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5年の刑期を終えて、今日出所する男。男の顔には豹柄模様の刺青がびっしりと彫られていた。物騒な容貌とは裏腹に、実に思慮深く物静かな男。彼は、27歳のとき以来、4度の服役を繰り返し、59年の人生の半分以上を刑務所で過ごしている。彼は何故、同じことを繰り返すのか・・・
彼を取り巻く5人の目線で描かれる彼の行動。
そして、徐々に明らかになるあまりにもつらい過去の出来事。
ピースが埋まっていくにつれて、読み進めるのが辛かった。
最後に少しの希望があってよかった。
原題は「檻から出た蝉」というらしいが、そっちの方がしっくりくるような気がする。
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今まで読んだ薬丸作品とは少し違ったテイストの今作。切なかった。こんな人生を送っている人もいるのかもしれない。やりきれないな。どうかこの先では陽子と幸せになって欲しいと願わずにいられない。
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面白かった。
事前になにも情報を持っていなかったので、
あ、テーマはこういうことなのか…と途中で気づきました。
薬丸岳さんは、つらい境遇を受け入れて生きる男の人を描くのが上手ですね。
読み終わって思わず涙がこぼれました。
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犯罪を犯しては逮捕され出所して、を繰り返す男。その周囲の人物が順に主人公となり、次第に真相が明らかになっていく。
重く切ないはずの話ではあるが、顔に豹柄の入れ墨を施した異様な風体、犯罪を繰り返すことになる理由など、あまりにも極端すぎるため、どうしても絵空事になってしまう。安直に大袈裟な設定にしなくても、じっくり書き込めば、例えば横山秀夫のような渋味のある作品になると思うのだが。
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章がそれぞれの人物目線になっていて、なぜ顔中に入れ墨を入れているのか?復讐を成し遂げることができるのか?といったことがだんだんと紐解けていって読み進むのが面白くなる。35年にわたる執念はすごいんだけど、その原因となる一番最初の事件が、なぜ起こったのか?とその場面の詳細描写が足りないような。
復讐をしようとすると必ず止めようとするやつが出てくるのはなぜ?好きなようにさせてやればいいのに。相手に殺されて、刑務所にぶち込むことで復讐にするのは自分としてはいまいち。
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何度も犯罪を犯したり顔に入れ墨をしたり、とにかく読んでいて気が重くなったりヒリヒリした感のある1冊。なぜそんなことをしたのかは色々な視点からわかっていくのだが最後に真相が見えた時、時間をかけたわりに何だかまわりくどかった気がしないでもなく、う~んと思ってしまった。
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4月-7。3.0点。
刑務所の入退を繰り返す、主人公。
工場労働時に、左手を切り落とす事故も。
麻薬の売買に絡み、殺害される事に。
しかし、刑務所の入退、麻薬の売買にも、全て目的が。
まあまあ。執念とやさしさかな。
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人生は些細なことでこんなにも暗転してしまうのかと…。
ただ小さな幸せを大切にしたかっただけのはずなのに。
悪いヤツが最終的に裁かれたのか、てか、改心しないだろうことがやりきれない。
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非常に切ないストーリー。
著者の作品は少年法に関わるストーリーを書かれますが、今回は初老の男性。
彼の深層心理が読みきれないままに、関係者の視点を章ごとに切り替えて物語が進む。
そのせいだけではないだろうが、どんどんと惹き込まれていき一気読み。
犯罪者、前科者というとそれだけで人は避けて通る。
そんな彼らにも人生があり、様々な選択肢がある中で判断をしながら人生を歩んでいく。
その判断をどうこういうのは難しい。それが良かったのか?ということは判断してからでないとどうかはわからない。
社会通念上とか世間体とかをベースに判断するとこちらのほうが良かったのでは?ということをアドバイスや指導する人のほうが多い。
が、本当にそれでいいのか?自己責任という言葉で片付けられない事がたくさんあるはず。
でも他に方法があったのでは?という思いを感じ、非常に切なくなってしまうストーリーでした。
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居酒屋「菊屋」を営む菊池のもとに、古くからの友人片桐が突然あらわれた。
片桐は32年間、妻子と別れ、繰り返し罪を犯し、刑務所を出たり入ったり。
その風貌は異様。
顔中に入れ墨、左手は義手。
片桐が店を訪ねてくるとを常連客は嫌っているが、菊池には拒まない。
片桐と菊池の関係は…
片桐はなぜ顔中に入れ墨をいれたのか…
刑務所を出入りするわけとは…
切ないラスト。
薬丸さんのミステリーは面白い。
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そういうことかー
と最後に納得。切ないおわり。
ページをめくる手が止まらない連作短編。
面白いというには語弊があるかもしれないが、復讐とは何かを考えさせられる。
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ああ、薬丸岳さんだ~。お終いまで読んでそう思った。
第5章読むまで、片桐の行動に全く理解が出来なかったし、全く面白さが解らなかった。しかし、途中でやめなくて良かった~。第5章で納得。
陽子を本当に愛していたんだね。ひかりも。だから、絢子にも、荒木にも…。
梶原さえいなければ、幸せになれたはずなのに。虚しさが残る。
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薬丸さんらしい重いテーマ。章ごとに別の視点から構成されているので、同じシーンを別の見方ができて面白かった。でも、当の片桐さんの視点はないんだな。そこがよくできているよね。
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平凡な男・片桐達夫がある男・梶原史郎と関わったがために
人生を狂わされ、復讐鬼となる物語。
すでにまーちさんがレポでも書いているが、
主人公片桐の執念と意志の強さに驚かされる。
決意表明ともいうべき、片桐の顔の入れ墨。
復讐を忘れないためか、人相を替えるためか、
突然、顔中にヒョウ柄の入れ墨を入れるという
行為そのものに度肝を抜かれた。
・菊池正弘 片桐の恩人でもある菊屋のマスター目線
・中村尚 主人公を救いたい一心の若手弁護士の目線
・松田ひかり 主人公の愛する一人娘の目線
・森口絢子 主人公の仇のヤクザの情婦の目線
・荒木誠二 片桐が身代わりとなって罪をかぶってやった男の目線
菊屋で事件を起こして服役し、以来、
刑務所を出たり入ったりしている片桐。
目立つ顔の入れ墨のため不気味な雰囲気を漂わせ、
彼の住んでいた町でも、要注意人物というレッテルを貼られている。
何回目かの出所をしてから
彼のラストナイトまでの一連の事件の流れが
上記の5人の目線から書かれていた。
それぞれの立場から
悩みや苦しみもわかるように工夫された構成だった。
自分の気持ちを最後まで表さなかった片桐だから、
周りの人々の彼の気持ちを推測する優しさも光る。
故意に犯してしまう犯罪があれば、
偶然に犯罪に巻き込まれる場合もある。
家族を愛しながらも、それがもとでの家族の崩壊。
下層社会でもがく人々の苦しみが
ストレートで力強い文体で描かれていた。
サラリと読める作品だが、
片桐の切なすぎる人生についての印象がとても強く残る。
社会のブラックな闇に苦しむ人々を描けば
薬丸さんはピカイチではないだろうか。
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居酒屋「菊屋」にやってくる顔に刺青を入れた片桐。
32年前にその店で店主の妻に脅してきたヤクザから
守るために傷害事件を起こしてしまい、それから
何度も強盗、誘拐事件をおこしては服役を繰り返してきた。
それは何故なのか?最初の事件で妻と子供と別れることになり
自暴自棄になったからなのか?
「菊屋」の店主菊池、弁護士の中村、娘のひかり、
ヤクザの女絢子、片桐に借りのある荒木、それぞれの
視点から片桐という人物との関わりが書かれている。
復讐のためだけに生きる片桐がとても悲しく、
ラスト10ページぐらいから涙が止まらなかった。
ゲスな梶原にもっとスカッとする復讐をさせてやりたかった。