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それぞれ恋人のいる夫婦の揉め事を描いたコメディ。
コメディというほど笑えるわけではないが、夫婦とその恋人たちの本音は共感する人も多いはず。キャンプのシーンはやりすぎな感があるが楽しんで読めた。
男女の感覚の違いは扱いやすいテーマ。でも、興味がわいてしまうのも事実だ。
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喜劇ではあるが、匡に感情移入して伽耶の面倒臭さにうんざりしてしまい、最後まで読むのがしんどかった。
誠一郎の視点に立っても面倒臭いと思う。
伽耶の視点に立てば・・・立てない。
いつまで経っても女性の気持ちが理解出来ない訳で。
著者の作品を読んだのは初めてなので、別の作品も読んでみよう。
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結婚して数年して子供いない夫婦だが、それぞれ不倫相手を持っている中で始まるストーリー。
かなりコミカルに描かれていて共感できるような、
ちょっと違うような。
でも、同じような夫婦生活を送っている夫婦は多いはず。
それなりに楽しめました。
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結婚15年目
お互いに恋人がいるセックスレスの夫婦
果たしてこの2人は何を選ぶのか
結婚とは夫婦とは愛とは今の自分にはまだまだ理解出来ないけれどいつかわかる時がやってくるものだろうか
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主人公の夫婦それぞれに恋人がいて、妻の提案から、何故か4人でキャンプに行くことになる…っていう、ちょっと理解しがたい物語。
コメディといったらコメディなんだけど、やっぱりこの人の作品に出てくる女の人は切ない。
この人の作品に出てくる女性は、相手への愛情はあるのに、相手からの愛情を以前のように感じることができず、愛情を形で示してもらうこともできず、女としても自信を失いかけている。そんな女性が多い。
どれほど好き合っていた2人でもいつかこんな日が来るのかな。
切ないな。
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女性は、
誰かの唯一の存在でありたいと、あり続けたいと、時として言葉や態度とは裏腹に、思うものなのかも、と。
伽耶は当然そうであったし、一見そうは見えない朱音にしても、匡の口から「妻を同志とおもっている」発言を聞くしな、あっさりと匡の前から去る。
それに比べ、男性は、より下半身に忠実というか、単純というか愚かというか。
女のほうが真面目でゆえに面倒なのが常。
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子どものいない中年夫婦のセックスレス。妻も夫も欲求不満。これが子どもがいる場合、妻がセックスを拒むようになると、夫のみが欲求不満。いずれにしても、そのはけ口を妻以外、夫以外の異性に求める気持ちは想像できる。しかし、異性の相手が明確に分かる場合、自分はとてもじゃないが我慢ならない。夫婦である伽耶と匡がそれぞれの恋人とキャンプに行くという暴挙が、夫婦和睦の切っ掛けになったようだが、それは倫理観の認識ではなかったように感じた。
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ドキドキしながら、せつなくなりながら、読んだ。
あの人もこんな感じだったのかな。
「へらへらしていて、ぺらぺらしていて、でもまあ、どこか味があって、独特で。」
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タイトルがもうずるい百点だって
タイトルが確信をついて。内容も確信をついて大変沁みました。
つらいきもちから逃れようと行動するんだけど
もっと意味わかんなくてドツボにはまるその痛さが大変沁みます。
ぶんこがでたらかってほしいな
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2021.3.18読了。
大人のコメディってあったけど全然笑える〜って感じの内容ではなかったよ。
結婚十数年の夫婦はお互い恋人がいて。
夫のことは愛していて、でも恋人は必要で。
愛と必要はどっちが上?
なんて考えて。
それをはっきりさせるためにちょっと不審な行動を取るんだけど(夫の恋人と飲んだり、4人でキャンプに行ったり)自分でも「何やってんだろ」って思ってたり。
結局は夫を選ぶよね。
恋人が必要っていうのは一種の暇つぶしなんだよね。まさに"遊び"なのよ。
特に本の中の恋人は自分を大切にしてくれてるって感じじゃなかったから尚更ね。
まあ夫婦なんてこんなもんよ。という感じの割と共感のある本でした。
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読了後、タイトルの意味がこんなにしっくりきたのは初めてかもしれない。
夫婦お互いが愛人がいてテーマは重いし、いい気分のものではないのに、内容はスラスラと読める。
実際自分がこういう状況になれば、こんなことコメディー要素ではないよなと思いながらも
ドラマの最高の離婚のように、途中途中はのほほんとよめた
お互いの愛人の存在を知るからこそ、他人に見せる顔が気に食わなかったり、1番は私でしょ?俺でしょ?が強い。本当にそこは愛ではなく、他の人より自分が勝っていたい気持ちなのかも。
結果的に夫婦に落ち着くけど、けしてハッピーエンドではない。
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どわ〜難しい問題にぶち当たった。「愛と必要」のどちらを取るか?愛する人間と、必要な人間。愛してる人から愛されていればそれでよいわけではなく、かつ必要としてくれなければ(性行為の対象として)心は満たされないという問題かなあ。浮気とか不倫って結局そういうことなのかなと思った。
夫婦には互いに恋人がいて、その恋人と四人でキャンプにいき……と、ここからどう展開していくの?と不安になったけど、よい着地点だった。愛と必要、どちらも重なる相手と一緒にいることが人間の幸せなのかもしれないね。
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読み手によってコメディと取るかリアルと取るか別れるだろうなこれ、うーん、なかなかリアルなとこ描いてくるな、と思ったらどんどんコメディ仕立てになってって、また少しリアルに舵を切った感じがあるけど、夫婦主体過ぎて不倫相手達の後半雑に扱われぷりがむしろリアルじゃないと思ったかな。ラストに含ませてるけど、こんなファンタジーじゃすまないと思うんだよな。まあ面白かったよ女性が書いてるってのもなかなか。
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井上荒野と出会ってしまった。彼女の小説が面白いと聞いて、どうしても読んでみたくて。しかし、果たして、初めての井上荒野が、この小説で良かったのか。
ダブル不倫を認め合う夫婦と、それぞれの恋人を加えた交流。四人各々の視点で描かれるのだが、性に開けっぴろげな大胆な女流作家ならではの言葉選びもさる事ながら、四人それぞれの気まずい空気感をコミカルに表現しながらも、頭に浮かぶのは「なんて前衛的な」という感情。そう、取り繕わずにはあり得ない世界を描く事への挑戦。
で、気になるのは、解説の香山リカ。セックスレスが女性のうつ病の原因というような大胆発言。どいつもこいつもプログレッシブだなあ。
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★ 男性の方注目!: あなたは奥さんとの朝食の場で
『あなた、恋人がいるでしょう』と突然言われたらどうしますか?
★ 女性の方注目!: あなたは旦那さんから『君もいるだろう、恋人』と言い返されたらどうしますか?
夫婦の関係が上手くいっているのかどうか?外からは窺い知ることはなかなか難しいものです。当事者である夫婦それぞれであっても、それが長年連れ添った夫婦であってもお互いの心の内というものは見えているようで見えないものです。夫婦の起点はそれぞれです。『大学時代に同じキャンパスで知り合』って、『六年間の交際を経て結婚した』という順風満帆な中に結婚をし、『ずっと恋人同士だった二人が今日から夫婦ですよといわれても、どうしていいかわからなかった』と、初々しさの極みのような夫婦、そのままずっと二人で添い遂げるだろうと思われた夫婦であっても『あるときから、それまでの努力がふいになった』という瞬間が訪れる可能性はゼロではありません。夫の背後に女性の影を感じ、妻の背後に男性の影を感じるというその瞬間。それは夫婦にとっての一大事と言えます。
ここに、そんな夫婦の一大事から始まる物語があります。『あなた、恋人がいるでしょう』、『君もいるだろう、恋人』というジャブの応酬から始まるこの作品。そんな応酬の先にW不倫の修羅場を見るこの作品。そしてそれは、そんなW不倫の先に極めて納得感のある夫婦の姿を結末に見る物語です。
『住まいは都内私鉄沿線のマンション』で、『結婚してから十五年が経った』という袴田(はかまだ)家。『伽耶(かや)は今年四十一歳、匡(ただし)は四十二歳になる』という二人。『夫婦二人用には大きすぎるテーブル』に座る伽耶は『夫の匡が読んでいる新聞の縁が』、テーブルのチェックのクロスのひとつにぴったりと重なっているのを見て『わざわざ合わせてる』と思います。そして、『匡が新聞をめくり、重なっていた角がずれた』瞬間、『あなた、恋人がいるでしょう』と突然言いました。『大学時代に同じキャンパスで知り合』い、『六年間の交際を経て結婚し』た二人。そして、『うまくやれていたと思う』という生活を続けていたものの『あるときから、それまでの努力がふいにな』ります。それは『二人はセックスしなくなってしまったのだ』というその理由。場面は変わり『あなた、恋人がいるでしょう』と言った時のことを思い返す伽耶は、『ばかばかしい。行くぞ、もう』と言って家を出ていった匡のことを思います。『大手流通会社のシステム企画部の課長』という夫の匡。そんな時ふいに電話が鳴りました。『もしもし。あのさ』と穏やかに語り出したのは匡でした。そんな匡は、『君もいるだろう、恋人』と伽耶に語るのでした。場面は変わり、ランチタイム前に伽耶に電話をかけたばかりの匡は、『そうね』と自分の語りに答えた伽耶のことを思い返します。『妻に恋人がいることは、とっくに確信していることだった』にも関わらず『俺は動揺しているのか』とも思う匡。そんな匡はスケジューラーに表示されている『用事』という言葉を見て『とにかく「用事」に電話しなければ』と思います。さらに場面は変わり『患者のいびきを聞きながら』『耳を掻』くのは逢坂朱音(おうさか あかね)。鍼灸師が仕事という朱音はそんな患者を見送ったところで電話を受けました。『今、だいじょうぶ』、『今夜、会えないかもしれない』というその電話は匡からでした。そんな匡は『ばれた』、『恋人がいるでしょうって、言われた』と続けます。再度場面は変わり『住宅情報誌から依頼された四ページの漫画』の締切が過ぎて焦っているのは星野誠一郎。そんな誠一郎は呼び鈴が鳴るのを聞いて玄関扉を開けると、そこに立っていたのは伽耶でした。部屋に入ると『私には恋人がいるのよって、打ち明けたの。夫に。今日』と語る伽耶。W不倫が現在進行中の夫婦がお互いに相手の浮気を指摘することから始まった大激震の先に、まさか、まさかに展開する物語が描かれていきます。
「それを愛とまちがえるから」という書名の『それ』が指すものが気になるこの作品。”切実ゆえに笑いを誘う大人の辛口コメディ”という宣伝文句で語られる通りコミカルに振った表現が頻出します。特にあることを一文で表現せずに”ー”で説明を入れる極めて回りくどい書き方がこんな風に登場します。
『ウィークデーは ー というのはつまり、匡がいない日、という意味だが ー 欠かさずエクササイズしている』。
『匡は腕時計 ー 寝るときでも外さない ー をたしかめた』。
『白衣のズボンを穿いた脚 ー これを穿くとぜったい脚が短く見える ー を、空中で無意味に動かした』。
こんな風に”ー”で挟まれた小文を挿入していくという文体は一つひとつひっかかりを感じながらの読書となるため読書のリズムを取りづらいというデメリットはありますが、まるで注釈が欄外に書かれた文章を読んでいるようでもあり、そのシーンの情報量が格段に増えるメリットがあります。似たような形式を用いた作品として川上弘美さん「これでよろしくて?」があります。川上さんの作品は主人公・菜月のぐだぐだとはっきりしない性格を、回りくどい文体をもって表現するものでした。しかし、この井上さんの作品では、同じように回りくどい表現でも物語の深刻さを軽減させる前向きな演出のひとつとして捉えることができるように思いました。
また、さらに細かい表現としては『再び向き直った誠一郎の手が握りしめているのが、精力剤の瓶であることを伽耶は見て取った』という一文が登場します。その後に引き続いて『お殿さま出番です』という一言がさりげなく挿入されます。まるで掛け合いをやっているかのこの表現。あくまでコミカルに振っていこうとされる井上さんの細やかな演出がいい味を出してくれます。
そんなコミカルに振ったこの作品ですが、その中心に走る物語は本来は深刻な物語です。『結婚してから十五年が経った』という妻41歳、夫42歳の二人が主人公となるこの作品は冒頭に宣言される妻から夫への『あなた、恋人がいるでしょう』という先制パンチ、そしてそれを受けるように夫から妻へと繰り出される『君もいるだろう、恋人』という逆襲のパンチという決定的な応酬によって大きく動き出します。まさしくW不倫の現在進行形という二人。これが現実世界であれば、もしくは小説だとしてもそんな場は修羅場以外の何ものでもありません。その先に���見るも無惨な泥試合が待っているのは目に見えて明らかです。しかし、コミカルに振っていくこの作品はそんな起点からまさかの展開を見せていきます。それは単純に二人が別れておしまい、慰謝料の請求合戦突入と予想される展開ではなく、匡の不倫相手である逢坂朱音と、伽耶の不倫相手である星野誠一郎を交えた四人が複雑に絡み合っていくという展開です。それは、『だから、これはもう私たち夫婦だけの問題じゃないでしょ?私と夫とあなたと夫の彼女と、四人の問題でしょう?』というなんとも意味不明に展開していきます。この作品では伽耶と匡がW不倫に至るきっかけを、『二人はセックスしなくなってしまったのだ』というセックスレスに求めています。それもあって性について語る場面も多々登場します。『愛していたって萎えるものは萎えるのだし、愛してなくたってかたくなるときはかたくなるだろう。これは愛とは無関係なんだ』と思うものの『じゃあ何と関係があるの、と聞き返され』、『ああ面倒くさい』と感じる夫の匡。それに対して『自分にはもう女としての魅力がないのじゃないかと悩んだこともあったけれど、今はもうそんなふうには考えない』という妻の伽耶は、『私に向かってちゃんとかたくなる男を知っている』という考え方へと向かった結果が今の二人の関係を作っています。各種調査でも年代を問わずセックスレスへと向かう日本人の姿が浮かび上がりますが、そんな問題のその先をこの作品では上記の通り極めてコミカルに描くことで、シリアスになりすぎてしまう物語を絶妙に中和していきます。そんな物語は、伽耶の『キャンプに行かない?』というまさかの一言、『私と朱音ちゃんと、あなたとうちの夫の四人で。だって夏だもの』という強烈至極、前代未聞、そして古今未曾有なまさかの提案によって後半へ向かってさらに大きく動きだします。絶対ありえない、馬鹿馬鹿しいと言ってしまえばそれまでかもしれませんが、そんな先に四人がたどり着くことになる結末は、鮮やか、とも言える絶妙さの中に幕を下ろします。真面目な作家さんがコミカルに書き下ろした小説というと、柚木麻子さん「私にふさわしいホテル」が強く印象に残っていますが、不思議とコミカルに振れば振るほどに主人公の悲哀をどこか感じる物語が生まれるようにも思います。井上さんのこの作品も本来のシチュエーションや取り上げている素材の重さを考えるとよくもここまでコミカルさを維持したままにそれでいて問題から目を背けずに描けるものだと驚きます。しかし、読み終わって物語の冒頭に抱いた伽耶と匡に対する感情が変化するのを感じました。”笑いと涙は表裏一体”とも言いますが、この作品を読んでそんな感覚をも実感しました。
『いつから、セックスが夫婦の義務になりかわり、することにもしないことにも言い訳が必要になったのだろう?』というその先にまさかのW不倫が展開する様を見るこの作品。一見修羅場が展開すると見えたその先にはコミカルに振った井上さんが描く、深刻な内容を軽やかな筆致の中に見せていく興味深い物語が存在しました。読後にその書名の絶妙さに、なるほどねと、妙に納得感を感じるこの作品。その文体含めとても軽快にスイスイ読めてしまう物語にすっかり魅了された、そんな作品でした。