投稿元:
レビューを見る
「思考停止社会」。特に、現代日本の問題点を象徴する言葉だと思う。
思考停止に陥っていることさえ認識できず、ただただ一方的に流される情報に受身。本質を隠す隠蔽体質、それに対して懐疑心を持続するパワーに欠け、見抜く手段さえ麻痺してしまった国民。
法律も時代に即応できるような組織体制ではなく、事なかれ主義。踏襲社会が歪みを生む悪循環システムのようだ。
投稿元:
レビューを見る
読み終わって、タイトル通りだな、と実感した。膝も何回も打った。そんな当然のことも分からなかった、自身の不勉強と意識の欠如を恥じる。
投稿元:
レビューを見る
単に揚げ足を取るだけのようなことをもって「コンプライアンス」を論じる風潮に対して明確に否定しています。
思考停止とは非常に的を得た表現だと思います。
なぜ法令が守れないのか、守っていない方を単なる法令違反なのに重罪犯罪者の如く一方的な論調で「断罪」していくさま、またその行動を批判することになく受け入れる姿はまさに「思考停止」だと思います。
投稿元:
レビューを見る
他者のつくった言葉やルールを「遵守」することが大切だ、とする今の教育の危険性を指摘する本。最近の「実学」志向の流れは、「遵守」の危険性という考えが世の中に浸透してきたからうまれたものなのかな…と思った。
投稿元:
レビューを見る
法令遵守の観点でしか物事を考えない、その背景、実態には目を向けずに単純化され、思考停止社会に陥っている。マスコミには視聴率のためなら事実を曲げて報道し、間違っていても逃げ続ける。マスコミの視聴者受けするための単純化優先の論理が社会の思考停止を助長する。
これまでの報道、一般に認識されてきた事実はマスコミの都合、舛添元厚労相の無責任な発言などに起因することが指摘されている。
普段感じるマスコミのレベルの低さを改めて認識させるものだか、その改善策は今ひとつハッキリしたものがなく、問題点指摘にとどまっている感がある。
投稿元:
レビューを見る
情報弱者とか強者とかいうけど、真実を理解するには相当ニュースを読み込んで、客観性をもって考えないと強者にはなれないなと感じた。行き過ぎたコンプライアンスに陥らないために、マスコミもうまく使いこなせないと墓穴をほるのでしょうね。今まで「不二家のケーキは買わないぞ」と思ってましたが、考えを改めます<(_ _)>
投稿元:
レビューを見る
コンプライアンスについて、誤った適用の事例が多く集められている。
不二家の食品偽装や裁判員制度導入の問題など、著者が直接関わった事例も多く、内容に説得力がある。
マスコミの一方的な報道、それによって作られるムードによって、社会がまさに「思考停止」しているとの指摘は、決して他人事ではない。
コンプラ関連として、合わせて読んでみるべき1冊。
投稿元:
レビューを見る
日本人が、本質、大局を見ずマスコミの指し示す方向に突っ走り、社会が悪い方へ悪い方へ行っていることを指摘する。社会のその性向は、太平洋開戦から何も進歩がないと。
東京地検特捜部を経験した著者は、日本の裁判所、検察が、恐ろしい状態にあり、経済状態にも本質的な悪影響を及ぼしていることを指摘する。司法が閉じた世界で、他の分野の専門家を導き入れることもなく、他国とは比較できない悪制度の裁判員制度を導き入れ、その問題点を指摘する道も封じていることも。
不二家「事件」、伊藤ハム「事件」、実情を伝えようとしないマスコミによって作られた虚像を信じこまされていたようだ、と感じることができた。
不二家が TBS の捏造報道によって陥れられたことは、証明できていると言ってよさそうだ。
伊藤ハムは、柏市保健所の誤った条例解釈により、本質に関係ない事実を公表させられ、マスコミによってバッシングを受けた経緯も、よくわかった。
日本をまともな方向に導くためには、たとえば伊藤ハムが受けた行政指導の違法性について国家賠償請求訴訟を提起する道があるということも指摘している。
四年前の本、残念ながらその時点から改善されたことは何もないようだが、著者には注目して行きたい。
投稿元:
レビューを見る
社会的要請にどうこたえるか
1 社会的要請にこたえたいという個人の思いと姿勢
2 社会的要請を正しく把握し、複数の要請にバランスよくこたえていこうとする基本的な方向性が定まっていること。めざすべき基本的な方向について共通認識を持ち合っていること
3 状況の変化、環境の変化に鋭敏に反応し、臨機応変に動いていくこと。
社会的要請にこたえることについての法律家の役割
法令の趣旨・目的と基本的な解釈をベースに社会的要請という観点から法令適用の妥当性を判断し、問題があれば積極的に指摘していくこと。
個人や組織が法令を使いこなすことをサポートしていくこと。法令と社会的規範の相互関係を把握し両者のインターフェースの機能を果たしていくこと。
投稿元:
レビューを見る
「はじめに」を読んで、法令遵守の何がいけないのかと思ったが、読み進めていくうちに著者の考えが理解できた。マスゴミの曲解による煽情的な報道、それに迎合する検察、裁判員制度の欠陥、法科大学院の問題など、著者の言うとおりだ。
しかし残念ながら事態は何一つ良い方向に変わっていない。昨今の食品偽装問題でもシャケ弁をトラウト弁に言い換えるとか、大の大人がくだらない議論をしているのを見ると心底がっかりする。司法当局の認識の通り、90%以上の日本人は馬鹿か幼稚かのいずれかだ。これは間違いない。低俗なTVの報道を真実と思い込み、納豆が体にいいと聞けば納豆が棚から消え、バナナを食べれば痩せると聞けばスーパーでバナナを奪い合う。まさに思考停止だ。
もう5年ほどTVを見るのをやめているが、この世からTVが無くなっても結局ほかの何かに騙されるだけで、日本人の馬鹿と幼稚はずっと変わらないんだろうな、と思う。
投稿元:
レビューを見る
新書を読むのは久しぶり!
2000年代に話題になった食の偽装/耐震強度偽装などのトピックをテーマに、報道によって拡張された言葉と実際の数字の間にあるギャップを検証することで、どれだけ人が情報を鵜呑みにしてしまうかということを前半で説いている。後半はメディアの不完全性についてが中心だが、大衆を「育てる」メディアの在り方まで説けたらなおよかった。時代は変化しているのだから過去に作られた「法令」の名のもとに、検討を放棄するのでなく、異なる立場の人々がそれぞれ検討を重ね納得のいく社会規範を形成していくことが必要と結論付けている。
最後の結論は同意。
でも、やっぱり食品も建築偽装も、一個曖昧にするとじゃあどこまでいいの?ってなるから、ある程度厳しく罰せられることは必要で…
メディアは過熱し過ぎでも、注目されないと民意形成のための議論の対象にもならないからね。
問題は、どの番組もほぼ横並びで同じことを言ってしまうことね。でもそれが正しかったかというと微妙だと。
そして311以降メディアはある面では改善されて、ある面では改悪されたと思うのです。ということを私は語りたい。
投稿元:
レビューを見る
ルールを盲目的に遵守することによる思考停止の危険性を訴える内容。
本書で紹介されている事件について、当時はなんとなくニュースを見て、なんとなく悪いんだろうなあと思っていたのを思い出す。
投稿元:
レビューを見る
"多くの人に読んでもらいたい本の一つだと感じた。たまたま私は、伊藤ハムの事件について、従業員の声も聞けたし、柏市の保健所の立場の声も聞けた。概ね本書に記載の通りである。中核市になった柏市が保健所を自主運営する最初の仕事が伊藤ハムの水質問題になった。本書に記載の通り、見誤った対応のすえ、何ら食品に問題がない商品の回収をせざるを得なくなった企業の風評被害は甚大であり、従業員たちの苦労も聞いているだけに、正しい報道をすることのないマスコミには憤りを感じる。
同様に、本書のTBSと日テレの対応の違いとその後の処分の違いに、また怒りすら感じてきてしまう。
いずれにしろ、風説に惑わされずにしっかり実態を把握できる教養なり、感覚を持ちたいものである。"
投稿元:
レビューを見る
先日、社内会議の席で「思考停止」というフレーズを
連発するヒトがいて、なかなか面白い表現をするなぁ
と思っていたところ、本書を書店で見つけた。
そこで、すかさず購入。
食品企業の不祥事や、年金記録の改ざん問題、裁判員
制度などを取り上げて、「法令遵守」という「思考停止」
に警笛を鳴らしている一冊。
不二家の信頼回復対策会議の議長を務めた郷原さんの
論理展開は実に明晰で、説得力も十分。
(不二家のところは少し甘い気もするが。)
法曹界の方には必読の書、と言ってもいいほどの内容と
思う。
ただ、マスメディアを斬った章はやや物足りなかった。
本書で取り上げられている「思考停止」はどれも罪は
深いが、中でももっとも罪深いと思うのはマスメディア
だから。
投稿元:
レビューを見る
”思考停止”とは、一体何が止まっているのか。
まさに、考えることが止まっている。
与えられた情報や、指示された事を、全く無批判に受け入れ、従い、行動している。
誰か(どこの誰かも知らない)が、テレビやネットを通じて垂れ流している情報が、あたかも真実であり、重要であるかのように伝えられ、信じ込まされている。
それらに対して、何らかの疑問や、対抗する意見を持ち得ない事の危うさ。
”思考停止”状態にある自分に気づかせてくれる一冊だった。
.
著者の関わってきた具体的な事例を交え、そこに潜む矛盾や欺瞞、意図的な策謀を含めた解説が、それらの報道を見て、聞いて、受け止めてきた自分に突き刺さる。
自分もまた、”思考停止”状態にあったことに気づく。
気づかされてみると、それらを含めて、今起こっていることに対する視点も、思考も変わってくる。
それは、これから起こるであろう事にも、違った対応を促すことになると思う。
出版されたのは、2009年と一昔以上前なのだが、昨今のこの国の状況を見るに、決して古い内容とは思えない。
むしろ、この本の指摘している問題は、深刻化している。
となれば、是非とも、今、多くの人に読んでもらいたい一冊である。