投稿元:
レビューを見る
英米7冠制覇、というなかなか凄い肩書きのSF小説。
原題Ancillary Justiceは、本著の用語を用いて直訳すると「属躰の正義」になるんでしょうが、「従属する正義」にも読めるのは本著の展開を示しているようにも。
あと、「属躰」ってなんだ?となると思いますが、本著を読む前に巻末の「付録 アンシラリー用語解説」を読んでおくと良いのかもしれません。
邦題&表紙を見た感じでは、SF艦隊戦なのかな?と思っていたので、地に足のついた展開はちょいと肩透かしを喰らった感がありました。
実はそれもあって、そこまで本著に引き込まれた感覚もないのですが、面白いと思ったのは「属躰」の設定・描写や、本著ラドチ世界の「男女の性別を一切区別しない文化」で、これは小説という活字ならではのやり方だと思います。
特に後者は、映像化されたら何の面白味もない風景になっちゃうはずなんですが、軽く脳がバグる感覚というか、結局この登場人物は男性なの?女性なの?と迷わされるというのが新鮮でした。現代におけるダイバーシティとかDE&Iとかの行き着く先はここなのかもしれませんが、どうなんですかね。ディストピアっぽいし。。
さて、本著を読了して感じたこと。
本著の「属躰」なのですが、これはAIと言って良いんでしょうか?性格は人間っぽいような気もしつつ、ただ表情に感情はあまり出ないと。描写の問題なのかもしれませんが、わかるようなわからないような。。
あと、これだけの技術を持っている舞台設定からすると、皇帝があーなるというのはまぁそりゃそうかという感想になる訳で、これはつまり、地位とか富とかを手に入れるとあーなると。。
万能感はあるんでしょうが、いやあんまり偉くはなりたくないモンですね(笑
続編を読むかはちょっと悩むところですが、主人公ブレクやセイヴァーデンにはちょっぴり感情移入した感じもあって、さてどうするか...。