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非常に興味深く読めた。
再生音源としてmp3は長年使っているが、mp3開発と普及までの裏話や、CDをmp3化してリークする組織があったことなど知らないことが多かった。
「誰が音楽をタダにしたのか?」。その流れを3つの軸を通して描く。
ストーリーの軸となる主人公は下記の3人。
(1)mp3を開発したドイツ人の研究者のブランデンブルク。
(2)音楽市場のトップに君臨し続けたエグゼクティブであるダグ・モリス。
(3)ネット上に音源をリークする組織「RNS」の最大の流出源となったCD工場の労働者、グローバー。
まるでその現場を見てきたかのように、当時の状況をありありと描いている。洋楽を聴かない人でも楽しめると思うが、アーティスト名、アルバム名が頻繁に出てくるので、洋楽好きの方が楽しく読めると思う。
特に2000年ごろからヒットチャートを独占してきたラッパーたちをリアルタイムで知らないと、面白さが半減するかもしれない。
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現在はサブスク全盛ですが、音楽はエアーチェックし、視聴版を聞き、CDを買う時代が確かにあったわけです。レコード、カセット、CD、MD。なもんで、レコード屋、CDショップなんていう風に呼んでいましたからね。そこで音楽に触れていた。でも、PCとインターネットで環境が大きく変わった。その先にスマホってなりますが、実際、そのさなかに何が起きていたのか、ホントにハリウッド映画さながらのスリリングな攻防があったわけです。時代の変革の流れをど真ん中で生きていたアツさと変わりゆく流れの中だからこそ起きたスペクタルです。
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音楽の"割れ"をめぐる物語を、違法アップローダー、MP3の開発、音楽業界の重鎮という3つの軸を通して語る。違法DLと言えばやってはならん、クリエイターを苦しめる等々説教臭い説明ばかりだが、本書は未発売のCDを持ち出して違法UPするとか、MP3の規格争いにおけるごたごただとか、そういった表立って語られない生臭い話が書かれており、陳腐な言葉だがまさに「現実は小説よりも奇なり」である。
ただ、翻訳の質はあまりよろしくないように思う(技術用語が定訳とかけ離れていて通読しててひっかかった。)
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めちゃくちゃ面白かった!
1990年代〜2000年代
・mp3規格の開発と苦難 (1996)
・ネット環境の向上。デジタル化の萌芽
・mp3プレイヤーの開発
・窃盗行為による海賊版の横行。フィジカルな海賊版から、組織的な音楽海賊団の手でネットの海へ。
・ナップスター(P2P)の革新と退場
・シェアの非アンダーグラウンド化(民主化)
・ビットトレント登場
・iTunes、iPod登場
・業界構造の根本的変化。著作権、広告収入
・2011 史上初、録音音楽とライブの売り上げ逆転
・2012 デジタル音楽売り上げがCDを上回る(北米)
・2013 ストリーミング収入が初の10億ドル超え
テクノロジーと卓越したビジネス眼、人間の欲と犯罪が、世界を前に進ませる。
mp3開発チームが正当な対価を得られていて良かった。
最強の音楽エグゼクティブ ダグ・モリスとJay-Zのコイントス。ジジイになってもクールなモリスに痺れた。
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2000年代、自分の周囲でも「悪気無く音楽・動画をシェアすること」が流行したことがありました。
その舞台裏を明らかにする本作は非常に興味深く読めました。
その後、日本では「不正にアップロードされた著作物をダウンロードすること」自体が犯罪化されましたが、その頃には流行も一段落しており、やや対応が遅きに失した感はあります。
そういえば、以前、歌手の川本真琴さんが、「音楽のサブスクを考え出した人」を過激な表現で批判して問題になりましたが、音楽業界がサブスクリプションというシステムを導入せざるを得なくなった状況については、本書を読めばより理解が深まるのではないかと思いました。
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スリリングなノンフィクション。
音楽を盗んで無料でばら撒いていた人
それに使われている技術を生み出した人
音楽そのものの供給者のトップ
大きく3つの軸から描かれる、音楽がデジタル化・無料になっていく様子。取材力もすごいし、構成も面白い。
近年はサブスク・ストリーミングが主流になったように思うが、どんな変化にもドラマがあるんだろうと思うとワクワクする。