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河出文庫の6冊目の十蘭短編集。幕末、戦後風俗等相変わらず幅広い題材が料理されており、楽しめる。特に「カストリ侯実録」等の西洋実録物が面白い。
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毎回楽しみにしている河出文庫のシリーズ。もう、うまいとしか言いようがございませぬ。実録ものを中心においた短編集。フィクションとノンフィクションの境目がわからん。
アナスタシア皇女のその後を描いた『淪落の皇女の覚書』、サスペンスの趣もある『あめりか物語』が面白かった。心理描写、構成、文章のうまさ。ハマると抜けられませぬ。本当に、ジャンルを選ばない作家ですね。感心しちゃう。
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フラットな視点で描かれた歴史物の佳作を多数収録。ドキュメンタリータッチの凝った文体に、「さすが手練れよのう」としみじみ。あとがきを読んでていておやと思ったのは、十蘭がGHQの閲覧コードを把握していた節がある、ということ。だとしたら情報提供者は誰だったんだろう。そこらへんの謎も大いに気になる。
・「レカミエー夫人」:現代のこじらせ女子を先どりしたようなユーモアたっぷりの物語が面白い。
・「あめりか物語」:十蘭らしいシニカルな視点が冴えている。無慈悲なまでにクールな結末もいっそ潔い。