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東京生まれながら、東京會舘には興味も知識も全くありませんでした。近くにある帝劇や帝国ホテルにはお世話になったのに。東京の激動期を見つめたこの歴史ある建物を支えた、数々の専門家たちを描いた連作集です。特に洋菓子部門を支えた勝目さんやバーの桝野さんの話には感動。もうその味が完璧に継承されてはいないと思うし、本館改装に伴って変わってしまう部分もあるだろうけど、いつか伝統のお菓子やお酒を賞味したいものです。離れてみてやっと分かりましたが、東京もけっこう面白い。下巻も楽しみです。
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図書館より。
どの話もしっとりと、なんというか重みがありつつも読み終えた後の余韻がいい。
そして登場人物がリレーのように、まさに歴史を紡いでいる。戦中の結婚式だったり、戦後のバーテンダーの話だったり。
私的に最後のお菓子の話がジンときた。
お持ち帰りのお菓子にどれだけ心踊ったか!素敵な入れ物に入っているホテルのお菓子にどれだけ憧れたか!(笑)
一気読み。やはり面白かった。下巻も楽しみ。
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東京會舘の歴史と共に東京會舘との人の繋がり、物語が短編で書かれていて、時に登場人物が混ざりあったり。主人公の人生の一瞬にあたかも参加しているような感覚。心がとてもあたたかくなった。新しい東京會舘が出来たらぜひ足を運んでみたい。
とても素敵な作品でした!
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東京にいたけど、東京會舘って…?な感じでの読みはじめ。
製菓の職人さん、すごすぎて、お土産ひとつにこんな情熱を持って開発してるんだと感動した。
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残念ながら東京會舘(もちろん東京會館も)には行ったことがない。會館から會舘への変革も知らなかった。
それでも十分楽しめた。
単にレトロな雰囲気が味わえるだけでなく、登場人物、それも東京會館に関わった人だけでなく、東京會舘で働く人の素晴らしさが良かった。
思わずHomepageを見ました。現在會舘は立て替え中ということだが、本に出てくる料理やスイーツは厳格に守られたレシピで他でも味わえるようです。
刊行記念フェアはまだ続いているようなので、時間を作って行きたいです。
フェアが終わっても本はそのまま、料理もたぶんそのままでしょう。お勧め。
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大好きな作家、辻村深月さんの最新作。
今回の作品は東京丸の内にある「東京會舘」を舞台に実際の歴史をたどりながらの小説。
東京會舘の歴史のなかで様々な人間模様が織り成していきます。
辻村作品らしさも出しながらも今回は凝ったストーリや伏線は控えめですが相変わらずの人間描写のうまさにグッとくるところがいっぱいです。
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ここは夢が生まれる場所。華やかなる“社交の殿堂"。大正11年、丸の内に落成した国際社交場・東京會舘。海外ヴァイオリニストのコンサート、灯火管制下の結婚式、未知のカクテルを編み出すバーテンダー・・・。変わりゆく時代の中、“會舘の人々"が織り成すドラマが読者の心に灯をともす。大正、昭和、平成という時代を情熱的に生きた人々を、鮮やかな筆致で描き出す。
帝国ホテルはわりと利用して馴染みがあるものの、東京會舘はあまりご縁がなく名前しか知りませんでした。ですが、この作品を読んでからもう勝手に脳内で憧れの場所と化してしまって、本館が2018年まで工事中と知り悔しい。ぜひ今度レストランで食事をしてみたい。ぐっときたのは最後の菓子職人勝目先生のお土産フランス菓子への挑戦。確かにお店で食べられるのは一部の人であり、多くの人に味わってもらえるためにはお土産が一番なんだよなあ。勝目さん、田中さんをはじめとするプロたちの涙ぐましい努力に支えられた商品を食べられるのは幸せなことです。短編の中でそれぞれ登場人物がつながっていて楽しいのは辻村さんのお得意手法ですね。下巻も楽しみ。
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東京會舘、地方に住む私には
全く思い入れもない建物だが、
読み進むうち
その東京會舘の歴史が日本の歴史に
ダイレクトに影響されていて
興味深かった。
旧館はどうしても暗い時代、
でもジワジワ滲みてくるエピソードがいい。
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東京會舘を舞台にした物語。
連作短編になっていて、緩やかにそれぞれの物語が繋がっている感じ。
最初、少し読みにくいかも?と思いましたが、特に後半の2編はとても良いお話で一気に読みました。
東京會舘に対する愛着、そして拘り。
伝統を守りながらも新しいことへチャレンジする姿勢。
やはり長く続けて行くには、こういった努力が欠かせないんだと思いました。
下巻にも期待!
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東京會舘という建物の歴史と、そこで働く人々、そこに居合わせた人、様々な場面の話。また、登場人物が少しずつリンクしていくのも楽しい。
上巻は大正12年5月『クライスラーの演奏会』から昭和39年『しあわせな味の記憶』までの5章。どの章からも東京會舘と人と人との繋がりが感じられ、懐かしくもあり同時にキュッとするような切なさを感じる話でした。とても良かったです。
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私も、東京會舘が好きだ。思い出がある。お持ち帰りのお菓子の思い出。上巻の第5章のお話し、ふむふむと思った。父がお土産でたまにもらってきたのと、祖父が良く買ってくれた。関西出身の祖父は、戦争の時期に東京の北の丸公園のそばにある建物で、陸軍の経理(だったかな)として働いたことがあったそうだから、もしかして、東京會舘になにか縁があったのか。聞いたことがないけれど。祖父も父も早くに亡くなってしまい、もっと話を聞いておけばよかったし、いまなら聞けたのにな、と思う。
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大正11年創業、東京・丸の内にある皇居を臨む宴会場、レストラン、社交場として歴史を刻んできた「東京會舘」を舞台とした連作短編小説。第一章は創業直後の大正12年を描き、章が進むごとに時代が流れ、下巻の最終章は平成27年。主人公(視点人物)も章ごとに変わり、東京會舘の歴史と、関わった人々それぞれのドラマを描く。
著者の辻村深月さんは東京會舘で結婚式を挙げたらしい。直木賞の会見場としても利用される場所なだけに、直木賞作家である辻村さんとしても思い入れが深く本作の執筆に繋がったのだと拝察する。
本書は全くのフィクションではなく、東京會舘の史実を基にして描かれる。読後に東京會舘のホームページで沿革を読むと、作中に登場する人物や料理、菓子、場所などを写真付きで見ることができた。戦前、戦後の日本をまた新しい側面で知ることできるのは、歴史小説(著者自身が本書をそう呼んでいる)の醍醐味だ。
上巻である本書は全5章から成る。時代としては関東大震災が起きる大正12年(1923年)から、東京オリンピックが開催された昭和39年(1964年)まで。第1章と第3章では東京會舘を利用する外部の人間の視点で、第2章と第4章、第5章では東京會舘を支え作り上げてきた内部の人間の視点で描かれる。特に内部の人々の東京會舘に対する熱意と努力に胸を打たれるが、本書の幹として、東京會舘の一貫した理念である「社交の民衆化」「階級を超えて愛される場所」というテーマを強く感じることが出来る。
下巻の舞台は急激な変化の時代。東京會舘がいかにその生き様を見せてくれるのか、楽しみだ。
また、下巻を読み終えたら一度丸の内へ訪れてみようと思う。
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東京會舘の長い歴史の中、旧館の内容はまず戦後の事を中心となって書かれていました。ホテル従業員の方々の苦労話が多かったのですが、それでもホテルマンとしての誇りを感じさせるエピソードもありジーンと心に刺さりました。フィクションだと知りつつも、現実にあったような感覚で旧館を読み終えました。
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プロローグから、さらに5篇。東京會舘にまつわるストーリーが、登場人物もしくはスピリットが受け継がれ語られてゆく。主人公が変わるけれど、登場人物や題材がどこかでつながっていくという構成は好きなので、読んでいて面白く感じたが、辻村深月という作家にこの構成は向いていないと、正直私は思う。
なぜなら、辻村深月という作家は、書けば書かせただけ登場人物に命を吹き込み、読者をひきつける魅力的なキャラクターをたくさん存在させることができるからだ。
だからこそ、短い一篇のうちで、この時代の、このお話が、この人たちが終わってしまうのが物足りない、さみしいという気持ちがぬぐえなかった。
また、彼女の長所である、「長く書かせたら書かせただけ」は、逆に言えば短所にもなりうる。短い構成では、やはり及ばない、という点である。
これに関しては「家族シアター」の「タマシイムマシン」に関する短編で払拭されたかのように思えたが、やはり辻村深月は長編を書かせてこそ、の作家だと思い、この上巻を読んでいる間は、「果たしてこの本は辻村深月が書くことに意味があるのだろうか?」という疑問をぬぐえなかった。
ところが、それは下巻を読んで杞憂となるのであった。
(下巻の感想へと続く)
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東京會舘がどういう建物かもよく知らないまま読み始めてしまいましたが、そうか、文学賞の会見・授賞会場か。そういえばなんとなく聞いたことがあるような。
東京會舘ができた大正のころから、現代に至るまで、東京會舘を舞台にした人々の大切な記憶を綴る短編集。
ううん、東京會舘に行きたくなってしまうなあ。最後の製菓のお話がいちばん好き。