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夫婦がだんだん似てくる話の中で、サブストーリーとしてキタヱさんの猫の粗相問題が絡み合ってくる。夫の目鼻がずれたり、と非現実なところがあって最終的には花ーーへと変わる。現実離れした世界感であればもう少し、それ以外でも異次元を思わせるなにかがあってもよかったのではないかと。
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芥川賞受賞となんとなく夫婦が議題なところに惹かれて、購入
でも、正直結婚経験がないからかよく分からなかった…
いつか結婚生活を送ったら、また読んでみたい
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本谷さんの作品はこの本が初めてです。
異類婚姻はそれぞれの夫婦の形が垣間見れて面白かったです。
夫婦は長く一緒にいると同じような顔つきになっていくというのはよく聞く話ですが、それがそっくりになっていくというのがユーモラスです。
夫婦でいる時間が長くなると色々な局面に接することになり、
そのたびにお互いに多面的な面を見ることになると思います。その時にどう感じてしまうのか。
この夫婦の場合はきっとつまらないと途中で思ってしまったので、こんな結末になってしまったのかと思います。
芍薬になり山の中に返してしまったというのが、
俗にいう熟年離婚を想像させられて少し怖いような気がしました。
結婚はお互いが蛇ボールのように二匹の蛇が相手の尻尾をお互い共食いをしていき、どんどんと同じだけ食べていって最後に頭同士にだけになってどっちでも食べられてきれいになくなる。
というイメージをしていたり、
端々に想像すると少し不気味な表現があったのが気になりました。
結局最後は何が言いたかったのかはっきりと分からずじまいで終わってしまい物足りなさを感じてしまいました。
<犬たち>はサスペンスを思わせる雰囲気でしたが、
ただラストにうっすらと白い毛が生えてきたという終わりでした。
自分が犬になりたかったのか、それともただの幻想だけだったのか?
トモ子とバウムクーヘンもサスペンスと思いきや
そうでも無くただトモ子の日常から不満から
こんな想像をさせられているのかと思いました。
トモ子の本当の不安が気になるばかりで終わってしまい
すっきりしませんでした。
藁の夫はタイトル通り夫が藁で出来ているという不思議な設定。
この藁というのは多分夫が藁のようにか弱いイメージだからかと。
そんな夫でも心の奥底では実は違うイメージというのが
もう1つの楽器のイメージで対照的に表現されていたと思います。
表面的にはか弱く優しい夫であっても、
それが時には妻にとっては嫌になったり頼りなく思ってしまい心とは裏腹な行動を取ってしまうのかなと思いました。
この場合は擬人化されても何となく表現が分かりましたが、何がしたかったのかが分からなかったです。
ただ夫の本当の気持が聞きただけだったのか。
それともまた違う意味があるのか。
ただか弱い夫にも燃える心があったように映っていたのが救いだったかもしれないです。
芥川賞受賞作ということもあったので期待をして読みましたが、純文学を想像していたのですが全然違うタイプでした。
これが芥川賞受賞作となると少し手応えのないような気がします。
読解力と想像力が乏しいのかもしれないですが、
どの作品もはっきりと見えなくて
作者が何を伝えたかったのかが分かりづらくて残念でした。
人間だけで夫婦を表現するのではなく、擬態化することで想像力は掻き立てられて、文章としては読みやすくて、面白いと思うのですが、
全体的に考えてしまうと心にずっしりと響くものが無かったです。
こうゆうのが好きなタイプな方に��お勧めだと思います。
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文藝春秋で読んだ.サンちゃんが旦那と顔が似てくることに気が付くことから物語が始まるが,登場人物がすべてカタカナ書き.弟のセンタと同棲中のハコネ.サンショという猫を飼っているキタヱ.旦那はゲームの夢中になったり,揚げ物を作り始めたり,妙な存在感がある.サンショが所かまわずおしっこをするのに困ったサカヱが山に捨てに行くことを支援するサンちゃん.最終的に旦那を花にしてしまうサンちゃん.ファンタジックなようで,少しぞっとするお話だ.
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読みやすかったですが、少し物足りませんでした。
本谷さんの作品は短編集を1冊読んだことがあるだけなのですが、その時の印象は、一抹のスパイスではなくて、一抹の泥みたいな気味悪さがあるのが面白いな、というものでした。なので今回は、その泥がぶにゅっと広がって作品を呑みこんでいるっていうくらいに、夫婦の何かもっとのっぴきならないものが描かれているような話を期待していました。が、結局、夫婦の間はお互いトントン、みたいな流れになって、端数もなく割り切れちゃった。そこが、時代に合わせて物分りよくお行儀よくなってる気がして物足りませんでした。
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胃が痛くなってやられた。役割というか、個性?、やっぱり役割か、役割に閉じ込められてんのな。あなた妻ね、主婦ね、飼い主ね、誰々ね、って感じで窮屈に閉じ込められててそれで共食いになっていなくなるか、そんなんから解放されてけるかって話。こわい。
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夫と二人で暮らす主人公は、二人の顔がだんだん似てきていることに気付くのだが……。
何気ない二人の結婚生活の描写は、自分の生活と重なる部分もあり、身近に感じながら読めました。
夫の脱力系の生活には、自分も少し親近感を感じてしまったので、きっと夫の顔に自分も似てしまうのではと思わされてしまいました。
題名に「譚」がついている意味が結末でわかりましたが、いい意味で期待を裏切られました。
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夫婦が顔が似てきてしまい、自分の顔がどんなだったか、夫の顔が歪んできてどの位置に鼻や目があったかわからなくなる話。
一見、世にも奇妙な話のようだが、たしかにそうかもしれん。
自分は経験がない及び感じた事がないので、友人カップルの事を思い起こすと、付き合っている相手にどんどんと嗜好や趣味が似てきて、毎回、彼が変わると驚く。派手好きな彼のときはカラフルな装い、モノトーンな彼の時は白黒の装い、また、心持ちや好きな歌まで変わる。侵食されている。彼側を知らないので、彼も侵食されてるのかもしれない。
この小説もお互いを食べあい「蛇ボール」という
言葉に置き換え「侵食」を表現している。
一見、SF小説のようで、これは、よくある話を題材にしていて、とてもユニーク。
最後は、アッサリしてるけど、それがいい。綺麗だから。
去年の芥川賞、「火花」より、好きだ。
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文藝春秋にて表題作のみ読了。
異類婚と言ってもつうのような哀しみもなく変化と言ってもザムザのような苦悩もない、ただあっけらかーんと流れていくホームドラマ然とした物語。
そしてモチーフとしてはまるでらしくないのだがそこはさすがの本谷ちゃん、ただの夫婦善哉では終わらせていないところが素晴らしい。
例えばそれは蛇ボールであったり偏執狂と化した夫が繰り出す揚げ物のマシンガンであったりでその夫婦という奇妙な番いのメタファーに嫌な汗をかいた方々も多いのではないか。
個人的に言えば「自分を好きになる方法」あたりのストレートさで芥川賞に風穴を開けて欲しかったがこれもまた面白いので良しとしておこう
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ぞわぞわする描写は相変わらず素晴らしいです。救いも情もないような変貌やら結末やらに呑まれるわけですが、テンポや設定は前の作品のほうが好きかもなぁ。
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芥川賞の本とかほとんど読んだことがなかったけど、これはちょっとしたプチ会談みたいで面白いよと勧められ読んだ。
うむ。
これは確かにプチ会談だ。
どっぷりホラーな感じではなく、日本昔話的雰囲気を持ちつつ日常の不思議話を語られる感じがいい。
特に最初の短編の異類婚姻譚。
人と人でないものが結婚すると言う意味を異類婚姻譚と言うのを初めて知ったけど、
読み進めていくうちにあれ?
これ人間??
みたいな。でもまーいっかーとなんとなく流れるほんわかテイストが良い。
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読了
夫婦とは不思議なものである。日々淡々と時間は流れる。ドラマチックなことが起こるわけでもない。蛇ボールの様なこともあるかもしれない。ふと自分たち夫婦のことを考えた。
夫は果たして何を考えているだろうか…
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う~ん ホラーファンタジーとでも言うのか、
日常悪夢とでもいうのか
独特の世界観が 煙のようにまとわりついて、読み手をからめとっていく 柔らかい不思議な文章力を感じました。
私はアライさん・キタエさんの夫婦が好きだなぁ。
でも そう思っていたら 「藁の夫」でう~ん 幸せに胡坐かいていると、(旦那の中からなんかでてくるぞ~)と変な怖さを感じてしまった。
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芥川賞受賞会見での本谷有希子さんが美人…という不埒な理由で手に取ったこの本(笑)
夫婦生活における人間の心理、闇にスポットを当てるような作品集。
読みながら、背筋がゾッとするような瞬間がたくさんあった(笑)
「夫婦のあり方」について再考する良い機会にはなったように思う。
個人的には「異類婚姻譚」、「藁の夫」が印象に残った。
〈異類婚姻譚〉
結婚した相手の感覚・考え方が自分の中に入ってきて、お互いが似てくる。
しかも自分ではそれに気が付かず、もとからそうであったかのように錯覚してしまう。
気が付けば、自らの個性が失われている。
普通にありそうで、それ故にとても怖い話。
主人公は「無責任な夫」を変えようと努力するのだが、最終的には引っ張られる形で堕落してしまう。
それと対比する形で登場する、キタエさん夫婦。
確固とした自己を確立しているキタエさんの夫が、とてもカッコ良い。
夫婦それぞれがしっかりとアンデンティーを確立している形が理想だと漠然と考えた。
じゃあ、自分はどうなんだろう?とも考えてみる…
〈藁の夫〉
本音を隠し表面を取り繕おうとするも、その感情が結局出てしまっている夫。
そしてその感情に気付かないフリをしながら、自らを「幸せ」と思い込むように努力する主人公。
やり場のない怒りから「藁を燃やすシーン」を思い浮かべることもある。
怖い話だと思いながら、一方で自分にも思い浮かぶ要素が全く無いわけではなく…何となく他人事とは思えない話だった。
同じような思いを、自分の奥さんにはさせてはいけないとも感じた。
もっと素直に感情を伝えられる夫婦に…と自分も願っているのかもしれない。
<印象に残った言葉>
・ 二匹の蛇がね、相手のしっぽをお互い、共食いしていくんです。どんどんどんどん、同じだけ食べていって、最後、頭と頭だけのボールみたいになって、そのあと、どっちも食べられてきれいにいなくなるんです。なんか結婚って、私の中でああいうイメージかもしれない。(ハコネ P51)
・俺もサンちゃんも大事なことに向き合いたくなんかないの。だから俺、サンちゃんといると楽なんだから。(旦那 P101)
・まあ、世の中には似たような夫婦がゴマンといるしね。そうだね。それもいいかもね。(アライ主人 P104)
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これまでの本谷作品からは一転して静かな私小説風の一風変わった作品。何気ない夫婦の日常の現実と非現実が交錯しつつ除々に非現実に侵食されていく様が描かれる村上春樹的な世界。次回はどういう方向に行くのか楽しみ。