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<目次>
はじめに
第1章 2020年の大学入試問題はこうなる
第2章 東大、京大、慶大、早大、医学部の入試どうなる?
第3章 モヤ感とクラウド感
第4章 本当のアクティブ・ラーニング
第5章 英語力とランゲージアーツ
第6章 教養知識から創造的教育へ
第7章 思考力とは何か
終章 ギフテッドの時代
付録 文部科学省が考える「大学入試希望者学力評価テスト」の問題例
<内容>
かえつ有明高校の校長による2020年大学入試に関する紹介と高校で教えるべきものや教え方を提示したもの。近年流行りのアクティブ・ラーニングなどを駆使して指導すべきだと言い、自分のかえつ有明では、「サイエンス科」「プロジェクト科」でやっているらしい。それはイギリスやアメリカの大学入試問題(とくにイギリスが文科省のお気に入りのようだ)に近く、東大や京大の帰国子女枠の大が討入試問題で、すでに国内でもおこらわれているらしい。
思ったのは、自分の母校の生徒にはまるで歯が立たない問題ではないか?ということ。著者の学校や麻布などの授業を本校でもやっていけば、やがてこういう問題に対処できるのか?想像できない…古いタイプである私のような教員が、足を引っ張るのかな?
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「アクティブラーニング」「高大接続」「SGH」…なんとなく使われている教育関係のキーワードの底流にある変革の本質に触れることができました。中教審の答申が出る前から高校教育の現場に立って自分なりの「モヤ感」に立ち向かってきた筆者だからこその本です。表紙扉の写真に何度、立ち戻ったことか…その度に自分も感じる「モヤ感」。きっとこの本で書かれていることは当事者のこどもや先生、親だけではなく日本という国の中身の入れ替えが激しく行われることを予感させます。よく言われる明治以来の教育改革、ってホントにそうなのだと思いました。もう始まっている、この流れを体感するために間をおかずもう一回すぐ読み返します。
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2020年からはセンター試験がなくなり、新しい制度での大学入試が始まるという流れを受けて、文科省はどういったことを目指しているのか、具体的にはどんな感じの問題が出るのだろうか、それに向けて高校側でどうアプローチしていけば良いか、といったことがまとめられている。著者はかえつ有明中高の校長先生で、本書の中でもかえつ有明の取り組み例の紹介が大部分を占める。
内容はともかく、まず読みにくい本だった。クリティカル・シンキング、ブルーム型タクソノミー、「サイエンス科」と「プロジェクト科」、「自分軸」の話、東大の帰国生枠の問題例の紹介、といった同じような内容がどの章でも述べられており、ある章の内容が全体の中でどう位置づけられるのかが不明瞭であった。同じようなことをずっと繰り返している感じで、それらに関連付けて、急にリベラルアーツとか、ランゲージアーツ、モヤ感、知のコード、といった概念がポンと飛び出してくるが、一時的には消化できるものの、もう少し深めて欲しいと思ったところで、また同じような話に戻って、新しい概念が飛び出す。断片的にはよく分かる内容だし、示唆に富むことが書かれているのに、全体として読みにくいのは何故なんだろう。独特の教育用語(?)のオンパレードのせいで、一つ一つが深まらない・整理されないせいなのか。例えば、瑣末で表層的なことだと言われそうだが、「学びの体験や人物を重視する『主体性・多様性・協働性』の資質・能力を評価する『大学入学希望者学力評価テスト』」(p.75)とあるが、p.38の表によれば、「主体性~」を評価するのは各大学の二次試験で、「大学入学希望者学力評価テスト」は「思考力・判断力・表現力」を評価するテストじゃないのか、とか思ってしまう。こっちは色々頭の中で整理しながら読んでいるので、ゴチャゴチャしてしまうことが多い。
色んな問題例が載っており、なんとなく雰囲気は分かるが、教師側がそれをパクッてファシリテートしているだけじゃダメだと思う。さらに、文科省がいかに英国のシステムをモデルにしようとしているのか、というところが分かったが、真似をしている段階というのは、まだ「追いつけ追い越せ」的な感じで、情けないという感じすらする。教育する側こそ、アクティブ・ラーニングを実践する(アクティブ・ラーニングについてアクティブ・ラーニングする、メタアクティブ・ラーニング?)ということが必要なんじゃないかと思った。
とは言え、もう世界標準として体系化されていると捉えていいのか、「ロジカルシンキング」と「クリティカルシンキング」を駆使する方法について、納得してしまう。p.57で「収集→展開→選別→まとめ→確認」という手順が紹介されており、実際にキングス・クロス駅の問題の解答例が示されているが、なるほど、こうやって解いていくんだ~、とか思ってしまった。
あと「モヤ感」について、「『この授業で○○のことがわかるようになりました」とか、『○○先生の授業がわかりやすかった』という感想は、言われた先生にとってはうれしいことかもしれませんが、何かそこで思考が停止してしまっているような印象を受けます。」(p.103)という部分が、一番印象的だった。「それよ��も、授業が終わった後に『モヤ感』が残っていて、そのトピックについてもう少し調べてみよう、友達と話し合ってみようという気持ちになることの方が大切なのではないでしょうか。」(同)という部分、そういう「モヤ感」を残すことが必要なフェーズを、自分の授業の中で用意しておかないといけないなと感じた。
現中1から大きく変わる大学入試について、まずはこの本で、何か今までのセンターとは違うらしい、という情報を仕入れるためだけなら読んでもいい本。(16/03/22)
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どのように入試制度が変わるのか知りたくて読んだが、今ひとつよく分からなかった。
論文式の試験が増えるということか。
あと個人的には、これが改悪になる懸念がしてならない。採点する側にきちんと評価できるのか、疑問だ。
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まあ僕たちはみんな自分がそれなりによくできた人間だと思っているし、だから今の僕たちを作り上げた(であろう)教育ではない教育が提唱されると、自分が否定されたように感じちゃって、反射的に反発してしまうって性向があるんじゃないかな。
本書を読みはじめて最初に覚えたのは上記のような反発。でも読み進めるうちに、うん、思想自体は悪くないはずだよな、と思い直した次第。
「ゆとり教育」のときもそうだけど、思想自体はぜんぜん悪くないんだよね。でも「じゃあ具体的にどういった手段を用いるか」で、すげー議論になっちゃう。
はたして今度の「改革」なるものがどうなるのか。いちおう結構な利害関係者として注目するところ。
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2020年に大学入試が大きく変わるわけですが、それに対する著者の学校の取り組みについて主に書かれた本です。
中高一貫校での実践であるため、3年の課程ではなかなか難しいのではないかと感じました。
著者の主張としては、
生徒に、
「自分軸」・・・物事に対する自分なりの理解や考え
「モヤ感」・・・先生の話を聞いて完全に理解できず、もやっとする感覚
を持たせることが大切であると述べています。
現在の大学入試の外国からの帰国者向けのテストの内容が、多く取り上げられているのも印象的でしたが、その内容が、日本の高校生には手が出ないような内容であることに驚くといいますか、愕然としました。
ただ、感じたのは、改革を進めている方々には、今学ぶようになっている知識を手放して、それを手に入れることになるだろうということ(上位層はそれで良いでしょうが、下位層はレジでお釣りの計算ができない学力のまま高校を卒業するなど)を、しっかりと理解したうえで、改革に取り組んでいただきたいですね。
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2020年の大学入試の様相、またその裏付けとなっている考え方について(著者の考えが)書かれた書籍。
著者自身が教師として、そのような考え方を追及しそれに基づいた教育を実践してきたとのことで、内容の多くはその著者自身の解釈・実践に即しており、文科省の方針の直接的な説明は全体の中で少ないという印象を受けました。
ブルームという米心理学者のとなえた思考レベルの6分類が、もともと英国の中学・高校の卒業試験を設定する際の基準となっているとのこと(低次のレベル: 知識・理解・応用 が中学卒業試験、高次のレベル: 論理的思考・批判的思考・創造的思考 が高校卒業試験で問われる)で、著者は2020年の新大学入試をその6分類に基づき整理しています。
また、2020年から順次適用される学生指導要領では、「知識・技能」「思考力・判断力・表現力」「主体性・多様性・協働性」が、新たな学力の三要素として定められるそうで、この三要素も、著者はブルームの6分類と照合しています。
特に「主体性・多様性・協働性」は、学校教育でどれだけ養うことができるのか、家庭や生活という視点がもっと入ってくるのか、これから様々な議論や事例を見てみたいと思いました。
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リベラルアーツ教育にはランゲージアーツと思考スキルや思考ツールgあ欠かせない。思考スキルとは最終的にはクリティカルシンキングになる。
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著者は、かえつ有明中学校・高等学校の校長先生。
内容は単に大学入試にとどまらず、
国際化グローバル化により、世界では
どのような人材が求められているのか、
日本の教育で果たして「自分軸」はしっかり
育つのか?と言った教育論、人生論のような
深みのあるものでした。
本質的なことを何も理解しないまま、アクティブ
ラーニングという学びの形を授業に取り入れる時の
問題点も感じられるし、全国にいる何万人もの教員が
このような知識と理論と技術を身に着けるには
まだまだ時間がかかるだろうな、などと
考えてしまいました。
そして親も目先の点数にこだわらずに
子供の中に育つ「もやもや」したものを
時間をかけて育てる視点を持ちたいところです。
現状では子どもたち自身が早く答えを知りたがり、
わからない事への耐性がなさすぎる…
キーワードは
「わからない事への耐性」
「好奇心に満ち満ちる事」
「知識ー理解」
「比較・対照(compare/contrast)
「因果関係」(cause/effect)
「応用ー論理的思考」
何度も何度も展開される
「Theory of Knowledge」についての著者の考察に
人間の本質を見た気がしました。
全ての教員・指導者、小学中学高校生、その保護者、
そして仕事を持つ大人にもお勧めできる
何かしらはっと気づくことがある本だと思います。
一読を(^^)
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最近喧しくなりつつある?新しい大学入試。
どんなのかと、好奇心で読んでみた。
知識の理解とその応用、論理力、思考力を問うだけでなく、その上での創造力、主体性や協働性をとうものになるだろう、とのこと。
これは、国際バカロレアやイギリスのGCSEなど、欧米の中等教育修了時の試験に匹敵するレベルの試験を目指すものだとか。
文科省の思惑がそうなのだとして、しかし、2020年までに、そんな試験を作り上げられるのか?
試験を作ることより、さらに採点基準を作るのが大変そうだ。
創造性、協働性などをどうやって評価するのだろう。
これは筆者自身も難しいと述べていたけれど。
勝手な想像だが、問題だけ、例えばIBのような、GCSEのような問題が出題され、結局現在の評価基準で採点されたりして...。
というのは、この本で紹介されている新しいタイプの問題というのが、これまでの大学入試の小論文の問題と、大きく変わっているように見えないものも多いからだ。
こちらのアタマが古くて、質的な違いを認識できないのか?
個人的にはCFERが、実は思考力の指標だったというのに驚いた。
英検○級、TOEIC○点というのと同じ、外国語の運用力の指標だと思っていたから。
でも、考えてみれば、言語力と思考力は不可分で、逆に切り離して評価できないものだよなあ、と気づいた。
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着々と迫ってくる入試改革。
こうしてみると、改めて日本の入試の不思議が見えてくる。
グルーバル社会に乗り込む若人たちのために
大人は頑張るしかないのだろうな。
でも、日本の入試がまったくだめだったわけじゃない。
日本の良さを残しつつの意識改革。
みちのりははるか遠いなぁ。
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2017年1冊目「2020年の大学入試問題」読了。
2020年はどうなるのか?センター試験は?高等学校基礎学力テスト?大学入学希望者学力評価テスト?ということがこのあと3年間は気になるので、読んでみた一冊。問題例も示されているけれど、大学入試の話というよりは、今後の教育や育てたい人材の話といった印象だった。けっきょく世の中で求められている人材像が変化すれば、評価方法も変化し、教育業界だけがいつまでも変わらないなんてことの方がおかしいということなのだろう。
------(以下抜粋)------
一度限りのテストで終わってしまっては、学びのプロセスをみることができません。また、今までの知識再生型の学びに、「思考力・判断力・表現力」「主体性・多様性・協働性」の学力まで評価するとなると、学びの課程で生徒自身が自分の弱みや強みを振り返りながら、学びの方法を改善していく必要があります。その成長が学びのプロセスにもなるわけです。
2020年の大学入試問題・学力の3要素・ブルーム型タキソノミー・CEFRレベルの一覧(図)
文科省が「大学入学希望者学力評価テスト」の問題として想定しているのは、PISAの問題です。
問題の難易度ではなく、数学的思考をどこまで現実の現象と結び付けられるかというのが世界の数学的なアプローチの潮流です。
未知の事態に遭遇したら、比較できるものを素早く見つけ出し、相違点と共通点を見出すことによって、その事態が何か理解していくのです。能力があっても、実際に使えるスキルになっていなければ役に立ちません。
「知識」ではなく「思考」が優先するのであるか?まずが「知識」が「思考」に優先するのであるか?さあどちらでしょうか?…(アインシュタイン、大江健三郎さんのエピソード)…「知識」か「思考」かではなく、その「関係」が大切だということでしょう。
授業において、あるテーマがスッキリと完結していなくても、その授業が思索のきっかけになるのであればそれでよいと思います。
教師が教える側で、生徒は教わる側であるという20世紀型教育は、もはや2020年大学入試を迎えるときには、過去の遺物に過ぎなくなっているでしょう。
「プロジェクト」というのは、もともとの言葉の意味からして、ゴールを想定するものです。そしてゴールがあるからこそ力が発揮されるという考え方に基づいています。もちろんこの場合のゴールというのは数値目標のようなものではありません。そして、ゴールは先生が設定して与える場合もあれば、子どもたちが自分で考える場合もあるのです。
(問題例として)
高等学校在学中に取り組んだこと、達成したこと、そこで得たものを400字以内で具体的に書いてください。
(問題例として)
なぜその学部を選んだのか、その理由を600字以内で書いて下さい。
「知識・技能」「思考力・判断力・表現力」としれらを評価する方法のイメージ例
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shougai/033/shiryo/__icsFiles/afieldfile/2015/12/22/1365554_03_1.pdf
(問題例として)
あなたは授業中に、下記のテーマで英語のエッセ���を提出することになりました。
エッセーテーマ:
インターネットを利用して、多くの人と友だちになることが話題となっています。このような方法で友だちや知り合いを増やすことについて、あなたはどう思いますか。あなたの意見とその理由を書きなさい。解答時間は20分です。…受験者層としてCEFRレベルのA1~B1想定しており、「社会的なテーマについて、個人の経験などをもとに、自分の意見と理由を論理的に書いて述べる」ことを求めています。
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クリティカル・シンキングやクリエイティブ・シンキングが重要なことはとてもよくわかるのですが、その前提となる知識がなくては、やはり戦えないと思うのです。
しかしながら、その知識の部分について、あまりにも軽視しているようで、不安になりました。
また、著者の理系的なセンスには、かなり疑問をもちました。
教育の方法については、いろいろと新しい手法が出てきますが、いずれも、デューイが100年前に『学校と社会』の中で言っていたことの枠を出ていないように思います。
デューイすげぇ、と思うと同時に、古典の大切さを改めて感じています。
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2020年から変わる・かわる、と言われている大学入試が、何を狙い、どうして変わらないといけないのかを明確に説明している一冊です。
これでいいのかな、、、と思う反面、今のままの暗記中心の勉強が役にたつわけがないことは誰もが同意できるところと思います。
子育て中、孫育て中の「旧世代」の勉強をしてきた自分たちには、反省と、変わらなければならないことを痛感させられます。
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ちょっと手前味噌すぎて、気持ち悪い書きっぷりだけど新しい「学力評価テスト」の目指すところは分かりやすい。
新しい人材を育成するために、今までとは違う教育をやっていこう、そのために評価システムを変えようとするのは分かる。ただ現在の議論は評価の公平性や、客観性が欠けている、というか無視しているようにみえる。これって出来あがってみたら怖いシステムになっているかも。