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久々に泣きました、泣けました。
とても良かったです。
実のところ、アマゾンでたまたま見つけた時、先に読まれた方の感想を読んで、購入をためらいました。しかし、表紙の美しさと内容紹介に興味を惹かれて購入。
代々、「純血」を重んじる伝統ある帝国の女帝は、実は男性だった―。
そのため、皇族だけにしか現れない容貌の特色を持った一般人の兄妹を拉致監禁して、ひそかに皇帝との間に子を儲けさせることになりました。
ところが、近衛騎士であった兄と「女帝」が予期せず恋に落ちることになり―。
本当に良かったです。
少年ながら、他に世継ぎがなかったために「皇女」としてわずか12歳で即位、以後、帝国のために私情も押し殺して、ひたすら「女帝」であろうと努めてきたヒロイン(男)。その健気さとストイックなまでに国を思う心に打たれますし、また、即位前は男なのに女して生きることを強制される理不尽な運命に反抗していた彼(女帝)に、「女帝として生きる覚悟」を促してくれたのが実は恋に落ちた騎士だった、、、という設定も素敵です。
二人は突然、恋に落ちたわけではなく、実は随分昔に出逢っていて、それが「女帝」の初恋だったのですね。
他の方のレビューに「皇配ジョシュア」つまり、女帝の前夫が名前だけ登場で、作中にまったく出ないのは不自然という感想がありました。
私は、実は、その方が結果的には良かったのではないかと感じます。
何故なら、前夫を出してしまうと登場人物が多くなりすぎ、しかも重要な役所になりますから、一人一人の心理描写を十分に描きにくくなるからです。
なので、これはかえって出さないのもアリかなと、もちろん個人的な私見ではありますが、そのように思いました。
ファンタジーながら、ヒストリカル小説を読んだときのような読み応えがあり、大国の歴史を動かした一人の「女帝」と彼女(彼)を陰で支えた騎士の尽力に胸が熱くなりました。
心を打たれる素晴らしい作品でした。