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瀬戸内海に浮かぶ島・冴島。
病院もなく、高校もなく、医者に診てもらうのも、学校へ通うのも、フェリーを使って本土へ渡る生活。
過去に火山の噴火で寂れた島は、やり手の村長の下、少ない観光資源や地元で採れる食材の加工などに加え、Iターンやシングルマザーを多く受け入れることで島の人口を保っている。
そこに住む4人の高校生の男女。
幼い頃漁師だった父を亡くし祖母・母の女手で育てられた朱里。
2歳で島に来た後、不倫した母に去られ、ホテルを営む父と暮らす源樹。
網元の一人娘で、島の外に興味を持つことさえ叶わない衣花。
保育園長の母は多くの人に頼られ、息子であってもいつも後回しにされる新。
それぞれに一筋縄でない形を持つ親子関係の中で、地元の人やIターンの人とも折り合いながら暮らし、いずれは島から出るであろう未来に向き合う。
Iターンや仕事で島に来た人たち。
オリンピック水泳の銀メダリストでありながら、シングルマザーを選んだ故に島に流れてきた蕗子と未菜の親子。
研修医時代の悪夢から立ち直れず、不思議な縁に導かれて島に来ても中途半端な仕事で食い繋ぐ本木。
子どもとの時間を希薄にしてでも地域復興という仕事にのめり込むヨシノ。
これまたそれぞれに壮絶な事情を持って島に流れ着き、少しずつ島に馴染み、島の人として認められていく。
えも言われぬ人間関係や親子関係が絶妙の筆致でこれでもかと描写される。
漸く訪ねてきた蕗子の父母が孫の未菜に父親の面影を見る場面、本木が自分が医師免許を持っていることを明かす場面やヨシノが自分に子どもがいてそれでも仕事に執着している訳が語られる場面…。
朝夕の通勤電車の中で読み進めたが、泣きそうになって何回か困った。
終章、最初の話で語られたきりだった“幻の脚本”のことが明らかになり、そこに秘められた話もまた沁みた。
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【あらすじ】
この島の別れの言葉は「行ってきます」。きっと「おかえり」が待っているから。 瀬戸内海に浮かぶ島、冴島。朱里、衣花、源樹、新の四人は島の唯一の同級生。フェリーで本土の高校に通う彼らは卒業と同時に島を出る。ある日、四人は冴島に「幻の脚本」を探しにきたという見知らぬ青年に声をかけられる。淡い恋と友情、大人たちの覚悟。旅立ちの日はもうすぐ。別れるときは笑顔でいよう。
【感想】
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瀬戸内海に浮かぶ冴島からフェリーに揺られ登下校する四人組。
「島の子」という共通項で繋がって、その繋がりがもどかしかったり頼もしかったり。
いろんな物事や人々との距離が近かったり遠かったり。
まるでそこに実在するかのようなディテールを持つ冴島の暮らしや歴史を背景にとても眩しい青春時代を過ごす彼女たち。
主人公たちに感情移入することで
島の色と光、音、匂いを感じれた気がして、居心地の良い読書となる。
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瀬戸内の島「冴島」に住む、朱里、衣花、源樹、新の4人の高校生。 平和な島に幻の脚本を求めて自称脚本家の男がやってきたり、医者のいない島で子どもが吐いたり、故郷に居られなくなったIターンがいたり、村の会社「さえじま」が取材されることになったのにそれに村長ははんたいしたり、誰もが密かな恋心を抱いていたり、、、 そんの島の日々を美しい風景描写と丁寧な心理描写で描いた「島はぼくらと」 島のお母さんたちは、別れを予期した上で生活を送っている。 島に残らなければいけないと決まっていたら、別れを覚悟で生きていかなければいかない。 「いってらっしゃい」を笑顔で言えるだけじゃなくて、「おかえり」も「ただいま」も言えるステキな島と人を描いたステキな作品。
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過去の辻村作品とは、かなり雰囲気が異なる。青春もの。なぜか感情移入し難く、読むのに手間取ってしまった。
あらすじ(背表紙より)
瀬戸内海に浮かぶ島、冴島。朱里、衣花、源樹、新の四人は島の唯一の同級生。フェリーで本土の高校に通う彼らは卒業と同時に島を出る。ある日、四人は冴島に「幻の脚本」を探しにきたという見知らぬ青年に声をかけられる。淡い恋と友情、大人たちの覚悟。旅立ちの日はもうすぐ。別れるときは笑顔でいよう。
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高校生の頃この話大好きだった!
あたしは元々作家で本を選ぶタイプではないけど、
この話があったおかげで辻村深月さんを意識し始めた。
あたしもこんな青春してみたいなぁ(=´∀`)人(´∀`=)
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2017/03/13
島で暮らす人、島にやって来た人、島から出て行く人たちがそれぞれの過去や思いを持って、島の人々と関わり合いながら生活しているお話。ちょっと前だったら、美しい生き方だけど、自分にはできない、この高校生4人のことを羨ましいなって思ってただろう。だけど、今、大きな失敗をして、多くの人に責められて傷ついて、そんな時に私のことを心配してくれる人や普段と変わらずに連絡をくれる友人のお陰で、私も今繋がりのある人々との関係を今以上に大切にしていきたいと感じた。強がりな衣花が、幼馴染3人の前で号泣して自分の気持ちを伝えたところで私も泣いてしまった。今読めてよかった。
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辻村作品にしては、あくが弱かったです。でも、すんなり読めました。島独特の雰囲気がいろいろな角度から切り取られていて、ほんわかしたり、どきどきしたりがよかったです。
そして、タイムリー!瀬戸内、これから行ってきます!
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大好きな作家さんの本なので読んでみた
瀬戸内海の小さな島に住む4人の高校生を主軸に、島での出来事を描いた作品
他の講談社の辻村作品と同様に別の作品の登場人物がゲスト出演している
高校生が主役という事で作品全体が明るく瑞々しく好印象
けど、敬意を感じていた大人の見たくなかった一面に気付いたりと、甘すぎない
その辺のバランス感覚はさすが辻村深月さん
いずれこの4人も他の作品に出て来るかと思うと、また楽しみ
今後とも追いかけていきたい作家さん
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瀬戸内海に浮かぶ島、冴島に住む四人の高校生、朱里、衣花、新、源樹の青春ストーリー。
本土と島を結ぶフェリーは様々な人を運ぶ。
ある日、四人が島に帰る途中に会った都会人は、妙に馴れ馴れしくイヤな感じだった。
ある著名な脚本家が遺した幻の脚本を、この島に探しに来たという。
そんな脚本は全く知らない。
故郷から逃げるように冴島にIターンでやってきた元競泳選手と、島で生まれた娘、
毎日ボーっとしているIターンの若者は何から逃げてきたのか。
60年前の島の噴火で離ればなれになった友達の真相。
小説で、田舎は閉鎖的、封建的など否定的に描かれることが多い。
確かに、この小説でも漁師の網元と網子の関係や、島にもともといる人とIターン組との関係など否定的に描かれる部分はある。
そんな島の暗い部分を吹き飛ばすように、高校生四人の視点から描かれる物語は、島の未来、そして自分たちの未来に希望を持つ明るい話だ。
爽やかな島風を感じるような小説だった。
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辻村作品は、「ツナグ」に続き2冊目。
本作は、瀬戸内海に浮かぶ冴島に暮らす4人の高校生の物語。
瑞々しい感性が心地よい、透明感に満ちた素敵なお話でした。
人間関係の難しさと、他人であろうと深く踏み込んで関わることのできる繋がりの素晴らしさと、田舎ならではの生きづらさと…、そういったものがうまく織り込んであって、4人の澄んだ目を通して見た世界が生き生きと描かれているなあと感じました。
すごく、好きだった。優しくて、きらきらと眩しい一冊。瀬戸内海の美しい景色が瞼の裏に浮かぶようなそんな感じ。
ツナグは少しダークな、人間の醜さも淡々と描かれていて、柔らかい文章と物語の合間に見える切れ味に少し驚いたりもしたんだけれど、この作品はどこまでも透明に澄んでいて、終始心地よかった。
とっても好みだったので、辻村作品制覇してやろうかなーーと。たのしみ!!
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2回目:2020/08/04
地方の暮らし/故郷とはなど考えさせられる。
コミニティーマネージャーのよしのが格好良すぎる。
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好きなことを続けるためには
好きじゃないことも
たくさんやっておいたほうがいい。
無駄に思えることに対しても
いつか感謝する日が来る。
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冴島という国内の架空の島を舞台に、
そこに住む男女の高校生4人視点から
島に住む人、Iターンの人々の物語が描かれる。
シングルマザーや村の振興に関わる政治的な話などなど、
物語に出てくる話題は多岐に渡るが、
好感の持てる高校生たち
(「冷たい校舎の時は止まる」や
「名前探しの放課後」みたいに
いい感じにできあがっている性格)
が主人公なおかげか、
全体を通して爽やかな雰囲気。
そして緩いリンクがこの作品にも。
見覚えのあるキャラクターの突然の出現に
深夜に自室で「マジか!」と叫んでしまった。
さらにこの作品、現実の出来事とも
リンクしていて、「私の大事な人の故郷です」の
セリフにはあ~そうだったっけ!ってなった。
まさかの熱い展開。
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美しい島で暮らす4人。
日々の暮らしの素晴らしさ
島で暮らす狭さと固さ。
少しずつ変わる島の暮らし。
踏み出す一歩が、気持ちを変える。
島を変えて行く。