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【本の内容】
<上>
世界の屋根たるヒマラヤは東洋の盟主・日本人が征服する―。
昭和11年、ヒマラヤ処女峰ナンダ・コート初登頂に夢を賭けた日本遠征隊。
立教大学山岳部の堀田弥一隊長率いる総勢5名。
だが、遠征準備は苦難に満ちた。
資金集め、装備、ベースキャンプへの物資輸送、シェルパの雇用などすべて手探りであった。
そして、栄光の頂上を目指し、ヒマラヤの麓へ出発…。
日本山岳小説に燦然と輝く、渾身の超大作900枚。
<下>
「これを登るのか…」真正面にナンダ・コートの北壁が立ちはだかる。
悪絶な様相をみせる北壁は背筋が冷たくなるほどの凄みがある。
堅雪にピッケルを突き立て堀田隊長は息を呑んだ。
苦しんでいるのは他の隊員も同じだ。
極度の疲労、氷のように冷え切った体。
凍傷で手足の先が切り裂かれるように痛む。
猛吹雪、雪崩、病状の悪化、予想外の事態…。
栄光の頂上は近い―。
取材・構想10年、壮大な実話に基づいた日本山岳の小説の大作。
[ 目次 ]
<上>
<下>
[ POP ]
こんなに肩に力の入った読書は久しぶりだ。
この小説がヒマラヤ処女峰ナンダ・コート初登頂に賭けた、日本遠征隊の実話を基にした話だからだ。
ときは昭和11年である。時代も時代だし、遠征の準備だけで想像をはるかに超える大変さだ。
資金の調達から始まって、人選や装備を整えるのも一苦労。
人間同士ゆえの駆け引きやしがらみによる悲喜こもごももある。
人間も物資も資金を少しでも節約するため、はるばる船で運ぶのだ。
現地に着いたら、今度は異国でのシェルパの雇用による混乱や困難が待つ。
この辺りはインド文化を知る読み物としても、かなりの読み応えがあって面白い。
しかし当然圧巻はここからだ。
ヒマラヤの厳しさは隊員たちに容赦ない勢いで襲いかかる。
猛吹雪、雪崩、凍傷、高山病、思わぬ事態の連続に、読んでる側もページをめくるだけなのにめまいがしてくる。
とうとう登頂が成功して私も心底ほっとした。
というわけで、読了後は肩ごりごり。
疲れますが、実話だけに読み応えは十分。
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
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読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
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