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全編、香りが登場する短編集。震災から5年経って、「TSUNAMI」が単著にようやく収録されたのが嬉しい。(新潮文庫のアンソロで既に収録済みですが)
人の無神経さとか、恋愛に限らず大切な存在との別れとか、ここ数年の村山由佳ぎぎゅっと詰まった作品集でした。
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短編集なのですが、どのお話にも「香り」の話題がキーになっていて、そういうタイトルでも無かったので、なんだか得したみたいです!
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楽しみにしていた村山さんの新刊。
早速発売日に買いました。
すべての章に香りが漂う、喪失と大人の恋が入り混じった5つの短編集でした。
ファンの間では、デビュー作「天使の卵」などの純心な作品を生み出す白村山と、「ダブル・ファンタジー」のような官能的で深みのある作品を描き出す黒村山とに呼び名が分かれるところですが、もはや今はそういった区分けすら不要なものだ、と感じさせるくらい白も黒をも内包した作品でした。
酸いも甘いも知り尽くした大人だからこそ書ける魅力がまたたまらないです。いくつになっても恋に生きる純真さを残しつつ、年齢とともに変化していくものが作品には映し出されていて、これだからこそ追いかけるのをやめられない、と思わされます。
さて、肝心の作品ですが、描かれている大人の恋は、とても現実的でした。
ある程度生きているとそれなりに経験を積むから、夢を見にくくなっている部分がある。それと同時に、だからこそ焦がれるように夢を見たい気持ちもあって。
ふと気付けばしっかり予防線を張っていたり、冷静に自分の手綱を握りしめていたりするのを自覚すると、自分も大人になったものだ、と少し寂しさを覚えます。
大人になると既婚者率が高くなるとはいえ、不倫という呼び名を自覚することなく既婚者と関係を持つ人が多いことが、なんだか残念なような、それでいてすごく自然なような、苦い気持ちになります。
もちろん、しっかりわかっている、と不倫をしている人たちは言うけれど、甘い言葉で誘う男性も、妻の存在に蓋をして誘いに乗る女性も、同罪ですよね。なにも、わかってない。
とはいえ、私も感性の部分では、まあそんなこともあるよね、と自然に受け入れてしまいそうだからこそ、理性の部分で必要以上に自分を諫めてるのかもしれませんが。
読んでいて感じたのは、人は必ず失うもので、失われようとしているものを止めることはできない、ということ。それは命にしかり、恋心にしかり。
いつかはすべてが失われるのだから、その前にきちんと大切にしないといけない、ですね。
老猫の話は、私も昔大事にしていたハムスターを、それこそ全身の毛が抜けるくらいまで長く生きた子が息を引き取る最期の瞬間を、自分の両手の上で見たという経験を思い出させるのと同時に、うちの愛猫の最期を想像せずにはいられませんでした。
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香りがベースにある短編集。
人が少しずつ繋がっている。
最初の2篇は読んだ記憶あり。
母や恋人から「私はこんなに傷付けられた!」的
ここ数年目につく描写はやはり好きになれない。
「バタフライ」は好き。
ほったらかしのおいコーはもう出ないのだろうか。
【図書館・初読・4月25日読了】
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5つの短編集。
恋愛と香りと動物と病気が絡み合っていた。
この位の年になってくると、男よりも病気の方が身近だし、動物の方が気持ちわかってくれたりするよね?村山さん。
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☆アンビバレンス
肌同士をすべらせて調合する香油ね…そんなこと思いつきもしません!あまりにとんとん拍子に行く恋も、怖いものです。
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「アンビバレンス」「オー・ヴェルト」
「バタフライ」 「サンサーラ」
「TSUNAMI」の5つの短編集。
どれもよかった、特に印象に残ったのは
サンサーラかな。
出てくる母親像は村山さんお得意のやつだな。
病気の子犬を物扱いし、
主人公が反発するシーンはウルっときた。
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5編の恋愛短編集。
どれもハッピーエンドというわけではないけれど なんとなく明るい未来が想像できる終わり方で よかったです。
大人の恋愛模様を色濃く描いた 村山さんらしい作品だと思いました。
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読書記録です。まだの人は読まないでね。
「アンビバレンス」「オー・ヴェルト」「バタフライ」「サンサーラ」「TSUNAMI」
忙しかったので短編集を1編づつ…と思ったのに、一気読みしてしまいました…また寝不足だ。
タグに「小動物と恋愛」とあったけど、一番共通するのは「におい」。良くも、悪くも。
恋愛にまつわるピュアな「におい」を文字を読むことで感じられるってすごい。
オバチャン加齢臭で今はちょっと困ってるけど、とっても遠い昔を思い出しました。常に外野だったけどね…
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ゆるく登場人物が連鎖する恋愛短編集。その短編の中では不思議な骨董屋さんの主と母からの呪縛から抜け出せずにパニック障害まで起こしていた女性との恋を描いた「サンサーラ」が面白かった。不思議な骨董屋さんの正体って私の想像する不老不死のあれであっているのかな?
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5編の中で、心に残ったのはバタフライとサンサーラ。
中古のポルシェと一緒に若い男を期間限定で自分のものにする。けれど、実は癌を患っていた志織。
こんなにカッコよすぎる女性、いるんだろうか。
いや、もしいても自分から語らないからわからないね。
サンサーラの香奈、不調の原因は強すぎる母にあるのはわかっているのに、なかなか先に踏み出せない様子に、読んでいる側ももどかしくて仕方ない。が、最後はまあ、よかった。
どの話も読みながら「なにかしら」の匂いが立ち上がってくるような感じがした。
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作者は30〜40代の女性の心の機微を描くのがうまいなあと感心させられる。男としては、なるほどと思うと同時に心がザワザワしてしまう。
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登場人物が緩やか~に繋がっている短編5つ。
さらっと読みやすいのだけど、村山さんの言葉の選び方が情感がある。
不実な恋愛だったり、昔の男との再会だったり、俗っぽくなりがちな設計なのだけど、嫌な感じがしないのは、主人公の女性たちが皆、潔いからかな・・・
失ったものの記憶と共にある香り、匂いと共によみがえる感情・・・そんな記憶に直結している香りって自分にもあるな~と思い出させてくれる作品。
「バタフライ」と「TUNAMI」が秀逸。
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短編集。
人外との恋愛が出てくるので驚いたものの、好きなジャンルなので思わずニヤっと笑ってしまう。
ラストの猫の最後を描いた作品が、同じ猫飼いとして悲しくて辛かった。
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「匂い」を題材にした短編集。
前の話の登場人物が、少し次の話に登場する形でストーリーは続いていきます。
でも、内容にしっかり関わるわけではなく、ちらっと出てくるという程度。
最初の「アンビバレンス」は以前別のアンソロジーで読んだことがあったのですが、後の作品は初めてでした。
どの作品も主人公の女性が潔くて素敵でした。
それぞれの作品に出てくる「匂い」も印象的でした。
短編は物足りなさを感じてしまうことが多いのですが、村山さんの作品は一つ一つが簡潔してるなと思いながら読み進めました。
「サンサーラ」と「TUNAMI」が深く残りました。