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なんとも言えないノスタルジックな雰囲気をもった作品。一見日常っぽいお話の背後に隠れ見えるSF的な要素。物語中における現実と虚構の境界が曖昧になっていくような不思議な感覚。
読むのには少々手こずりました。この作品の本当の意味でのおもしろさ、奥深さを読み取るためには、少々のSF者の素養が必要なようです。私では少し足りなかったみたいです。
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北野SFの原点にして、一つの到達点であり、後の北野勇作のすべてが集約された傑作物語。
また、2000年代の日本SF復活の幕開けとなる長編の一つ。
10年ぶりの再刊で読み返したけど、10年間に北野勇作の作品をいろいろ読んだので、10年前より作品がより理解できるようになったと思う・
背景レイヤにかなりハードなSF設定があるのに、その前景レイヤに日常とノスタルジーを感じさせる風景、どこかずれているけどほのぼのとした優しい世界。
それを描き出す作者の文章が考え抜かれ、でもなんか読みやすく、擬音の巧みさもあり、淡々と進むけど奥が深い小説。
この風景がカメモリのどこかにひっそりと冬眠して、いつかかめくんが少しの懐かしさとともに夢でもいいから思い出してくれることを思いながら、ラストでまた少しく泣いた。
とにかく読んで欲しい、かめくんのお話です。
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優しくて、温かくて、どこか懐かしくて、
そこはかとなく不安さを感じるおぼろげな世界。
SFだしファンタジーなんだけど、相手はかめなんだけど、
かめくんが感じている「不確かさ」には、共感を覚えてしまいます。
ちょっと哀しいけれど、ゆったり浸っていたい
ほんのりとあったかい世界ですw。
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河出文庫『かめくん』(北野勇作)読了。
長らく読みたかったSF大賞受賞作がようやく復刊。感慨深いものがありますなぁ。
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文と表現が平易ですいすい読める。
木星に気軽に?行けて、エビとカメが宇宙戦争しているりんごのような世界。
一読して、カメを書きたかったんだなー、と分かる。あとがきもそんな感じのことが書いてある。
意識だとか、記憶だとか、アイデンティティとかは色々書いてあるけど、正直おまけでしょう。
擬音?というか、叫び声に特徴がある。
かああああああああああああああああああめええええええええええええええええええええ、とか
2001(2010)年宇宙の旅、アンドロイドは電気羊の夢を見るか、が出てくる。
2001年は木星、アンドロイドはレプリカント関係。
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日本のSF小説の中で連綿と受け継がれるナンセンスの世界と
現代の感性がいいあんばいで混ざり合った、
派手さはないけどしっとり読める良作SF小説。
なんだか判然としない目的のために作られた
ロボット的な何かであるはずのかめくんに
自分を投影してしまうのが不思議。
からっぽなかめくんだからこそ
誰にでも共感できる構造になっているのかもしれない。
かめくんが自分自身のこうらの内側を見るように
読者も自分の内面に目を向けることになる。とか。
最後にかめくんが人と同等に暮らしていくことを
困難にしていたひとつの要因がはっきりするのだけど
なんというのか、哀しい愛しい感じにぎゅっとなります。
かめくん。君は・・・。
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わたし、これ大好きだーー!!!どうして長らく絶版だったのだろう。なんてもったいない。復刊してくれた河出さん、本当にありがとうございます。あとがきまで含めて堪能致しました。
"かめくんは、自分がほんもののカメではないことを知っている。カメに似せて作られたレプリカメ。リンゴが好き。図書館が好き。仕事も見つけた。木星では戦争があるらしい……"
かめくんの目を通した日常がたんたんと綴られる。未来の話のはずなのにどこかノルスタジーを感じる風景。かめくんとかめくんを囲む人達の、とぼけた会話や行動。まるで童話を読んでいるような感覚。しかし読み進めるにつれ、木星の戦争やレプリカメの謎がちらほらと日常にかすり始める。和やかな日常の背景にある、どこかいびつで黒い世界。何か深いところをつかれるような思い。
最後はぽろりと涙が出た。せつない。
激しいインパクトがある本ではないけれど、時々取り出して読み直したくなる一冊。そして色んな読み方ができる一冊(レプリカメの設定のみならず、亀の甲羅と世界の関係、かめくんの世界認識、なんかはとってもSFだし哲学。)
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メモ)Anima Solarisの『かめくん』著者インタビュー(2001/01)
http://www.sf-fantasy.com/magazine/interview/010302.shtml
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カメ型アンドロイド的な“レプリカメ”のかめくんの日常。
日常と言っても理由がよくわからないけど木星で戦争が起きていて、かめくんは仕事の合間に機械亀を操縦してザリガニと戦ったり、阪堺電車(らしき路面電車)が木星につながってたりする世界。
ノスタルジックでゆるーい雰囲気なのに、どことなしに不気味さを覚えたりした。かめくんたちの意思や記憶は、人が勝手に書き換えたりして良いものなのだろうか、とか。そういう意味で三章が一番興味深かった。
難しいことを考えずに、ゆるっと読むのが正しい気もした。
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実践ではなく実戦
戦闘のあとの銭湯
言葉のしりとりみたいにつながっていくお話。
木星の戦争とか、ザリガニイとか、遺伝子の交換とか、そもそもかめくんって、なんだろう。
時代背景も細かな設定もよくわからなかった。
これがSF大賞ならば、私にSFは合わないのかもしれない。
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ちょっと泣きました。
ひとりぼっちのセカイ系。哀愁と恐怖と優しさが漂う涼しげな甲羅の内側と外側の空。
かめくんのように生きられたらなあ。
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2012.9.25
【経緯】
ぺりこさん推薦
【内容メモ】
かめくん
レプリカメ
SF 木星戦争
世界は甲羅の内と外で構成されている
かめに似てるね
【感想】
戦争のために作られたレプリカメ。
戦争が終わり、目的を無くしたアンドロイドはこころを持ち、じぶんの考えを持ち、生きていけるのか。
その思考も生き方も作られたものなのか。
哲学的なテーマなのに、それを押し出さないという珍しいSF。
でもただの無意味なゆるふわ日常というわけでは決してない。
音がいい。
にくきゅうううう
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ああ、10年前に読めていたら良かったな。こんな面白い小説があったなんて。復刊で出会えてほんとうに良かった。
微笑ましいんだけどなんだかかなしくて、いつのまにかかめくんの目線で世界を見ている。少しだけ泣く。この小説世界に浸っていたい。
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SFだと言われても最初ピンとこなかった。
ただ、物語全体にわたって、諦念と不安感がつきまとい続けていて、それが、少しほのぼのして見える「かめくん」の語り口とミックスされて、読み進めずにはいられない原動力になって、夢中で読んでしまった。
カメの哲学と世界観は難しくて直感的で面白い。
不思議な物語だった。
SFなんだろう。
せつなくて、面白かった。
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登場人物は皆どこかしらとぼけた
発言をしているけれども、
実際にかめくんの周りで起きていることは
「となり町戦争」のような
恐ろしいことなのかも。
そもそもかめくんの思考上の世界かもしれないが。
メカメがザリガニイを捕食するシーンは
エヴァンゲリオンを思い出した。
かめくんとチンチラの同居生活は
視覚的に想像すると和んだ。
このお話をアニメーション化したら
独特な雰囲気出るだろうな。
かめくんの推論を逐次
視覚化していくと面白そう。
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りんご(紅玉)とするめとおかきが食べたくなる。川原泉先生が好きな人は好きなんじゃないかと勝手に推測。つまり私は好きです。