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素晴らしかった。その試みが。
SWが古典であることの証明だろう。
”もし、シェークスピアがスター・ウォーズを書いたら”という副題にあるように、かのシェイクスピアの文体を真似、戯曲のスタイルで書かれている。
題材となったのは当然Original Trilogyの3作品だ。内容も熟知しているので、1冊読むなら?と考えたが、そこは迷いなくEp.IV「帝国の逆襲」だろう。
登場人物が増え、なにより独特のしゃべり方をするヨーダのセリフがいかに工夫されているかが最大の関心ごとだ。ネタバレになってもなんなので詳細は書かないが、著者もやはりヨーダの言葉をいかにするかは苦心したことがあとがきの中で触れられていた。見つけた解決策が、日本人としては嬉しくなるところだ。
登場人物はワンパ(氷の星ホスにいる雪男タイプのクリーチャー。映画では咆哮だけしかない)でさえもセリフを与えられ、堂々の演技を披露する。舞台の袖から袖へと次々と登場人物が現われては退場していく様がユーモラスでもある。
16世紀の雰囲気を銅版画風の挿絵も醸し出し、登場人物の衣装もレンブラントが描いた「夜警」の人びとのようないで立ちで出てくるのが実に可笑しい。
SWモノは、ジェフリー・ブラウンの絵本にもすぐ飛びついてしまったが、このシェイクスピア・パロディも相当面白かった。
「韻文(ヴァース)の共にあらんことを」というプロモート用の一言も効いている。
とはいえ、3冊とも読むようなものではない。この1冊で十分だ。
惜しむらくは、シェイクスピアにそれほど親しんでいないこと。もちろん原文でも読んでいない。どうやら原書のほうに登場する独特の表現なども再現(引用?)されているようで、分かっていれば抱腹絶倒なのだろうなと思うと浅学の身が恨めしい。
誰か、「平家物語」風パロディにでもしてくれまいか? まだそのほうが大笑いできたかもしれない。