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関東大震災を耐え、戦中戦後を見てきた東京會舘。會舘で出会った多くの従業員やお客様の、気持ちや出来事を数人の「わたし」を通して伝えてくれる。職人の心意気だったり普通の暮らしの中にある小さな幸せだったりを。
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東京會舘は、大好きな場所だった。正確には、日比谷シャンテの中に入っていた、東京會舘のティールームに、かつて私は足繁く通っていたからだ。顔を覚えてもらい、ちょっとしたお話をしたり、随分親切にしていただいた。その思い出から手にとった本。帝国ホテルも好きな場所だけど、この2つが縁ある場所なのだなんて、この本を読むまで知らなかった。同じように通底する思い出の記憶は、どちらも優しい。どんな気持ちでスタッフの方々や、多くのお客さんが関わって、あの美しい場所を育てたのか。そりゃあ、どちらの場所も好きなはずだ。人との関わり方の根っこが同じなのだもの。
パイナップルのお菓子もマロンシャンテリーも好きだった。つややかなオペラも、いつ見ても美味しそうで。小説は、私の記憶を良いふうに上書きするように、とっても素晴らしかった。辻村さんのお作は、どれも話題になるし、素材もとっつきがいい。なのにいつも読み切れないで、図書館に返してしまう。それなのにこれは、すごい勢いで読み終えた。病気がこじれていて、読書どころか延滞だったのだけど…読みだしたら止まらなくて。早くお返しして、次の方に読んで頂こう。
東京會舘自体には、一度帝劇の記者会見に招待されて伺った折、当時のパートナーと大喧嘩をして、気まずく立ち去ってから、行きたいなと思っても、通り過ぎるだけ。相手はもうそんなこと、思い出しもしないだろう。ずっとつらくて行っていない。ガトー・アナナの味を覚えていて、行きたくなったしあの場所とももう一度、ご縁が結べたらと思ったけど、苦いその記憶は、よっぽど私、嫌だったのだろう。思い返すだけで涙が出た。文中に登場するスタッフの人達のように、優しく迎えてもらえる理由もない。
でも、その代わり、この本があったから。いいのだ。やっぱりあの場所も、味わい深いお菓子も、暑かったでしょう。とシャンテでお給仕してもらったアイスティーも、取り戻せた気がする。いつか、もう一度東京會舘に行くことがあったら。今度は泣かずに帰ってくることが出来るかも、しれないではないか。
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(2017/10/6読了)
やっと読む機会となった。上下巻続けて読みたかったので、図書館の順番待ちが落ちつき、貸し出し延長ができるまで待っていた。
紹介文には長編とあるけど、これは連作短編集なのでは?時代は違えど同じ舞台で生まれる優しい物語。
時代物が苦手なので、最初は入り込めなかった。私には祖母や母から聞いた時代。その「時代」を感じるというより、「昔っぽさ」を感じてしまう。まだ全く知らない世代の方が、物語として楽しめるのかも。
(内容)
海外ヴァイオリニストのコンサート、灯火管制下の結婚式、未知のカクテルを編み出すバーテンダー…“會舘の人々”が織り成すドラマが、読者の心に灯をともす。大正十一年、丸の内に誕生した国際社交場・東京會舘。“建物の記憶”が今、甦る。激動の時代を生きた人々を描く。直木賞作家の傑作長編小説!
(目次)
第一章 クライスラーの演奏会 大正十二年(一九二三年)五月四日
第二章 最後のお客様 昭和十五年(一九四〇年)十一月三十日
第三章 灯火管制の下で 昭和十九年(一九四四年)五月二十日
第四章 グッドモーニング、フィズ 昭和二十四年(一九四九年)四月十七日
第五章 しあわせな味の記憶 昭和三十九年(一九六四年)十二月二十日
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東京會舘をめぐる、時代をかけての連作短編集。
冒頭から登場する作家さんは男性だけど、これはきっと辻村さん本人なのね、と思いながら読む。
1章~3章、大正~昭和初期で、戦争の色が濃い。
4章は接収され“アメリカンクラブ・オブ・トーキョー”となっていた時代のバーの名カクテル誕生秘話w
5章は「しあわせな味の記憶」・・・これも秘話ですねーw
これには思わず涙が・・・下巻がますます楽しみに!
ツレと東京で食事をした後に、お散歩してる時たまに通って、なんだろう?きらびやかね?パーティーでもやってるみたいね、とか言いながら見あげたりしてたけど、こんな歴史的な場所だったのね!と慄く・・・これは中に入ってみないと!という思いが募る・・・でも今は休館中なのよね~~、残念!!w
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東京會舘の100年近い歴史における群像連作小説。
上巻は大正12年(1923年)から昭和39年(1964年)の間を五つのエピソードで繋げていて、登場人物が重複することで連作性が強く出ています。
また、歴史的事実を描くのではなく、それに関連した人の物語を描くことで、時代や會舘の歴史を紡いでいるように思いました。
各作品の主人公も、小説家、ボーイ、花嫁、バーテンダー、パティシエと、會舘の内外からの視点で飽きさせません。
ちなみに、東京會舘と関連のある、帝国劇場の観劇(森繁の屋根の上のバイオリン弾き、しかも500回記念公演)、帝国ホテルの挙式(大学の友人で職場の同僚の結婚式)、パレスホテルの宿泊(妻と)はしてましたが、なぜか東京會舘には行ったことがありませんでした。
というこで、下巻が楽しみです。
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第一印象は…「辻村深月っぽくないな」という印象。
連作短編で前話の人物が出てきたりはするけど、他作家の作品でもこういうことはよくあるし、これまでの辻村作品にあったような、複数の話に関わる人物が話の大局に関わってくる感もなく。
淡々と、東京會舘にまつわるエピソードをフィクションを絡めつつ紹介している作品という印象が強くありました。年齢が高めの読者だったらノスタルジーに浸れるのかなー、と思いながら、歴史的な重みが作家の個性を前に出させないほどの重圧に繋がっているのかなー、と思った次第。
個人的に惹かれたところは、酒飲みの私的には今井清氏が登場する話。バー通いしている人にとっては伝説的な人だと思うのですよ。その人が登場する話を読んで「アガる」ことを避けられる訳がありません。
こうした印象が下巻でどのように変化するかが、恐ろしくも楽しい今現在です。
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私にとっての東京會舘は、主人が東京出張のお土産で買ってくるシナモンケース。一度だけ自分で買いに行ったけど、田舎者の私は気後れしてそそくさと帰ってきた記憶しかない。この本を読んでからだったらもっと違ったかも。
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プティガトーが食べたい!
検索したらちゃんと存在してるし、オンラインでも買えるので嬉しい。
近いうち買う!
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大正12年から昭和39年までの東京会館にまつわる連作短編集。中でも、4章グッドモーニング・フィズ、5章の幸せな味の記憶がとても良かった。下巻も読むのが楽しみ‼️
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大正11年創業の国際的社交場・東京會舘。芥川賞・直木賞の受賞会見が行われる場所でもあるとのことだけれど、正直初耳。この歴史ある建物が見てきた人間模様が時代順に語られていく。GHQの将校クラブだった時期のバーテンダーのエピソードが面白かったかな。モーニング・フィズ(會舘フィズ)の味が気になる。
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クライスラーの演奏会 大正十二年
最後のお客様 昭和十五年
灯火管制の下で 昭和十九年
グットモーニング、フィズ 昭和二十四年
しあわせな味の記憶 昭和三十九年
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東京會舘を舞台にした、時代背景なども交えながら、そこで働く人々、お客様とのエピソードなどの物語。時代の混乱期にも、働くスタッフ一同が東京會舘の伝統などを守っていく情熱、それらを脈々と受け継いでいく姿、スタッフの思いが今に至るまで、絶えず継がれていると感じる。東京會舘の歴史、目まぐるしく変化していく時代の中で、沢山のお客様に心地よい時間を過ごすおもてなしを大切していることが、事細かな物語から伝わっていると思う。お菓子作りの章で、東京會舘を多くの人に知るきっかけを与えた勝目の存在は大きい。下巻も楽しみ。
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面白かったー(≧∇≦)特に最後の製菓の職人さんの話はぐっときた…ええ話や。・゜・(ノД`)・゜・。みたいな気持ちでいっぱい。下巻も楽しみ。
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大正11年、丸の内に落成した国際社交場・東京会舘。
海外ヴァイオリニストのコンサート、
灯火管制下の結婚式、未知のカクテルを編み出す
バーテンダー…。会舘の人々が織り成すドラマ。
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とっても面白かったです!!
辻村さんの作品にミステリーを求めている人には向かないかもしれないけど、1つ1つのお話が丁寧で引き込まれます!!
東京會舘の歴史がたくさんの人々と一緒に紡がれて行く様子が素晴らしかった。
前の人の話が次の話に出て来たりして歴史の流れが感じられました(^ ^)