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佐々成政が、小牧長久手の戦い後、家康に会い秀吉に降らないように説得しにいくため、冬の立山雪中行軍するという話。現在のザラ峠が沙羅沙羅峠と言われている。沙=ミズが少ない、羅=網羅というように、網、捕らえるという意味を持つ。
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大町には丸三年住んでいた。冬に街から仰ぎ見る北アルプスは、晴れた日は白い屏風が西の空を塞いでいるようだった。
厳冬期に入る山ではない。しかし、四百年も前に武将自らが冬の北アルプス越えを決行した。
どのルートを通ったかは定かではないが、北アルプスを越えたことは史実らしい。
富山の戦国大名、佐々成政。
西に前田、東には上杉に囲まれ、窮状を打破すべく浜松の徳川に陳情へ向かう。
生きて越えられるかわからない北アルプス越えに加え、留守の間に前田から襲撃を受け、さらには本丸の情報が洩れており間者の存在もある。
史実では、佐々成政の沙羅沙羅越えは徒労に終わる。
しかし、全てが徒労だったのか。
北アルプスの厳しさと、人間の小ささを武将の目を通して描く。
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真面目な成政が秀吉に対抗する為冬の立山に挑み家康を動かそうとする物語。読んでいると妙に共感してしまう場面に出くわしたが作者のあとがきで謎が解けた。作者のフルマラソンの体験談をこの成政の立山踏破に重ねた作品だと知り自分も初マラソンに参加した時の未知の体験をする不安と期待の気持ちが蘇ってきた。これだけ共感出来た作品は初めてだったので楽しく読めました。
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2019.8.7完了
久しぶりに読み易く、テンポよく、分かりやすい書き方に出会う。仕事してるのに2日で読んでしまった。
佐々成政のイメージはどうしても偏屈になりがち。信長の野望と裏切り、一揆の影響かもしれないけど。
ここの佐々は人間臭く、とても共感がもてた。
実際こういう領主は多かったんだろうが、時代の結果、異なる印象を抱かせることもおおいんだろう。
なによりこの作家も最後に創作ですと括っているからなにが本当かなど分かり得ませんが。
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山に関する本が読みたいと思って手に取りました。
厳しい冬の立山を越える物語。
自分の意思ではどうにもならない、
自然の厳しさ。
心を震わせるような美しい姿を見せるときもあれば
仲間の命をあっけなく奪っていく。
著者も文庫版追記で述べていたが、
山岳場面をもう少し読みたかったので、
星は2つとした。
後日談として、山岳場面が読んでみたい。
(知らないだけでもう発表されているのかな?)
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単なる登山本にせず、黒百合伝説と内通者ミステリーもあわせて飽きさせない構成。
成政の心理描写、秀吉利家家康との比較など、上手くまとめていた。
短編で終わってもおかしくないテーマを長編にしているが、間延びせずに熱いまま一気に読めた