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近くのことは、案外、遠くのことより見えにくい。人の目は、遠くを見るには都合よくできているが、自分を見るのには不向きなようだ。囲碁の対局でも観戦者が対局者より上手であるわけでもないのに、局外者ならではの、対局者には決して見えないものが見えたりする。いわゆる岡目八目。客観的に判断できるアウトサイダーは優位に立てる。スポーツにおいても一人で練習するだけでは分からないことがコーチにはわかる。様々な価値観がてんでばらばらに並び立つ現代。外側から物事を見ることができるアウトサイダー思考は今の世の中には必須のもの。広い視野から違う角度から整理していくことが肝要。
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「この本は客観的思考(アウトサイダー思考)と
主観的思考(インサイダー思考)の違いを述べながら、日本人に客観的思考の有用性について、理解してもらうためのエッセイ集である。」
読書指南本『本を読む本』を読んで以降、本はまずタイトル、目次からきちんと読む。なぜなら、著者が言いたいことは、そこに凝縮されているからだ。冒頭の言葉は、本書を開くと写真とともに最初に目に飛び込んでくる。それから16枚の写真とコトバ。『本を読む本』の翻訳者である著者が本書で言いたいことは、もう、ここに書き尽くされたと言ってもいいのだけれど、そのあとがまた、さすが!と思わせる一冊。字も大きく読み易い。『思考の整理学』未読の方にぜひ。
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アウトサイダー思考とインサイダー思考。外から見るからこそわかること、内側にいるからこそ見えにくくなること。読めば読むほど、自分は超主観的&情緒で動く人間だなあと反省。
ソトである外国に行ってからウチである我が国の姿を再発見することもあるって話はよくわかる。編集の機能の話も面白かった。私はどうやら典型的な日本人らしく、物理工学的編集はできても化学的編集の知見は不十分だったみたいだ。
内容はあまり関係ないけど、精神がやられてるときに読んだので外山氏の毒舌っぷりに無駄にダメージをくらった…。思考の整理学も読もうかな。
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ずっと「アウトサイダー」「インサイダー」の話。
アウトサイダーは、責任が無くて気軽・発見ができるから、人は旅をする。伝統はインサイダーによってつくられる。etcなるほどなっていうところもあるけど、中身が薄くて物足りない感じ。
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「思考の整理学」で有名な外山滋比古によるエッセー。思考の整理学よりも内容は簡単であり、文字も大きいため、外山滋比古の考えの一端を知るにはいい。
客観的思考(アウトサイダー思考)と主観的思考(インサイダー思考回路)の違いを、昔話のモモタロウの例などを挙げながらわかりやすく説明している。
確かに近くにいるからこそ、見えないことが家族や会社や組織、果ては自分自身といったものが多々あるように思える。自分のことが一番理解しているというのは、本当に烏滸がましいことであると思わされた。
勿論主観的思考で、物事はうまくいく時や、人とのやりとりで正しい時もあろう。しかし気づいたら主観的に偏りがちな自分を戒める意味でも、アウトサイダー的なバランスを保つ必要があるのではなかろうか。
個人的には『消えるコトバ 消えないコトバ』という表題は、あまりに婉曲的であるなあと思われた。
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主観的思考(インサイダー)になりがちな現代人が、客観的思考(アウトサイダー)を持つためのヒントについて書かれています。
特に日本は情緒的と言われており、インサイダーになりがち。物理的に距離が近いとインサイダーに寄ってしまう。ここがポイント。
インサイダー寄りになってしまった時は旅に出ると客観的な視点を持ちアウトサイダーになれる。
また、伝記は本人に近い人ではなく、一回しか会ったことがないような人が後世に残るものを書く。アウトサイダーの視点が大事。
外国文学を勉強するのに留学は必要ない。平安朝の文学を研究するのに平安時代に留学する必要がないのと同じ。日本にいるから海外文学なのだ。
さて、気になるのがタイトル『消えるコトバ・消えないコトバ』。思考の話だと思ったら、この本はアウトサイダー言語と文化の本だったもよう。
エピローグに「昔話のような古典はアウトサイダースタイルだ」ということが書いてあります。当事者主観的文体よりも、超個性的アウトサイダー表現のほうが消滅しにくく歴史に残ると。
『桃太郎』のムカシムカシ...の口上を例にあげていましたが、ナルホド個人や場所が一切特定できないつくりになっています。これが古典スタイル。
古典スタイルは当事者が身近な話をするときにマネすることもできる。ゴシップ話や風俗小説ではこうはいかない。だからおとぎ話は後の世に生きる。こういうわけですね。
「桃太郎」のモモを「遠くから来た嫁」としてスピーチした例も面白かったです。
読みやすいけどところどころ難しくて理解がなかなか追いつかない章もありました。またじっくり読んでみたいです。