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外国で生きる日本人の物語。
自分の知らないところで自分の知らない人生の時間が流れて行く。
皆素敵。
キラキラしてる。
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パリに暮らす10人の日本人を紹介した本である。
パリは多くの日本人にとって憧れの街だ。何しろ地球の反対側のこの街の、シンボルであるエッフェル塔を模した商品をそこかしこで売っているぐらいなのだから。毎年たくさんの日本人が旅行でこの街を訪れ、留学や駐在でこの街に暮らしている日本人も多い。しかしこの本で紹介されているのはそういった人々とは異なる、本物の”パリの住人”たちである。
三ツ星レストランで働いた女性料理人、芸術の最先端で絵を描く女性アーティスト、ヨーロッパ中を飛び回るプロのカメラマン、オペラ座の前に漫画喫茶を開いた男性、オートクチュールを作る女性テーラー、パリコレでも活躍する男性スタイリスト、サーカスで活躍するヨーヨー・アーティスト、夢はお嫁さんだったはずの女性国連職員、だまされてもめげない鍼灸師、凱旋門近くに店を構える花屋。
パリは人種のるつぼの街だ。しかしお隣のイギリスが移民を積極的に受け入れてきたのに対し、フランスはそれを制限してきた。多くの制約があり、外国人がこの街で職を得る事は簡単ではない。われわれのイメージに反して、現実のパリは意外によそ者を受け入れたがらない保守的な一面を持っている。
その街で、本書の10人は与えられたのではなく自らこの街に自分の居場所を”創った”。彼らこそまさに”借り暮らし”ではなく本物の”パリの住人”である。本書はそんな”パリの住人”たる日本人たちの、ここに至るまでの半生を時間をかけてじっくり訊きだしている。
10人の”パリの住人”にはこの街に恋焦がれ、あこがれてやってきた人もいれば、めぐり巡って、期せずしてやってきた人もいる。どちらにせよ、多くの人はこの街のイメージと現実のギャップを経験している。さまざまな面で日本のほうが「快適」で、それに比べるとパリでは理不尽なことも多い。しかしそういうパリのあまり良くない一面も、一面でしかない。
日本は「快適」だ。しかしそれは単純な型にはまった生き方を求める。型にはまっていれば「快適」だが、そのレールから外れようものならとたんに生きにくくなる。しかしパリではみんな好き勝手に暮らしている。「フランス人は行間を読むなんてまどろっこしいことはしない。思ったことはズバッと口に出すし、人前で起こることも、怒鳴ることも、そして愛しているということもためらわない」からだ。でもその方がずっと人間臭いし自然だと思う。そう、パリは「快適」ではないかもしれないけれど、ありのままでいることを認められた街なのだ。
だからこの街の住人となった登場人物たちは、みな日本で言えば型にははまっていない人たちだ。しかしみんな自分のしたいことをしている。楽しく暮らしている。型を外れることで、シンプルに生きられるようだ。それを”自由”というのだろうが、そこに至るまで、この人たちは誰ひとりとして一筋縄の人生ではなかった。スタイリストのメガネくんは言う。その仕事が自分に合ってるかどうかなんてすぐには分からない。いくら才能があってもある程度続けてみないとわからない、と。「楽しく生きるにもいろいろ努力が必要だし、壁にぶち当たる���ともある」のだ。
パリの人々は型なんかないから、自分の求める物を自由に求められる。だから生活はシンプルでゆったりと暮らしているように見える。だが自由にゆったりと暮らすことは、けして上昇することをあきらめることを意味しない。パリの芸術の最先端にいる日本人女性は、恋人や友人たちとゆっくりとした時間を過ごし、好きな絵を描いて自由に暮らしている。一方で彼女は人は上昇する為に生きていくのだと、「絵」について大きな夢を抱いている。ゆったり自由に暮らすことと、上昇や夢といった野心は共存できるのだ。「日常は決して平凡という意味ではない」。
型の沿って生きていれば「快適」だし、「安定」した生活をおくれる。そこから外れれば不安定になるし、困難にぶつかることもたくさんある。だが「快適」の中にいてはけして得ることが出来ないようなものを手にする可能性もあるのだ。人はどう生きてもいい。「時間やお金に縛られながらも、安定して生きるのも一生。サクレ・クール寺院を眺めながら、好きなことをして生きるのも一生」である。
本書で印象だったことばに、カメラマンのシュンさんの「子育ては実験だった」というのがある。だが本書を読んでいたら「人生が実験」なのかもしれないと思った。人間が生きていくうえで毎日積み重ねていくことが出来るものがあるとしたら「記憶と経験」だけだ。人生どうなるか分からない。だったら型なんか無視して、いろいろ試行錯誤して、いろんな「記憶と経験」を積み重ねたほうが、思わぬうれしい結果を得られるかもしれない。
ノーベル賞を受賞した日本人も言っていたもの、若者よ、日本の「快適」さから抜け出せ、ってね。
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著者の落ち着いた愛情あふれる温かい視点が心地好い。
非現実のようで現実的で、自分の足元をしっかり見ていこうという自信が沸いてくる一冊です。
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題名からするとまるでグルメ本のようだが、全く違う。パリで生活する仕事をしている日本人を取材してまとめた本である。10人の日本人を取り上げているが、10人十色。しかしどの人も個性的で自分を確立していると感じた。パリの魅力と共に10人が皆、魅力的。みんなこれからもがんばって1!と素直に思った。
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パリのオシャレなイメージが覆されたけど、
パリって自由ね。
それぞれの主人公の生き方に励まされれ
一歩踏み出す勇気ももらえる。
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著者が出会った、パリに生きる様々な日本人の物語。
"本当に人はどう生きることもできる"という著者の言葉がとても印象的で、本当に自由なパリの風を感じられます。
読んでいるとその世界にすーっとはいっていくような感覚を久々に体験したくらい、その空気感が伝わってきます。
この著者自身もどうやって生きてきたんだろうか、と不思議に思ってしまいます。
どうしたら、こんなにも魅力ある人たちに出会い、その魅力を余すことなく書き記すことができるんだろうか、と。
http://lazy-planet.net/archives/167
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パリに住んで暮らしている人達を取材し、まとめたもの。国外に出て行く日本人は多いけれど、彼ら彼女らがどのようにして生活しているかなどを知る機会というのはあまりない。この本を読んで、色々な生き方があってもいいんだと思える。日本では何かと求められる自分像があるが、パリではそのようなものが無いと聞いて そんなところがあるフランスを羨ましく思った。
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この本を読んで「人生観が変わった」と言っていた人がいたけど、
全編読み終わって、その気持ちがわかるような気がしました。
自分の気持ちが落ち気味な時に読むと心に効きそうな感じ。
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素直に面白かった。
最初はパリでご飯を食べる話なのかと思い、飛行機での暇つぶしくらいになればいいか、というくらいの気持ちで借りた本。いい意味で裏切られた。
食べ物の本ではなく、パリでメシを食べて生きて行っている10人のお話。
みんな自分に嘘をつくことなく、思いのままに生きている。そして、その生き方の根底にあるものは、みんなシンプルなものだ。こういう生き方っていいよなぁと思わせてくれる本。
ここで紹介されている方々が魅力的なのは、その方々が本当に魅力的だからということもあるが、ライターさんのシンプルなまとめ方が自分の好みに合っていたからかな、とも思う。
何はともあれ、素直に面白いと思えた本だった。
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アメリ的なあれ?元国連職員ライターがみた、パリで暮らす日本人短編ルポ集。三ッ星レストランで働く元デザイナーの女シェフ、違法占拠された芸術ビルの画家、パリ中を歩きまわった子持ちカメラマン、パリの繁華街に漫画喫茶を開いた男、恋に生きていたはずがいつのまにか国連で働いていた女性などなど、非常にバラエティ豊か。こんなによくひとりで集めたなー、と感心してしまう。著者の川内有緒さんのことは北尾トロが編集人をつとめる『ルポ』という新雑誌の「国連ではたらいてみました」を読んで知った。彼女自身が国連で働いていた経験をもつ才女でありながら、その気取らず地道な性格がにじみ出た文章は、読んでいて気持ちがいい。パリって街の本当の全景が少しずつ見えていくような爽快感もともなって、非常に面白く読める。ただ個々のエピソードがもう少し深みのある話になっていれば最高だったなー、と思う。見出し的なインパクトはあるんだけど、内容は若干浅薄。心のなかの比較対象が米原万里だからいけないのかもしれないけど。
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題名と装幀に惹かれて、買ってみた本書。
良い意味でも悪い意味でもイメージと違った。
メシを食うという、ワードを使っているが、文章はかなり丁寧な語り口で書かれている。
パリで暮らす多種多様な日本人のパリにいる理由に迫ったルポといった印象。
一つ一つの話は面白いが、何だかなと奥の方で突っ掛かる読了感があった。
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タイトルから料理関係かと思ったら、違って、パリで生きてる=働いてメシを食ってる人たちのインタヴュー集だった。
それぞれ色々な理由でパリにいるけど、どの人も、どこか突き抜けてるところを持っている。情熱だったり、がむしゃらさだったり、ちょっと変わった特技だったり。すごく面白い。一度しかない人生、思い切ってやりたいことをとことんやるのはいいなあ、何かにチャレンジしてみようかな、という気持ちになる。
それにフランスにはやっぱりいっぺん行きたい。なんでか分かんないけど、惹かれる国なんだ。
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三つ星レストランの厨房で働く料理人、オペラ座に漫画喫茶を開いた若夫婦、パリコレで活躍するスタイリスト。その他アーティスト、カメラマン、花屋、国連職員…パリにいつのまにか住み着いた日本人10人の軌跡。時にセーヌ川のほとりで、時にワインを片手に、彼らが語る軽やかでマイペースなパリでの暮らしぶりに、思わず肩の力がふっと抜ける好著。
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新婚旅行に行く飛行機のなかで読みたいなと思って買った本。
結局行きではなく帰りに読んだけれど。
これがとても面白い。
パリという街の象徴的な話でもあり
日本人という人種の話でもあり
なにより情熱大陸のような、人の大切な部分をのぞくような内容だったから。
パリに住んでいるからといって
けっして特別な人ではない。
でもやっぱり普通の人じゃない。
そんな人たちを覗き見することができた。
パリの人はおしゃれだけど、親切ではなくて。
それを実感したばかりだからとても楽しかった。
なんで芝生にねっころがるのか
外でご飯を食べるのか
そんな謎もなんとなくわかってくる1冊でした。
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これは最高に面白かった。メシを食うというのは美食だのグルメだのの話ではなく、生きていく糧を得るの方の意味。けして有名ではないさまざまな職業の日本人がなぜパリに渡り、パリで暮らしているのかを追った傑作ノンフィクション。実際にこれに出てくるアーティストが占領したアパートに訪れたけれど、非常にアグレッシブで愉しかった。
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パリに住みたい!
パリで暮らす日本人10人の話。
元グラフィックデザイナーの料理人
漫画喫茶のオーナー夫婦
独特の話し方のスタイリスト
人柄が人気のカメラマン
三人家族と犬のいる花屋
アーティストが占拠した廃墟に乗り込んで、そこでアーティストになった女の子
線の細いテーラー
悩めるヨーヨーチャンピオン
恋する女性国連職員
騙されても前向きな針級師
ああ、これで全部だったかな。
読み終わった日に面白かったから友達に進めてあげてしまった。
パリじゃなくてもいい、
外国に住みたい!