投稿元:
レビューを見る
久々に本谷ワールドを堪能できた。
Gカップ「おっぱい」をアイデンティティとする巡谷、体臭にコンプレックスをもつ日田の二人の23歳の女性の物語。
タイトル通り登場人物の考えが変だということにつきるのだが、
その根底に流れる不安やこうありたいと強く望む欲望に触れると
共感とまではいかずともなにか自分の感情をくすぐられる。
アイデンティティとコンプレックスという言葉を問い直された感覚だった。
ぶっとんでいるのにさすがだと思う。
投稿元:
レビューを見る
「私、すごい獣臭いんだよ。こないだも手記書いてて『あれ? なんか部屋に獣いる?』と思って探したら、自分の体臭だったんだよね。やばくない? 私、腕も毛深いし、獣じみてるよね。」
「これおっぱりのつもりか? こんなの、おっぱいだと思ってるなんて厚かましいよ。あんた、これはただの乳首だよ。」
「乳首だけではないよ、さすがに。ちょっとは膨らんでるし…。」
「そんなの膨らんでるうちに入んない。おっぱいはね、日田、弾力があって柔らかくなきゃなんないの。揉んだ時に人を幸せな気分にしなきゃなんないんだよ。わたしから言わせると、Cカップ以下の女からはもう全員罰として乳首を毟り取るべきだよね。」
「やっぱり巡谷はおっぱい至上主義だなあー。」
「当たり前だよ。男はみんなおっぱいが好きなんだよ? あいつら想像以上におっぱいのことしか考えてないよ、日田。」
「じゃあやっぱ当分彼氏できないかもね、私。」
「あんたは、その内面に問題があんの。だからマニアックな男探せばいいじゃん。煙草なんか吸ってる場合じゃないよ。本当は幼女と付き合いたいけど犯罪だから大人で我慢してるような男、探しな。」
「…変態じゃん!」
「変態でもいいじゃん。なんでもいいじゃん一人よりは。」
『暇だから今日はあなたの人生にタイトルをつけます、と言い出して「巡谷の、突然死にたくなる一億の瞬間と、それ以外。」と寝そべりながら、ノートに書いた。』
「別になんもないよ。特になんもない。」
「じゃあ巡谷、セフレのまま?」
「セフレのままだね。」
「セフレってさ、本当にセックスだけしかしないの? 『あ、こんちはー』『こんちはー』『じゃあ入れようか』ってなるの?」
「そこまでじゃないよ。わたしはちゃんとご飯とか掃除とか家のことやってあげてるじゃん。」
「それなのにまだ彼女にはしてもらえないんだ。なんか巡谷、絵に描いたように都合のいい女だね。」
「すいません。Gカップってことだけが巡谷のアイデンティティなんです。」
「私のこと、『おい、そこのポケモン』とか呼ぶんですよね~。あれってどういう意味なんですか?」
「うーん、分からないけど、それがあなたにとってのアイデンティティだと思ってるんじゃないですか?」
「え? 私のアイデンティティ?」
「はい。よく分からないですけど…ポケモンみたいな精神が宿ってる、とかじゃないですか?」
「いや、宿ってないですけど。」
「あ。すいません。じゃあ違うと思います。あの、私、アイデンティティの意味、実はあんまり知らないんで。全然、意味違うと思います。 ー あの、でもちょっとあなた、ポケモンみたいな顔してますよね。」
「いや、このまま性欲が抑えきれなくなったら本当に乞食、犯しちゃうんじゃないかと思って…。ー どうしたらいいと思う? 巡谷、セフレだからそういうの詳しいよね?」
「…とりあえずもっとエロとかけ離れたこと考えたらいいんじゃない? 子犬が死んでいくところとか。」
「それはもうやってる。」
「え。子犬が死ぬとこ考えてんの?」
「ううん。違う。巡谷のこと考えてんの。」
『一番プレゼントしたかったのは豚のぬいぐるみで、手のところにスイッチな仕込まれていて、録音した声を再生できるというやつだ。あれ、『ベイブ・都会へ行く』のベイブみたいですっごいかわいかった。わたしはあのぬいぐるみに、誇張して真似したデブ声を横ちんと吹き込んだりして、ふざけたりしたらカップルっぽくていいな、とさっき見つけた時、思ったのだ。けどきっと豚をあげても横ちんは女の気配がする部屋にしたくなくて、捨ててしまうだろう。あんまりですぎた真似をすると、わたしも豚みたく捨てられるだろう。」
「私たちのこういうエネルギーがもっと地球のために役立てばいいのにね。」
『そういうのがもう全部嫌で、わたしは自分をでっかいおっぱいだと思い込みたいのに、まだ脳味噌とか感情とかが邪魔だった。』
投稿元:
レビューを見る
本谷作品は好きだが、これはダメだ。
彼女の良さである「ギリギリアウトの女達」が、この作品では完全アウトすぎて、その描写が白々しく思えてしまうほどだから。
だが、そんな勝手な批判をよそに『嵐のピクニック』では、見事大江賞を獲得したようであるから、この作品だけが停滞しているようであれば何も問題は無い。
投稿元:
レビューを見る
本谷作品一冊目。タイトルに惹かれた!テンポ良く読めたけど、そこまで言わなくても…というくらいストレートな表現が、読んでいて緊張感あった。ゲシュタポとの攻防が怖い!病んでる。けど、クセになりそう。
投稿元:
レビューを見る
狂った作品だったと思う。登場人物が狂ってるのはもちろんなんだけど、何より登場人物をこれだけ狂わせられる筆者は相当ヤバいなと読みながら思ってしまうくらい変。こんな風に変な会話で物語を紡げたら素敵だと思う。
投稿元:
レビューを見る
最初ははははという感じで笑えますが、
巡谷が横ちん宅でグルーヴ先輩化したあたりから
だんだん笑えなくなりました!
毒がいっぱいだけど清々しいのは何で?
投稿元:
レビューを見る
タイトルに惹かれて読んだのですが、すごく変な小説。でも、なぜか清々しく友情を感じるのは素直に気持ちをぶちまけてるからでしょうか…今まで読んだことがないタイプの小説。著者の他の作品にも興味あり。
投稿元:
レビューを見る
劇作家で小説家の本谷有希子さん。毎回毒のあるお話を書きますが、本作も期待を裏切りません。Gカップのおっぱいがアイデンティティという巡谷と、自分の体臭を必要以上に気にする日田との、奇妙な友情関係を描いています。
なんか良く分からないまま話が進んでいき、良く分からないまま終わってしまう感じです。女性の孤独や、コンプレックスをテーマに物語を描いているということは伝わってきたのですが・・・。ただ、終盤の50ページくらいは怒涛の展開で、物語に飲み込まれてしまいました。
誰もが読んで面白いと感じるような小説ではないと思いますが、劇物的な魅力はあると思います。取り扱い注意ですね。女性が読むと、また別の感じ方をするのかなとも思いました。
投稿元:
レビューを見る
基本的には気持ち悪いので、力のない時には読めなそうだけど、わりに元気なときに読んだので、明日からまた頑張ろうと思いました。
わたしも何か漏れ出てるんだろうから辛いけれど、端から見ればせいぜい精一杯頑張れよって感じなのかもしれない。けどうまく頑張れなくてやっぱり気持ち悪いのかもしれない。
最低限お風呂には入ろうと思います。
投稿元:
レビューを見る
自分のアイデンティティに絶対的な自信を持っている人間が
それを否定されたときの脆さ、その後の暴走が怖い
「変」ってどういうこと?どういう人のことを指すんだろう...
投稿元:
レビューを見る
他の本谷作品に比べるととても勢いが落ちる気がする。
「残酷な神が支配する。」
書く気が一切ない手記のタイトルをこれにする、日田のセンス。
自分が今年、日田と巡谷と同い年の23歳になること。剥き出しになってたり、ダイオキシンのせいにしていたり、なんだか甘えてるなとも思うし、それくらい何かの、誰かのせいにしてしまえればもっと楽に生きられるのかなと思った。
投稿元:
レビューを見る
変だった。
だけど、巡谷も日田もめちゃめちゃいとおしい。
むきだしちゃったら、きっとだれもがあの二人みたいな感じになるはずだ。
投稿元:
レビューを見る
―――私たちのこういうエネルギーがもっと地球のために役立てばいいのにね―――
Gカップだけが取柄で、好きなひととセフレどまりの巡谷(めぐりや)。
中1から手記を書いていて、自分の体臭が気になる処女の日田。
女の人にしかかけない女の人の気持ち悪さがよーく出てる。
にじみでてる。
女って、決してきれいな生き物じゃないんだけど、だからこそよしよしってしてやってねって思うお話。
投稿元:
レビューを見る
隣のあの子もあいつの彼女もO塚娘だったらなんてステキどころか、なんか恐ろしいが、隣のあの子もあいつの彼女も考えることはきっとみんな変なので、もっと恐ろしいのだった。
日田(ニッタ)をずっとヒダだと思ってた。だとしたら日田スメルはヒダスメルなわけで、それは卑猥すぎてヤバい。
ラストシーンの煙突登るとこ、なんか妙に感動的で、またそれがおかしくて、よかった。
投稿元:
レビューを見る
この子らの考えることは変。
気が強い断定系Gカップ依存女子と、妄想不思議ちゃん系不潔処女。ともに23歳。
「ヘン」の描写が初めから終わりまで目まぐるしい。ポケモン発言には笑った。
MVP: なし