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何も知らなかった。
大正11年創業で、丸の内に建っているということは
こんな激しい歴史の流れの中にあったということを…。
名前だってコロコロと変わり
その度に不安がうずまく環境の変化があったというのに
この働く人たち、利用する人たちの溢れる會舘愛は
どこから沸いてくるのだろう。
東京會舘旧館時代の物語。
いちいち驚きました。
旧館の5編は、時代背景が全く異なるのですが
働いている方々に流れているものは
全く変わらないんです。
『社交の民衆化』
私たちに開かれた場所。
どの話も大好きですが、
第五章の「しあわせな味の記憶」で
持ち帰りができるお土産お菓子の商品化で
事業部長が語る商品化したい理由にしびれました。
東京會舘とほとんど接点がない私が
これぞ東京會舘!と膝を打った一冊です。
パピヨンとガトーは新・新館が完成したら
絶対に買いに行こうと思います。
あ、ガトーアナナも☆
會舘の舘の字は創業当時からのものだとばかり
思ってました。この字にも会いに行きたいです。
それと…話がそれますがタイムマシンがあったら
関東大震災後の東京會館の
改築工事をしている清水組に
差し入れを持って、お茶を入れに行きたいです。
惚れます。清水組の心意気も。
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東京會舘の歴史を下敷きとしたフィクション、連作短編集です。
上巻は大正時代~戦争直後、旧館でのストーリー
時の移り変わりとともに主人公を変えて進むけれど、
登場人物が重なっていて、しかも新米からベテランへとなっていて
歴史が感じられます。
田舎に出戻った作家志望の青年が聞いたクライスラーの演奏会
戦時下で政府に徴用される最後の日の結婚式、
美容部の3代目遠藤波津子さん、
クライスラーの演奏会に出ていたボーイがベテランの黒服になって登場
戦後、バーでのお話し、「グッドモーニングフィズ」というカクテル
持ち帰り用の菓子を作る話で、パピヨン
どのお話も素敵で、1話ずつもう少しじっくりと読みたいと思いました。
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「東京會舘とわたし 上」
丸の内にあった東京會舘にまつわる人々の話。
関東大震災や戦争。そして、マッカーサーによる統制にも耐え抜いた古くからある東京會舘。
ここで働くバーテンダーやフランス料理のシェフ。お菓子部門の部長。結婚式を挙げた夫婦。
みんなここが大好き
そんな思いの詰まった人たちのお話にほっこり。
下巻では新館の時代の話へ。
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戦時中のことも出てきて、季節的にタイムリーな感じでビックリしている。そうとは知らずに、図書館で予約していたのが届いたからという何気ない感じで読んだので。
読み終えた今日は奇しくも終戦記念日でした。
最初はあまり順調には進まなかったのに、じわじわ、手が止まらなくなる。
しあわせな味の記憶が好き。田中さんの涙にこちらも目頭が熱くなる。
彼を始めとした登場人物たちが本当に魅力的。
緩やかに続いていく歴史。
温かな余韻で、胸がいっぱいになる。
辻村さん久しぶりに読んだけど、こういうのも書くんだなぁ。いいなぁ。
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大正12(1923)年から昭和39(1964)年までの5つの物語。
いろいろな人が心に残る体験をしてきたのね。
昭和19年以降の物語から、なんとなく想像できるような話になってくる。
人の記憶に残る建物とサービスなんだな、きっと。
東京に住んでいるうちに1度くらい行ってみたかったと思わせる物語。
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東京会館といえば、骨折してたときに参加した某○財団の助成金贈呈式のときの昼食会のお料理…ぐらいしか接点がないのが残念。
歴史、その時代が感じられるひとつひとつの物語が素敵。
2016/12/31読了 2016年の76冊目
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上巻は東京會舘の開館当時から東京オリンピックの年まで。
辻村さんの思い入れも含めとても丁寧な作品だと思った。とても「東京會舘」を大事にしている。それは登場人物に凄く反映されていた。
著名人たちが使用したと有名な東京會舘であるが支えているのは無名であるけれどその仕事にプライドを持っている人たち。
皆輝いていた。
作家、同僚、夫婦、キャストとゲスト若しくは會舘でただすれ違った人々。
皆何処かで繋がっている。
一つの物を何年も何人の手によって大事にされる。
当たり前の様で最近はそれがなかなか難しい事になって来てるな。と思った。
ガトーアナナ、食べてみたいな。
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東京會舘の開館~昭和39年まで。
そこに携わる人たちの仕事への真摯な態度や思いで
また
人生の節目で利用した人たちの思い出が交差している。
私は「モーニング・フィズ」の話が好き。
下巻が楽しみだ。
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東京會舘を舞台とした連作短編集。
旧館の1923年~1964年までの一場面を切り取った短編5作。
ひとつの場所を舞台にした連作短編集というと「本日は大安なり」が思い浮かぶ。そちらが大好きだったので、傑作の予感しかなかったけれど、やっぱり思った通り私的には大ヒットでした!
以下ネタバレ大
クライスラーの演奏会
田舎に引っ込んでいた作家志望の青年が忸怩たる思いを抱えて聞いたクライスラーの演奏会。
最後のお客様
クライスラーの演奏会に出ていたボーイの青年が時を経てベテランの黒服として、戦時下で政府に徴用される最後の日。
灯火管制の下で
1944年。戦時中に行われた結婚式。その花嫁の式は東京會舘のスタッフたちに暖かく見守られたものだった。
前作でちらっと出てきた美容部の3代目遠藤波津子が印象的に出てくる。また、前作の佐山も要所で登場。
グッドモーニング、フィズ
戦後、GHQに接収され、アメリカ軍の為の遊興場として提供されることとなった東京會舘。そこのバーで働き始めた若いボーイが今も残る「グッドモーニングフィズ」というカクテルを作るきっかけとなる話。
しあわせな味の記憶
製菓部部長。こわもての勝目が頼み込まれて持ち帰り用の菓子を作る話。今も名物として残るパピヨン。ガトーアナナなど。
どのお話も秀逸で。東京會舘を愛した人たちが會舘を訪れる人のために尽力したお話。
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東京會舘、その中で働く人々、そこへ訪れる人々のお話。史実や実在の人物を織り交ぜ綴られる物語は、まるで東京會舘が主役の大河小説みたいで、これまでの辻村作品にはない味わいです。どの話も良かったけど、特に花嫁さんが主役のお話と、お土産のお菓子を開発する話は、仰々しい事なんてないのに、なんだかほんのりと胸が温かくなるような、素敵な話でした。現在本館は建て替え中で小説に出てきたレストランやバーには行けないけど、勝目先生考案のパピヨンは購入できるみたいだから、ビールやワインと一緒に楽しみたいなあ。
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東京會舘を舞台に、時代の移り変わりが描かれている。クライスラーの演奏会から、関わった人物が次々と連なっていて、歴史を感じられた。戦時下の結婚式やバーテンダー、菓子作りと懸命にその時代を生きた人の懸命さ。下巻も楽しみ。
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いつもの辻村節かと思いきやかなり熱い仕事の話。とても良かった。なかでもグッドモーニング、フィズが好き。
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東京會舘と言う場所をはじめて知った
皇居の近くにこういう場所があるのかぁと
戦前の日本はどんな風だったんだろう
想像もつかない
続けて下巻を読む
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東京會舘に携わる人達をバトンリレー方式で描いた短編。
下巻で仕掛けが炸裂することを願いつつ
これは布石なのかもと
登場人物をしっかりと頭に叩き込むようにして読んだ。
それぞれが魅力的で素敵なお話だったけれど
やっぱり短編では
さらっとなぞる程度でのサクセスストーリー展開に
少しだけ飽きてしまったのも事実かな。
下巻ではどういったことが巻き起こっていくのか
期待大。
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プロローグ
第一章 クライスラーの演奏会 大正十二年(一九二三年)五月四日
第二章 最後のお客様 昭和十五年(一九四〇年)十一月三十日
第三章 灯火管制の下で 昭和十九年(一九四四年)五月二十日
第四章 グッドモーニング、フィズ 昭和二十四年(一九四九年)四月十七日
第五章 しあわせな味の記憶 昭和三十九年(一九六四年)十二月二十日
東京會舘を訪れた客、そこで働く従業員…様々な人々が行き交う場所でのドラマを描いた短編集。
前に登場した人物が脇で再登場するなど小さな発見もあって面白い。