紙の本
過度な期待は
2016/01/17 13:42
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投稿者:てつ - この投稿者のレビュー一覧を見る
上巻がただの官能小説だったので、下巻を読もうか迷ったけど、読んでみた。下巻は官能部分は減って、裁判など読み応えあるようになっていた。
ただ、話しの流れが少し乱暴というか、文章の組み立てが強引。作者に言わせれば、本当の愛を知らないから分からないだって言われそうですが。
私はあまり期待して読まないほうがいいと思いました。渡辺淳一を初読の方は試しに読む程度のつもりで。
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ほぼ一気読みをして感じたこと。 "愛を裁くことが出来るのか?"がこの小説のテーマだと思った。
上巻では泥臭いともいえる肉体を通した純粋な愛をこれでもかと言うほど書き綴り、下巻では上巻で積み上げられてきた愛を、愛とは対照的な位置にある裁判という尺度で測ることにより、より一層"愛"というテーマを浮き彫りにしている。
その結果が"愛を裁くことが出来るのか?"というテーマにたどり着いている。
ただ、裁判の展開が若干緻密さに欠けていると感じた。 同じように裁判が絡む「白い巨塔」は裁判シーンだけでも手に汗握る駆け引き・展開であり、それと比較すると若干肩透かしな感触は否めない。
本小説の最後の方で「愛の流刑地」の由来が出てくるが、まさしくこの一点に向かって小説が書き上げられたのだと思うと、エンディングには納得である。
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これ程までに愛せる人に巡り会えた二人が愛を貫く為に選ぶ道。
もちろんそれを選んだのは冬香。菊次は冬香の残した罪を探す旅に出る。
誰にも理解されない愛の裁きを受け
そしてそれこそが冬香の望んだ流刑地であったと言うことを菊次は知る。
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上巻はこの下巻への布石だったのだ。
菊治の冬香を愛するあまりの行動。
殺人罪か。
幇助か。
法廷という得意な環境の中で裁かれる菊治の苦悩、そして行き場を失った冬香への思い。
愛とは、人とは、
渡辺ワールド全開のとてもいい本だと思った。
人をここまで愛せるのは罪か、
それとも愛せないのが罪なのか。
その答えは今の自分にはまだわからない。
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文章の流れがよくて、上下巻を一気に読了した。
人が人を本気で愛するとはどういうことなのか?
この本を読んで、二人の愛の真意がわからない、嫌悪感を抱く人も
いるだろうが、作中「マコ」のママがうまく表現している。
もしかして、こういうことが本当に起こったとして、どのような裁判が行われるのか。弁護人や検事はさまざまな人生経験を積んだ人であって欲しい、と願う。
単なる「色ボケジジイ」などと悪評高い著者だけれど、これは単なる官能小説ではなくて、すばらしい純文学だと思う。
とくに章のタイトルが季節感と重なって素敵。
作品的には満点なんだけど、希望も救いもないので星4つに。
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愛する者に殺して欲しいと願った冬香の気持ちが今でも印象に残っています。
これは殺人といえるのか、それとも・・・?
深く考えさせられる作品でした。
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上下巻とも読み終えた。人妻を殺してしまった後の話もしっかり書かれていた。流石です。渡辺先生の小説に登場する主人公の男に憧れます。
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男女の性を主軸に、愛やエクスタシーの中で死にたいと願う女性とそれに翻弄される男性の話。出会いから愛し合う、最後には殺してしまうまでの描写が浅い。筆者が男性だからか、そうあるだろうと思われている女性の性が描かれ、それを解さないのは不憫だという部分もあり、偏りが強い作品だなと思う。後半は、逮捕されてからの主人公の心の動きが丁寧に描写されいてようやく本を読んだという気になった。
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裁判が始まってからは格別に面白くなった。
愛したが為の死と言うけれど、やはり家族はそうも言えないだろうなぁ、、とモヤモヤ。
まぁ、物語だから!と割り切りたいのだけど
形は違えど実際に周りにも、こんなになってしまうまでの愛のカタチが沢山転がっているのだろうな。
死ぬの反対。不倫反対。
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新しい言葉を作ろうとしている印象が強く、作品そのものは面白いのに、なんとも堅苦しい感じのする作品です。
ある意味背伸びをしすぎている感じがして、馴染み辛いものがあります。
作品そのものを楽しむには作者が主張しすぎていて、あぁ、今私は小説を読んでいるんだなぁって。
ある意味サイレント映画のような印象の作品です。活動弁士が作者のね。
何処と無く重厚な雰囲気の行列に含まれたメールのやり取りはもうある意味滑稽で唇がへの字に曲がりそうになります。
題材に興味があるのなら自分なりの訳注をつけて読むのにオススメな一冊です。
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引っ越しでばたばたしていたのであまり本が読めない日々が続いた。渡辺淳一さんがなくなったので、いままで積ん読だった『愛の流刑地』を読んでみた。はっきり言ってつまらない。好きな人には申し訳ないけれど、下世話なお話というだけで決して崇高な話でも何でもなかった。残念だけど、まあこういう事もあります。
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夫との冷え切った関係に悩む冬香は、菊治とのセックスのなかで、オーガズムに至る瞬間に「殺して」と口にするようになり、やがて菊治は彼女の首を絞めて殺害してしまいます。
警察に電話して自首した菊治に取り調べがおこなわれ、その後裁判がはじまります。そんななか、冬香との愛を題材に書いた彼の作品『虚無と熱情』が刊行され、彼の起こした事件のためもあって異例の売れゆきとなりますが、菊治は彼と冬香との愛のかたちが他のひとたちには理解されないことを知り、彼女との思い出のなかに埋もれていきます。
本書のあらすじは知っていたので、「エクスタシーは死に通じる」というテーマを、著者なりのしかたで小説にしたのかと思ったのですが、そのようなつながりは見いだせませんでした。どうしてこういう筋立てにする必要があったのか、けっきょくのところよくわからないままです。菊治が留置場で自慰をする場面にはちょっと意外さを感じましたが、それもけっきょくのところ私小説的な自己の卑小さの露呈にはいたりません。余計なことかもそれませんが、著者はみずからの信じる性愛を洗練されたものとして示したいというこだわりに囚われてしまっており、そのことがかえって滑稽さを感じさせるのではないかという気がします。もっと泥臭い官能性にまで堕ちきってしまえば、世の読書人たちのなかにも、もうすこし著者を評価しようという者が現われたのではないかという気もするのですが。
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タイトルの「愛の流刑地」というのは、なじみのバーのママさんからの手紙に書いてあったことなんだー、と知る。
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中年の男女の不倫愛はいよいよ深みにはまってゆく。そして最後の1/4で話は急展開して、そこから先もストーリーには引き込まれる。最後の最後、話がいよいよ終わろうかという頃になって主人公のもとに一通の手紙が届き、それを読んだ時に、ひたすらにポルノのような描写が続いていただけではなくて、長い長い物語はこの手紙に続くためだったんだと思わされる。過激な物語ではあるが、読み応えのあるお勧めの小説。
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上巻でウッキウキだった主人公を上げてこき下ろす内容かと思いきや、大して展望は変わらず。なので、内容は残念でした。わたしは悲惨な主人公でメシウマしたかった。
最後まで主人公は気持ち悪いまま、周囲に主人公の理解者が幾らか現れ、気持ちの整理がついたところで、はい、収監というお話。
臆面もなくこのような内容が描けてしまうというのがこの本の価値ではあります。普通、恥ずかしくて書けない。