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著者は希望を次のように定義する。
「Hope is a Wish for Something to Come True by Action.」
特に、Action、つまり自分が行動を起こさない限り、希望は生まれない、自ら作り出すものである、という部分になるほどなと思った。
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情報の正確さ、証拠不足を感じさせる。そのため、説得力に欠けていると思った。とくに宗教については、知識不足が感じられあまり深く学ばれていないように思う。希望に関することだけではなく、宗教についても深く研究し、書き直したほうがよいと思う。
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岩波新書なのに(?)、すごくわかりやすく、心地よい講演をきいているようだ(学生の授業評価で玄田先生は「わかりやすい」と評価されてるのが納得)。
・過去の挫折の意味を自分の言葉で語れる人ほど、未来の希望を語ることができる (p112)
・大きな壁にぶつかったら、壁の前でちゃんとウロウロする(p200)
など印象的な文章にチェックしてたら、「おわりに」でまとめて整理されていた。
これからの人生、ちゃんとウロウロし、自分で希望をつくっていこう!
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どうして現代の社会には希望がなくなってしまったのか。
「希望学」を研究する著者が様々な面から考察する。
社会の希望がどうしてなくなってしまっただけでなく、希望を持っているのはどんな人か、希望とは何かということも書かれているので、落ち込んでいるときに励みとなります。
書き方も親しみやすく、かつ章建てのまとめ方が上手なのですっきりと読めました。
おすすめです。
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いつも行く図書館の書架で目についたので手にとってみました。玄田有史氏の著作を読むのは初めてです。
タイトルをみて、先の東日本大震災を機に書かれたものかと思ったのですが、本書の発行は2010年10月、震災前です。長引く不況を背景とした「フリーター」「ニート」「格差社会」といったことばがキーワードになっていた当時、巷には自分の人生に明るい希望を見い出せない人びとが数多く見られていました。
本書は、個人を取り巻く社会のありようと“希望”との関係に注目する「希望学(希望の社会科学)」の入門書です。「希望学」とは聞きなれない学問ですが、その探究の切り口は、社会心理学であり、フィールドワークであり、哲学でありとなかなか面白いですね。
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何かをしよう、または、したいという気持ちだけではなく、行動することも含めることが希望の実現になる。勇気を出させてくれた本。
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労働経済の問題を経由した著者による
未来への種の蒔き方講座。
一定の意味はあると思われるが、
未来への打開を信じるからこそ希望があり、
希望があるゆえ、未来への打開を信じられるような
そんな循環もうっすらと見える。
詰まる所、ある種の余裕が必要であり、
完全に個人の技量に任せるには限界も感じないでない。
生きている、そのことが余裕であればよいのだが。
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三人に一人は希望がないかもしあっても実現できないと思っているらしい。わたしは希望がないから三人のうちの一人だな。結構みんな希望がもてているみたいでよかったね。
著者の玄田さんの生き方は希望を体現してらっしゃる。
Mahalo
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初めの本は読んでいてもわからない点が多かったけれど、終わりにつれて面白くなっていった。希望とはなんだろうと改めて考えさせられました。
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<メモ>
・6 フッと笑えるような、気持ちがリラックスした状態でないと希望は持てない
・7 フリーター等で意欲・能力あっても、就職できない若者に共通して欠けているのは「大丈夫」という言葉
・33 変化を待つのではなく変化を起こす
希望を持つためにはまず厳しい現実から目をそむけないこと、過去から現在まで続いている挫折や試練を正面から受け止めること
・38 Hope is a Wish for Something to Come True by Action.
希望は「気持ち」「何か」「実現」「行動」の四本の柱から成り立っている。
気持ち:思い、願い。勝つか負けるか。
何か:将来こうなりたいという具体的なもの。自分にとっての大切な何かを見定めることが重要。なんでもいいからなんとかなってほしいは、大体何ともならない。
実現:夢の実現のために考える道筋、段取り。学習、情報収集。
行動:勇気がいる、不安や苦しみもあるが動かないと何も変わらない。
・42 協力してくれる人・共有できる仲間の重要性
本人がどんなに頑張っても周りからの支援がないためかなわない希望がある一方、個人としてほとんど無力でもその人を支える周囲の協力によって希望が実現することもある
・61 日本では「仕事」に希望を求める人が多い
次いで家族、健康、遊び
・70 希望の有無に影響を与えるもの
年齢:若い方がある。
収入:年収300万を超えると大差はない。
健康:若くても健康でないとだめ。
教育:知識、経験が豊かになる→人的資本の形成。就活でのシグナル効果。
人間関係:孤独な人より他社とのかかわりが多い人の方が希望を持ちやすい。4つの柱は他社との交流の中で発見されるもの。
・84 ウィークタイズ(Weak Ties)・・・自分とちがう環境にある人とのたまに会う程度の緩やかなつながりが、自分の知らなかったヒント(適性、やりたかったこと)をもたらす転職を成功させる条件として重要
仕事に希望を持つ人は、職場外の友人・知人が多い
・101 希望の「物語性」(ストーリー)とは
・107 修正を重ねることでやりがいに出会える ex.子どもの時なりたかった職業
・112 挫折を乗り越えた経験
過去の挫折の意味を自分の言葉で語れる人ほど、未来の希望を語ることができる
・125 無駄
若者や、年収800万以上は無駄を嫌う傾向あり
努力が無駄になることをいとわない人の方が実現見通しのある希望を持つ。卒業後の最初の仕事で挫折を乗り越えた人ほどその傾向が強い。
無駄に対して否定的になりすぎると、希望との思いがけない出会いもなくなっていく
・138 セレンディピティ
何かを探しているとき、偶然意外な出来事に出会うことでひらめきを得て、もともと探していたのとは別の価値のある大切な何かを発見できる才能
1754年イギリスの小説家ホレス・ウォルポールの作った言葉?
けちな奴は良い学者になれない。目先の損得勘定に捕われて判断するな。
・153 わからないもの、どっちつかずのものを、理解不能として安易に切り捨てたりしない。自分が理解でき���ことだけに、こだわりすぎたりしない。それが希望という物語を、自分の手で紡いでいくための知恵。
・161 勉強する意味は、「わからない」から逃げない練習をすること
わからない中にチャンスや希望がある
・191 報われない努力でもそこから希望を作ることはできる
報われるかどうかですべてを判断するのは目先の損得勘定につながる
努力のプロセスにこそ意味がある
・198 大丈夫の使い方
「大丈夫?」ではなく「大丈夫!」。「○○すれば大丈夫」という条件付きの大丈夫。何もしなくても、考えなくても大丈夫ということはない。○○は自分が苦しい時に経験し、そこで得た知恵に基づく言葉がよい。
・200 大きな壁にぶつかったら、壁の前でちゃんとウロウロする
<チェック参考文献>
・マーク・グラノヴェター『転職』1998
…(ウィーク・タイズ)
・村上龍『希望の国のエクソダス』2000
『マクロ・日本経済からミクロ・あなた自身へ』2002…これからは組織に頼って生きる時代ではない、そのために誰もがウィークタイズを身につけるべき
・山田昌弘『希望格差社会』2004
・鷲田清一『「待つ」ということ』2006
・エルンスト・ブロッホ『希望の原理』1982
…ドイツの哲学者。私たちは誰なのか知るためには、私たちは何を希望するか知らなければならない。
・リチャード・スウェッドバーグ「希望研究の系譜」
…社会思想研究者。これまでの宗教学・哲学・経済学・社会学等を希望という観点から系統立てて整理したもの。
・広渡清吾「希望と変革」
…希望が変化を求めること、行動の大切さを訴えた。
・宇野重規「社会科学において希望を語るとは」
…希望はあえて迂回し距離をとることによって出会えるもの。自分も気づいていない「何か」に出会うためには、無駄に見えるものにあえて挑むことが積極的な行為となる。
東大社研ほか『希望を語る―社会科学の新たな地平へ』2009所収
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玄田有史『希望のつくり方』岩波新書、読了。「現代は、誰にも希望が与えられているような時代ではなくなりました。そんな時代に生きる私たちは、何を考え、どんな行動に踏み出していけばよいのでしょうか」。多くの人の希望に耳を傾けた東大社研『希望学』の研究を元に、創出のヒントさぐる希望学入門。
冒頭で「希望とは何か」を整理し、個人からコミュニティに至るまで、希望創出の事例を紹介する。最も大切なことは「個と個の間で開かれた対話を積み重ねながら、人間らしく生きることの条件について一人ひとりが粘り強く思考すること」と著者はいう。
世の中なんて変えようがない、全て決められているとシニカルを決め込む高校生から、ジタバタしてもはじまらないという大人まで「希望」がない人に紐解いてもらいたい一冊。決められた希望は希望ではないし、「ジタバタ」することで案外拓けるもの。
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<目次>
第1章 希望とは何か
第2章 希望はなぜ失われたのか
第3章 希望という物語
第4章 希望を取り戻せ
おわりに
<内容>
学校図書館。「希望学」を提唱した玄田さんの本。大きく言うと、現在の世の中の閉塞感の中(特に経済的な面が大きいのだが)、その中で日本人は「希望」ではなく、「絶望」を言うようになった。われわれの考えている「希望」とは、適わなければならないものだが、実はそうではなく、そこまでのステップや叶わなかったけれども、そこで感じること、もすべて含めて「希望」である。
希望は、「気持ち」「何か」「実現」「行動」の4つの柱からなっており、「夢」とは違う。そこには、ゆるい信頼でつながった仲間(ウィーク・タイズ)がおり、挫折をしつつも叶わなかった「希望」をベースに、未来の「希望」を語っていくことが大事。
読んでいて、なんだか勇気を与えられる本だった。キャリア教育や家族関係など、学校でも使える内容が多かったので、再度読み直す必要もあると考えた。
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「希望」ということばの定義が多くのページを割いてなされている。しかし、私にはどうもそのあたりしっくりいかない。「Hope is a Wish for Something to Come Ture by Action.」著者自身が最初に言っていることだが、ことばのイメージがしっくりいかない中で議論をしても話がかみ合わない。私は本書を読む中でどうしても「希望」ということばに対するイメージがつかみきれず、最後までしっくりいかないままだった。著者が何でもかんでも無理やり「希望」に結び付けてしまっているようにすら感じた。だいたい本書の中でもふれられていたと思うが、「夢」と「希望」はどう違うのか。私の仕事の中では「志望校」ということばを使うが、「志望」と「希望」はどう違うのか。そもそも分ける必要はあるのか。では、私にいま「希望」はあるか。こういう仕事がしてみたい、こういう部署ではたらいてみたいというのはある。将来的に「こだわりの本屋のオヤジ」をしてみたいという思いもある。こういうのは「希望」なのか「夢」なのかなんなのか。近いところの望みと、遠いところの望みの違いなのか。実現しそうなものと、実現しそうにないものとの違いなのか。まあ、とにかく、思っているだけでは実現しないので、それを声に出して言うようにはしている。人に言わないことは実現しないような気がしている。人に明言して、何かに書いて、自分を少しは追い込んで、日々意識して行動しなければ、なかなか「夢」は実現するものではない。そう思っている。いまわざわざ「希望」ということばを持ち出して議論しているのはなぜか。そこのところを考えることに本書の本当の意味があるのかもしれない。ところで、仕事の打ち上げで飲みに行くのが「希望」ですなんて言われると、また「希望」のイメージが変わってしまうのですが・・・
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本書を読んでいるときに色々なことを思ったので、キーワードをピックアップして感想にします。
・浄土宗や禅宗には希望という言葉がない
西洋宗教と東洋宗教の違いが希望にあるとは思いもせず、なるほどなぁと感心する一方、来世に希望を求めるという点では、希望という言葉の使われ道はあるわけで、希望の力点をどこに置くかの違いでしかないと思います。
・ウィークタイズ
ウィークタイズ(弱い繋がり)の重要性は特に感じています。近場の人たちの情報だけではどうしても偏りが出来てしまい、大事に気付かないこともあるので、この関係性は重要だし、このネットワーク構築方法を画期的なものとして作れないかと思っています。
他者を結ぶコンテンツは、既存のものとして婚活紹介所や異業種交流など様々ありますが、感覚的に『何か違う』のです。
僕はいまソフトテニスサークルを運営していて、これなんかはウィークタイズの構築に適しているなぁと感じます。
僕は基本的に『人と人は繋がり合って、(良い意味で)助け合った方がいい』と思っているので、風通しの良くて、入脱退自由の交流場所ができればなーと思います。
・無駄が栄養
『若いうちは無駄が栄養でした』と名言を残した野茂英雄。プロ野球で成績を残した彼が『無駄が栄養』と言うからこそ、その言葉に重みが出てきます。と同時に、成功者でも無駄が必要だと言うことで、僕のような凡人に勇気を与えてくれます。まぁ僕は怠けすぎなんですが(笑)
・物語性で希望を語る
これは商品販売等でよく使われている手法で、例えば車のCMでは『車を手にして彼女と素敵なドライブデートを楽しむ』、ダイエットサプリでは『これを飲んでダイエットに成功して異性にモテる姿を想像する』等、商品そのもののメリットに訴えるのではなく、『その商品を使う事でこんな素敵な未来が待ってますよ~』と希望を持たせる手法。物語性を付与で希望をつくるのは非常に魅力的です。
・予言の自己実現
ポジティブな人ほど良い事が起こり、ネガティブな人ほど悪い事が起こる。それは視点の違いにより生じ、また後天的に変えられるので、是非実践したいものです。
・希望とは「みえていないようでみえている」「みえているようでみえていない」両義的状況からポジティブな想像をかきたてること
これは私が前職を辞めた理由の一つでびっくりしました。順調に仕事をこなしていたのですが、初秋の残業終わりの帰りに、ふと『このまま行けば、近いうちに事務局長になるのかぁ。なんかつまんないな』と思いました。実際上司からは確約されていて、本当に最終地点に辿り着ける状態でした。けれど、本書にある通り、先がみえてしまったことで、『面白くない、つまらない』と本気で感じました。
『昇進したら、あなたの好きなことができるよ』と言われましたが、何か違うんだよなぁ~。先がみえたら終わり。何が起こるか分からないから面白い。この想像力のせめぎ合いの中で、『先の知れた将来は面白くない』と思い、結局仕事を辞めました。
宝箱の中にはガラクタが入っているかもしれない。けれども、一生懸命宝探しをする。駄目かも知れないけれど、やってみる。やっぱり結果じゃなくて過程が大事なんだなぁと思います。
あと、エロチックやチラリズムも同じです(笑)。『見せられたパンツはただの布だ』という名言(?)はその通りで、見えそうで見えない、見えたとしても、そこに想像の余地がある(チラ見せ)か、余地がない(モロ見せ)では大きく違います。結果は同じ『見える』かもしれませんが、やはりここでもプロセスや想像によって興奮の度合いが変わってくるので、このあたりは人間ならではの能力ではないかと思います。
となると、機械には想像力がないので、機械自体には希望はない、と言えます。
キルケゴールの名言『人生は後ろ向きにしか理解できないが、前向きにしか生きられない!』という言葉は、まさに希望を言い当てていると思います。『死に至る病、それは絶望である』と言った実存主義の彼だからこそ言い残せた言葉だと思います。
希望に関連して、自分らしさの表現があります。ここで思い浮かぶのは、アニメ『ばらかもん』の主題歌、『らしさ』です。
SUPER BEAVERというアーティストは知らなかったのですが、胸に刺さる歌詞と盛り上げ方の上手い曲調が素晴らしいと感じました。アニメの方も、『自分らしさとは何か』をテーマにしたものですが、真剣さにもふっと息を抜くような笑いもあって、面白かったです。
いや、サクサク読めたにもかかわらず、本当に色々なことが頭の中で連鎖反応を起こしました。
実に有意義な本ですが、ブックオフに100円で売ってあったのはもったいない良書です。
僕の評価はA+にします。
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「ウィーク・タイズ」ゆるやかな人間関係ーー
こういう考え方で生きていけるといいな。
希望学は高度成長期の価値観から脱却できない日本人がこれからの成熟した社会をよりよく生きるヒントに満ちあふれていると思います。