽しみ方であるように思う。
大傑作『私を離さないで』のような衝撃的な結末ではないが、序盤に張られた伏線が結末で解きほぐされ、じんわりとした暖かさを与えてくれる佳作。
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カズオイシグロ+ファンタジー、ということで非常な期待をしてしまった。ドラゴンや妖精、鬼が登場し、著者の作品につきものの「ぼんやりとした不安」みたいなのも感じさせつつ、解説にあるようにテーマは「恋愛」。思ったほどでもなかったなあ、というのは、読みながらなんとなくつっかえてしまう和訳のせいでしょうか…。
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不思議なガジェットが散見するのはイシグロの趣味?
未婚の娘にとって災難な草。僧が順に鳥に体を差し出す修道院。
卑劣な行為も残虐な情景も、品位を保った落ち着いた語彙で静かに淡々と語られるのがこの作家の持ち味だと思ってたんだけど、修道院を抜けた後の川で小妖精たちにベアトリスが襲われるシーンや、山羊を繋いだ後の三者三様に自己主張するシーンには、珍しく焦燥感があった。そういうシーンでも、闇雲にテンポアップするんじゃなくて、むしろスローモーションで細部まで描写するような筆運びが斬新。
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なかなかいろいろ考えさせる小説.竜だとか鬼だとかが出てきて,何のアレゴリーかを考えてしまうが,あまり考えない方が本のテーマには入っていけそう.
記憶(あるいは忘却)と赦しがそのテーマか.忘却がなければ赦しはないし,忘却をすれば記憶を取り戻したく思い,そして過去の記憶は赦しを導かない.この関係が個人対個人,民族対民族と多層的に絡み合っている.難しい問題.
私自身,あるいは日本ののまわりをみても,同じ問題はたくさんある.私が惚けてすべての過去が忘却されるとき,真のやすらぎが訪れるのか.
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英流ファンタジー?歴史?英雄譚?恋愛?結局どんな枠組みにも入らないというのがカズオ・イシグロのすごさなんだろう。400ページを超える分量を一気読みさせるストーリー展開と3人称と一人称を巧みに絡み合わせる技法で読み手をも絡み取られたような気がする。
ファンタジーや歴史ものには共通して、その世界観や場面展開を理解していないとついていけない。アーサー王が崩御してしばらく経った頃の魔法や竜が存在する、つまりなんでもありの場面設定がちょっとご都合主義的でもある。あのころのイギリス、ブリトン人やサクソン人の関係は勉強不足で分かりにくい。
霧が記憶を消していく中、最後まで残ったものは何だったのか・・・うわぁ~ネタバレしたい~