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修行噺。
家元がかの立川談志で、修行するのが前座たちとなると、読まない手はないでしょう。
笑いの中に汗があり、苦さの中に軽みがあり・・・修行といえる経験をくぐってこなかった身としては、どこかで頭を下げながら読みました。
修行とは理不尽なもの。特殊な場所を除いて修行というものが姿を消しつつある今、その意味に思いをはせました。
本当は競艇選手になりたかったという、ど肝を抜く書き出しで始まりますが、これが、家元から二ツ目昇進を認められた後、紋付一式を買う資金稼ぎに競艇の大勝負に出るところに秘かにつながってるのでしょうか。そして、博打を打つ自分を静かに観察してるもう一人の自分。一流の噺家さんとしての鋭い目線だと思いました。
この辺で、ういういしい噺家さんの卵の部分はすっと消えていき、今の談春さんの姿が表に出てくるようです。ただ、その言葉が素直に心に入ってくるのは、あの少年が成長した姿と知っているからかもしれません。
伝統芸でありながら、今の世に切り込んでいく落語という世界に生きる方として、落語という文化を守り育て伝えていく組織による年功序列という仕組みと、それとは真逆の一人の天才・風雲児による実力主義についての思いを行間に感じたりもします。この本には、芸人さん(テレビ等で軽く言われる芸人さんではなく、芸に生きる人としての芸人さん)の魂のあれこれが見え隠れしているようです。
まぁ、そんなことはさておき、二ツ目昇進に当たっての談志師匠の言葉に触れるだけでも、一読して絶対、損はありません。お勧め。
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待望の文庫版化。表紙のセンスもいい。この本が単行本で刊行された2007年当時、談春はすでに家元になにかあったらどうする気かと、弟弟子である家元直弟子たちを見ていたことになる。今年の談志まつりで、兄弟子たちに預けられていた小談志、左平次は真打昇進となったが、まだ真打になれていない二つ目の直弟子がいる。この人たちが真打になるまでは落語立川流として結束していくが、その先は知らない、流れ解散だろうというのが4度目の談志まつりに出て感じるところ。
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緻密さと大胆さを兼ね備えた素晴らしい方。
それ故に師匠に愛され、兄弟弟子や仲間にも信頼される。
ボートレース好きとは意外でしたが・・・。
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ほとんど知らない、実はよくわからない。
立川談春という落語家は素晴らしい
エンターテイナーなのだろう。
師匠を越えるということは、弟子の成長は、
師匠を喜ばせること。なにかひとつ、
どこでもいいから、ひとつだけでも。
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立川談四楼『談志が死んだ』からの芋づる式読書。談四楼の本に登場する、談志を怒らせたという因縁の著作が折よく文庫化されたので、渡りに船という感じで手にとった。
談志流への入門、理不尽の続く長い前座修業、自分との戦いでもあるニツ目を経て、真打昇進=スタートラインまでを振り返って綴ったエッセイ。なんだかんだ言って談志にかわいがられていたんだなあ、というのが最大の感想。談志がこの本、そしてこの本を取り上げた談四楼の書評をみて、どういう経緯で機嫌を損ねたのか、いろいろ想像を巡らすのがおもしろい。
落語家の語りが調子よく読めないなんてことはないわけで、もちろん口調も中身もおもしろかったけど、内容の重み、深みではやはり兄弟子(談四楼、もっともこちらは噺家兼業作家としてのキャリアも長いけど)に一日の長あり。
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立川談春氏「赤めだか」読了。たけしさんと二宮さんのドラマの帯が付いていて、勢いで買ってしまったが、まぁ、面白いこと、面白いこと。「赤めだか」は落語家立川談春さん(只今「下町ロケット」にご出演中)の自伝的エッセイなのだけれども、いたるところに洒落が効いていて、とても粋である。
「赤めだか」で語られているのは、主に師匠である立川談志さんとのエピソードなんだけど、これがとてもとてもドラマチックに語る筆なのよ…、テンポがいい。余白というか、余韻を感じさせる文筆。面白いのに、考えさせられる。笑えるのに、胸を打たれる感じ。
師匠や仲間達への愛がそこにある感じ。
「赤めだか」では、「談志」の文字に毎回「イエモト」とルビがふられているのにも、リスペクトと共に過ごした年月を感じさせて、たまらなく心揺さぶられた。
辛い部分は殆ど書かず、滑稽を演じて書かれた文章はとても、心地の良いものだった。単純だけど、立川談志さんの落語が聞いてみたくなった。
「古典芸能」が、「伝統芸能」になっているのは、その芸能の核を受け継ぎながら、時代にあったものに変化させて遺しているからなのだな、というのも改めて感じた。私が歌舞伎を見た時に、「古くさい」と思わなかったのは、時代にあわせて上手く変化させているからだろうな。 伝統は繋がれてこそ伝統。
そんなことを感じたエッセイでした。
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形式や表向きを気にせず、物事の本質をつく談志は本当の意味で落語を愛し、後世につなげたいと思っていたのだと思う。
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買っちゃったよ!装丁が恰好良いんだもの。すぐ気付いたよ、読んだことあったって!
前 読んだときは談志も米朝さんも御存命。で談春の看板もまだ今ほど大きくなかった。
今やすっかり大看板。柄でもねぇ俳優なんて気取っちまいやがってよぅ。
もっともっと人前に出て来やがれ。もうあなたは赤めだかじゃないんだから。鯉でも竜でも成ってしまえ。
芸人は近寄りがたい狂気のある方が面白い。フラがありゃ最高だ。
フラは才能だと諦められたら、どこか愛嬌があると良い。
大事な場面で能天気な兄弟子を「頼りにならねぇ」と思った談春だが、
芸人として面白いのは兄弟子の方なんだよなぁ。
客は非日常や自分より下の人間を観に金払いに来るんだから。
だからその分 志らくの方が面白味がある。
「志ん朝なら成れると思った。談志に成りたいと思った。」幼き談春の感想だが、
直感てのは あながち当たってるもんだと思う。
実は談志も 志ん生に憧れて違うものに成った口だと俺は睨んでる。
前回のレビューでも書いたかも知れないけど、談春てのは極めて普通の人間なんだ。
でも非常識や非日常てのは常識を知らない人間には描けない。
米朝さんだって、談志師匠だってみんな真面目な普通の人間だけど、
何周も何周も回って極みに近付いた人だと思う。
ひょっとすると志ん生だって、そうなのかも知れない。
もっとテレビで面白い落語を聞きたいなぁ。
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落語家立川談春の前座時代を記したエッセイ。師匠の立川談志との関係など興味深い内容で面白かった。現在もっともチケットの取れない落語家と言われ、ドラマ出演などもしている談春のバックボーンに談志の影響が大きいんだなと実感した。
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面白かったです。噺家さんが書いただけあって頭の中で音読してもスラスラ入ってくるというか、語呂がいいというか、心地いい文章です。所々、分かりにくい箇所があるのもご愛嬌で。
読んでると落語が聴きたくなる、というだけで一読の価値があると思います。
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高校を中退し17歳で立川談志に入門した頃から二ツ目昇進までを描くエッセイ。談春の一代記として読める。文章から立ちこめてくるように情景が思い浮かぶのは、噺家の面目躍如といったところで、兄弟子の優しさや支えてくれる人の温かさ、なにより家元への片思い的な愛がちゃんと伝わってくる。ただ談志から続く立川流への個人的好みがないと、全てを受け入れることは出来ないかもしれない。
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愛情と熱量を持って、これだけ何かと向き合える、そんなエネルギーが欲しい。自分に足りないものと思う。走り続ける勇気。
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下町ロケットの殿村さんにはまり、赤めだかドラマ化の波に乗って、購入。立川談志は私の物心ついたときには、毒舌のおじさんというイメージでしたが、こんなに弟子から愛された天才だったんだなと思った。談春さんの落語が聞いてみたい。
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赤めだか、尊敬する人の薦めで読んだが、とても素敵な内容だった。これから、弟子入りや仕事を頑張っていこうと言うときには、とてもモチベーションが上がる本だった。談志のセリフ一つひとつが本質をついている。
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2016年2冊目。
落語をちゃんときいてみたくなった。
芸事を修める奥深さ。
芸事を修める人々の考え方って、伝統的でありながらも斬新というか独特で、すごい。
噺家が書いているためか、とってもたのしく読みやすい。
装丁もきれい。