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女性2人を殺害した罪で、死刑判決を受けた写真家の男。
彼についての本を書くために、拘置所へ面会に行くライターの僕。
写真家の姉や、友人達への取材を続けていく内に、たどり着いた真相とは・・・。
気になっているけど、まだ読んだ事がなかった作家さん。
という訳で、『去年の冬、きみと別れ 』が初・中村作品です。
取材対象として「僕」が会う人物が、異様な人ばっかりー!
そこはかとなく(いや、あからさまに?)漂う薄気味悪さ。
とにかく続きが気になり、引き込まれるように読みました。
個人的には面白く感じましたけど、好みは分かれそう。
<以下、ネタバレです。>
ネットでの書評を見ると、最後のイニシャルが分からないという話がちらほらあるようですが。
正直、イニシャルで表されている名前が何という名前なのかは重要ではなく。
それが写真家と1人目の被害者の事であり、この小説自体が、編集者によって出版された本(つまり、出てくる名前はすべて仮名)であるという事でいいんですよね?
うーん、分からないというのが分からないw
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猟奇殺人事件の被告に、インタビューをしにいく男の話。事件の真相はただただ衝撃的。文体も素晴らしい。かなり面白かった!
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表紙を見たときはミステリーだと思っていなくて、売れてるから読んでみようかなという軽い気持ちで手に取った。
そんな出会いだったのに読み終わったときの衝撃が強かったので星5つです。
物語はライターの僕がある猟奇殺人事件の被告に面会に行くところから始まる。僕は彼についての本が書きたい。なぜ、あんな事件を起こしたのか。彼は何を考えていたのか。
“覚悟は、……ある?”
得体の知れない殺人犯。その姉。関係者。取材に訪れた人物はみんなどこか歪んでいて狂気を孕んでいて、まともな頭では理解できない。彼らの思考や感覚に触れるたびに自分の感覚がおかしくなってしまうのではないか、侵食され呑み込まれてしまうのではないかという錯覚。その描写にぞくぞくした。
ラストに真相を知って「あーーーー!」と思って最初に戻って2週目突入。
騙されたとかではなく、表現が自然すぎて自分がすっかり世界に入っていたことに気づいた。素晴らしい物語だった。
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一気に読みました。自分の読解力では難しくて謎な部分があったので、色々検索してやっと理解できました。映画では、どんな風になるのか楽しみです。
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ミステリ小説だけれどもミステリとしてより、狂気や歪曲した世界を楽しむ小説。写真に隠された闇や、狂人と狂人が共存する破滅しようとする世界で行なわれていく悲しく燃える所業。
「僕の真の欲望は、破滅的な人生を送ることでもない。荒々しいことを求めることでも、見事な芸術をつくることでもない。安定を求め、時々破滅に憧れ、職業は何でもいいからみんなから羨ましがられることだと。 」この文は非常に現実的な僕たちの憧れを表している。
また、出番は少ないが女性が魅力的。堕落したい。
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読んでいる途中から何か変だと感じるようになるのだけど、最後まで読むと納得です。仕掛けがいっぱいで面白かった。純文学とミステリーが融合した感じで読みやすかった。
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やっぱり凄いと思わせる発想力を中村さんに感じるのは「土の中の子供」以来・あれは芥川賞を獲ったんだね~ライターの僕はある猟奇殺人事件の被告に面会に行く。彼は二人の女性を焼き殺した罪で死刑判決を受けていた。だが,動機は不可解。事件の関係者も全員どこか歪んでいる。人形師?姉?被害者?この異様さは何なのか。僕が真相に辿り着けないのは必然だった。なぜなら,この事件,最初は盲目の女性は事故で死に,二度目は元夫が復讐しようとし,写真家の弟と男を食い摘んでは死に至らしめていた姉に,姉の被害者の一人である弁護士が共謀したモノだった。二度目の被害者は借金を抱えた風俗嬢ではなく,それとすり替えられた姉だったのだ~大したモンだ・1977年生まれだって。単行本は2013年に出ていて,あとがきを付けなかったらしく,文庫化されて書いているんだけど,M・MもJ・Iも何のこっちゃか?
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初の中村文則作品、面白かったー
何回か読み直したい感じ。
スラスラ読んでいってたのにズドンとひっくり返される瞬間がいいなーと思った。
少し置いて再読予定。
人形師の話や写真家の話、くるくる返してたいしたことないものにしてしまうのも面白くて、最初の理解を覆して一筋縄ではいかなくさせるのが上手い。
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いつも思う。お決まりの台詞。
「そんなこと(復讐)したって、あの人は喜ばないよ」
ほんとに?絶対?
わたしなら「さんきゅっ!あいしてるぜベイベ」くらい思うだろうと思う。
ただ、「そんなことで手を汚させてごめん」とも思うだろう。
なんつーか、そういうこと。
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かなり歪んだ性格で偏愛とか変質者的な人物たちが織り成す、摩訶不思議なおはなしである。猟奇的殺人事件の犯人に面会するライターも普通じゃない、登場人物すべてが軽くいっちゃってるってある意味凄い(笑
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中村文則氏の作品は初読み。前評判もあったけど結構読みやすいです。でも心理戦に持ち込まれたら危険な相手かなと。ある種の凶器とか毒を感じさせるかっこよさがあります。
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【ネタバレ】
本の編集を頼まれた主人公と木原崎姉弟の物語、、と思いきや、という展開。
自分も含め、狂気を誰しもが持っている。この筆者はそれを形にする。そんな感覚がある。
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思ったほど暗くなく、でも淡々と狂っている感じは底辺にずっと流れ続けているよう。
単行本では書かなかったというあとがきがあることで混乱した。
たぶん素直に読んだままで合っているとは思うけど...。
ミステリーのトリックには重点を置いていなくて、ひたすら狂ってしまった人間の話が展開されるというところが中村さんらしいと言えるのかな。
面白かった。
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ライターの「僕」が、猟奇殺人事件の犯人に面会に行くところから始まる物語。
女性2人が焼き殺された猟奇殺人事件の裏にある真実とは―?!
冒頭で真相を知ろうとする「僕」に対して
犯人の「覚悟は、……ある?」という問いかけは
自分にも向けられているようでぞっとしました。
犯人はもちろんのこと、犯人の姉や事件の関係者など
取材する相手からは例外なく狂気や違和感が感じられ
読んでいて決して心地よくはないのですが、
事件の終着点が気になってページを捲る手が止まりません。
時折挟まれる犯人からの手紙を通じて
だんだんと犯人の心情も明らかになっていくのですが
途中の手紙の最後の「きみは誰だ?」という言葉から
だんだんと物語は姿を変えていき、
二転三転し、全く意外なところにたどり着きました。
まるごと騙されて、感嘆。
伏線もみごとに回収されててスッキリ。
(実際には物語が物語なのでスッキリ感はないけれど・・・)
じめじめとずっとセピア色の雨が降り続いてるような憂鬱感。
「狂気の沙汰」という言葉がとてもお似合いですが
途中からそんな狂気にどんどん浸食されていくようで
そんな狂気がもしかしたら自分の近くにも、
もしかしたら私にも潜んでいるかもという不安感が後を引きました。
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僕が本当にきみと別れてしまったのは、去年の冬だ。木原坂朱里を初めて抱いたあの夜。人間をやめ、化物になろうと決意した夜。…きみの彼氏が、化物であってはならない。そうだろう?去年の冬、きみと別れ、僕は化物になることに決めた。