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P135
家族を巡るキーワードは、なんだろう。絆や愛情ではない。「お金」「権力」である。愛情が無意味だといいたいのではない。
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読み応えがある、1度目はさっと2度目はじっくり読む。そういう読書に浸れるちょっとした時間的余裕があることに感謝したいと思う。
心理カウンセリングとは尊い仕事だと感じる。並みの人にできる仕事ではないし、困難な場面も多くあるだろうし、魂の仕事のようにも感じる。AIが発展しても、消え去ることはなさそう。
アルコール依存症や子どものひきこもりやドメスティックバイオレンスなどが生じるのは、多種多様な背景で家族の信頼関係が失われたことによるのだとは思う。その背景をもっと詳しく知りたいとは思うものの、育児を始めて間もない新米の親としては、子どもにとっての幸せは、自分の力で生きることができるようになること、究極的には自分の力で稼ぎ、経済的に自分で意思決定ができるようにすること、そんなことを強く意識して子育てをしようと思った。
何が起こるか分からない不透明な時代だからこそ、愛情に満ちた家庭で信頼関係や絆は決して崩れることはないと信じていたとしても、いざというときに崩壊するリスクが全くない、というわけではない。「家族観」として、「お金」や「権力」だということを一面として理解しておく。よりよく生きる教養を得たと思える境遇に感謝。
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現代の日本の家族関係をカウンセラーとして日頃より関わっている著者の経験に基づいて論じている。
家族関係は時代と共に変化していくものである。それは社会の変化と呼応しているだろう。しかしここ20年ほどの間での変化はあまりにも急激なものだ。バブル時代が終わり、日本の経済事情が変化し、低成長時代になった。それに伴い家族関係も急激に変わっていった。
子供は社会人になれば将来的には親の収入を追い抜いていく、子供は親を追い越していくという「常識」は消滅した。そしていつまでも親に頼らなければ生きていけない子どもたちが多く発生した。
ここ20年ほどの短期間でこれほどまでに「家族」という概念が変化してしまい、日本人はそれに追いついていけない、受け入れられないのではないだろうか。
「金しだい」という衝撃的な題名であるが、実際お金に関する問題解決なくして現代の家族関係は成立しないということはこの著を読めば明白である。冷静に家族間の問題(お金の問題)を受け止めなければ、新たなる一歩を踏み出せないことがよくわかる。
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お金がもたらす 力関係を無視して
現代の家族を語れない
という姿勢には はっとさせられました
少し前なら
自立しないなら 放り出しちゃえ
という考えが主流でしたが
今じゃ 年金世代のほうが
安定収入なんですからね・・・
放り出しちゃったら
死んじゃう人もいるよね
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ウェブで連載されていた記事を読むのを楽しみにしていたので、単行本化されたことを知り図書館で借りた。
実例はほとんど読んだことがあったけれど、後半に追記された考察も興味深く、お金と家族のあり方について考えさせられた。特に依存症の子供が親から金を引き出すために、子供が親を責めてその罪悪感を煽って謝罪要求したり、時には自殺をほのめかして脅したりしつつ金銭を要求する様がリアルで印象的だった。富める親世代と貧困化する子世代の世代間格差と振り込め詐欺との関連についても、改めて興味深く考えさせられた。
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家族をめぐるキーワードとはなんだろう。愛や絆ではない、お金と権力である。(本文より)
それらの問題の裏にある、お金によって出来る支配関係を解説している。
やっぱり気づきにくいけど、近いと関係だからこそそこが曖昧になってドロドロしたものになる。家庭裁判所も同様に、第三者が介入しないと解決しない問題がある。
ある一例の中で、自分がこうなった(うまくいかない人生)のは、母親(の育児)が原因だと主張し、母親にお金をせびる息子が出てくる。母親も母親で「罪悪感」を抱えお金を渡す。勝手に自分で育ってきたみたいな考え方は、自分勝手すぎる。なんで母親だけがそんな風に思われなければならないのだろうか、モヤモヤする。
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お金の問題が家族を狂わせることもある。夫から妻への経済的DVは、その顕著な例だ。家族とお金の生々しい問題を解決していくことで、先に進め、救われる人も出てくる。家族とはなんなのか、考えさせられる。
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Eテレの番組で信田さよこ先生を拝見する機会があり(「こんな方なんだ~」と思いました)、なかなか実際にお会いする機会もないので、妙に嬉しかったり?しました。
何とか、自分の配偶者は(結果的に私が無意識にカウンセリングのようなことをしていたようで)良い方向に向かうことができたと思っているのですが、本来は信田先生のようなプロ(「公認心理士」)の方と相談できれば良かったなと思っています。おそらく、本来はカウンセリングが有効な人ほどカウンセリングから一番遠い場所にいるのかもしれません。
「知識はメガネ」(歴史的社会変動)、「『まず離れましょう』という提案」など、私には納得の内容でした、
バブル期以降に社会人となった私の配偶者も、経済的に親から自立していたおかげで、最終的には自身の両親の介護問題の犠牲にならずに済みました(離れることができました)。
お金が全てとは思っていませんが、経済的自立がこんなにも自分の人生を自由にできるものなのだと(配偶者を通して)つくづく感じました。
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カウンセラーの方のお話なので、リアル感はありました。家族といえどもお金の話と向き合うことが、大事ですね。
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とても面白かった。
依存症になることを可能にしたのは何か。
依存症の継続は何によって支えられているか。
という捉え方(イネーブリングenabling)
特殊詐欺集団が最初に目をつけたのは「親子の情」。
父親たちへのグループカウンセリング
「子供が困ればお金を出すというのは社会の常識です。不況の中、親くらいは援助してやろうと考えることはむしろ「温かい親心」の発露だったのです。
一方で、新しい視点を提示してみましょう。愛情を示すこととお金を出すことは必ずしも一致しません。「あなたを大事に思ってるけど、お金は出せません」とはっきり伝えることが重要になる場合もあるのです。
親のお金によって、成人した子供が自分の行為の責任を取らずに済むことは多々あります。親のお金で暮らすことができれば、人間関係をつくる努力をしなくてもなんとかなります。」
家族を巡るキーワードは、絆や愛情ではない。お金と権力。この2つの視点を持たないと、家族の様々な問題は見えてこない。
■同じ明治時代でも、初期と日清戦争後では家族に対する考え方も大きく異なる。家父長制の完備(明治5年)で、男と女の地位は大きく変わった。メガネは時代によって大きく変わる。
■方向性は2つ。1つは、諦めて子供の言いなりになる方向(親の子殺しがいくら起ころうが、多数派に支持される)。もう1つは、親が子供(成人)と距離を取ること。
■家族は歴史的につくられたのもの。なら、変えることができる。
■よかれと思ってやった行為が、〇〇(飲酒等)を促してしまう。動機における善意や愛情が、結果として相手を窮地に陥れるというパラドクスを生み出す。それがイネーブリング。
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お金を出さない=愛情がないという資本主義社会の論理が家族に適用していることや、父親の努力こそが人生の基本という思考が自分の豊かさもあり後ろめたさがあることなど、気をつけないといけない思考の背景が客観視できた。様々な事例も時代背景、関係性の背景など、参考になった。
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為になるけど救いがたい。これが日本の現実と思うと暗くなる。政治はこの30年何をしてたんだ?と怒りがこみ上げます