投稿元:
レビューを見る
日常のすぐ脇に暗く深く開いている異次元への穴にというのか、自分たちが現実と思っている世界ととはズレた異世界ーまさに魔境ーに引き込まれるようで、とても怖かった。不協和音、違和感、平衡感覚の狂いを感じる世界。森見さんの潜伏期間中の闇を感じた。
投稿元:
レビューを見る
何がどういうわけでどうなったのかなんて考えなくていいんだと思う。夜の中だったり、朝の光だったり、ただそこに包まれていれば。ふんわりとそこに浮かんでいる感じ。でもそれが嫌ではない。
投稿元:
レビューを見る
怖かった。もう何年前なのか、はじめて「尾道」を読んだときのことをふと思い出した。暗闇に立つ白い顔の女。怖すぎた。通りすがる電車のなかから、人の顔がはっきりと見えるなんて、恐怖以外のなにものでもなかった。世界はつねに夜なのよ。この言葉で本当の世界と裏表になる。ここは本当にここなのか、誰が真実を語るのか。すごく不思議なおそろしくて魅惑的な世界だった。
投稿元:
レビューを見る
京都。絵画。パラレルワールド。鞍馬の火祭の日に姿を消した友人がいた。10年ぶりにあの時のメンバーで集まることになったその日、ひとりひとりが不思議な話を始めた。
投稿元:
レビューを見る
底知れない闇が、すぐ側で、ぽっかりと口を開けているような話が連作で展開されます。
ラストは、もの哀しさに包まれるような余韻を感じました。
“裏モリミー”という感じの作風。結構好きかも。
投稿元:
レビューを見る
森見氏が京都以外の地を物語にするとは。夜行と曙光のパラレルワールド。行き来してしまうのは何故だろう。
投稿元:
レビューを見る
鞍馬の夜に消えた長谷川さん。その友人たちが旅先で出会う銅版画。
各話がこの世ならざるような話で幻想的、だけれどきつねのはなしのほうが綺麗だし、何より表紙に漫画絵を使ったことが許せない。ただそれだけで抽象的な表現が、雰囲気だけで実力のない若手作家のように見えてしまう。
投稿元:
レビューを見る
夜行列車のように夜の闇の中を旅する4つの怪異譚はどれも一読してとらえどころがない不気味な印象を受けるが、節々に匂わされる隠された情交に思い至ったとき、どの話もたまらなく妖しくエロティックな様相を呈してくる。最終話はひとまずは謎解き編となり、主人公は明るい朝の光の中へ帰還するのだけれど、残念ながらそこまでの夜の世界の物語の魅力がはるかに勝っている。
投稿元:
レビューを見る
朝起きると嬉しいニュース。本作が第156回直木賞の候補になった!「夜は短し歩けよ乙女」が劇場アニメ化するなど、「森見先生が遠くへ行ってしまわれたなあ。。」なんて、近くにいたこともない森見先生に思いを馳せる日々が続いている。賞がすべてではないけれど、十周年を終えるのに十三年かかった分報われてほしいものである。奈良の盆地の底をうろうろしている場合ではないですよ!
この「夜行」は、森見先生の作品を“光”と“影”に分けるならば“影”に分類されると(勝手に)思う。いつもの明朗愉快さも、爽快な大団円もない。同じく“影”である「きつねのはなし」を読んだことがなかったら、裏切られた気持ちになっても仕方あるまい。ホラーなんだけど、ノスタルジックで美しい世界。
「曙光」と「夜行」の世界。最後の最後で「曙光」の世界が現れたとき、わたしも狐につままれた気分になった。エアポケットのようなものがこの世界に存在しないとも限らない。自分が立っている「いま」が周囲の人にとっての「いま」と一致しているか、不安になった。
投稿元:
レビューを見る
森見作品と伊坂作品は毎回楽しみにしているが、久々の森見さんの作品! ペンギンハイウェイみたいに、どこか寂しさがあり、きつねのはなしみたいになんだか怖い。
面白いけど、やっぱり痛快活劇作品の方が好きかな。
投稿元:
レビューを見る
くされ大学生が主人公の冒険活劇ではなく、『きつねのはなし』っぽい、ぞわぞわ系の物語だった。
10年前、鞍馬の火祭の夜に出かけた6人のうち、ひとりが失踪。4人から語られる不思議な体験談に共通して登場する、銅版画「夜行」シリーズの謎。
「夜行」の謎に迫る時、主人公の身に不思議な現象がー。
薄気味悪さは、最初の尾道が個人的にはナンバーワンかな。
尾道、奥飛騨、津軽、天竜峡、そして鞍馬。
不思議な事が起こりそうな、ぞわぞわな話が実にしっくりきそうな舞台の選出が、秀逸。
そして、読んでいてスカッとする話でも、熱と勢いのある類の作品でもないのに、読み出すとやめられない。
不穏な空気感の中、あくまで静かに繰り広げられていくものの、ぐいぐいと惹きこんでくるパワーは変わらず。
読後は爽やか、とはいかないけれど、こんな話もまぁ良い。
投稿元:
レビューを見る
(2017/3/6読了)
久しぶりの森見作品で、私の考える森見ワールドを期待してたので、正直がっかりした。
描きたいことはわかるつもりだけど、読書中の楽しみも、読後の達成感もない。それでも星を2つにしたのは、絡み合う内容でありながら、読みやすかったから。
これで森見作品はもういいかな。。。
(内容)
『夜は短し歩けよ乙女』『有頂天家族』『きつねのはなし』代表作すべてのエッセンスを昇華させた、森見ワールド最新作!旅先で出会う謎の連作絵画「夜行」。この十年、僕らは誰ひとり彼女を忘れられなかった。
投稿元:
レビューを見る
ある画家の二つの銅板画シリーズをキーとした光と闇のパラレルワールドを描いたお話。人は何かによって全く違う世界へ誘われる不気味さ。ホラー要素もあり楽しめた。光あるラストなんで読後感はいい。
投稿元:
レビューを見る
10年前の火祭りの日にいなくなった仲間。
それからの10年、それぞれの人生に起こった不思議な出来事とそれぞれが出会う「夜行」という連作絵画…あぁ、もうこの設定だけでもどきどきわくわくしちゃうじゃないか。
あの日、誰に何が起こったのか。多分、ここに書かれてはいないけど、それぞれにとって別の10年が流れているのだろう。それぞれの世界でそれぞれの不在と再会。
何がどうなっているのか、何もわからないまま終わる、この感じ。好きだ。
投稿元:
レビューを見る
僕らは誰も彼女のことを忘れられなかった。
私たち六人は、京都で学生時代を過ごした仲間だった。
十年前、鞍馬の火祭りを訪れた私たちの前から、長谷川さんは突然姿を消した。
十年ぶりに鞍馬に集まったのは、おそらく皆、もう一度彼女に会いたかったからだ。
夜が更けるなか、それぞれが旅先で出会った不思議な体験を語り出す。
私たちは全員、岸田道生という画家が描いた「夜行」という絵と出会っていた。