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学生運動に力を入れていた下山英二は、東アジア反日武装戦線による1974年の物産爆破事件を間接的に支援しその現場にいた。その状況に恐れをなして逃亡。当時付き合っていた高校生の久美子にも一切連絡せず一方的に捨てた。以後静岡で42年間過去を隠し不動産会社を成功させた。
しかし当時の運動仲間である村木から、自身の会社が警察から調べられ、困難な状況に陥ったとの事で助けを要請される。
村木に引け目が有る下山は42年ぶりに東京へ出てくるが、捨てた久美子(人気の小説家となっている)の最新作が1974年の事件について書かれており、下山も登場していることから、久美子に合い過去を清算しようと試みる話。
同じく反日武装戦線が起こした重工事件でなく、物産事件にしたのは、その日が長嶋の引退試合の日だったからで、あまり必然性は無い。事件の大きさに驚き、実行犯でもないのに、家族・恋人・同志を捨てて突然42年間身を隠すというのが、リアリティに欠ける。その1ヶ月半前に深刻な被害を出した重工爆破事件があった。当然下山はその事件を詳細に報道等で知っており、実行グループもその反省から物産爆破は威力を弱めていたし、事前予告も行い被害は少なかった。にもかかわらず、驚愕していきなり逃亡?
ストーリーもその後謎についての盛り上がりにも欠け、同志グループや引退した当時の公安との接触についても、驚かされる事もさして無く終了。
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1974年に起きた企業連続爆破事件をモチーフにした作品。反勢力に加担していた主人公が、実際に起きた爆破事件に恐ろしくなり、仲間の前から姿を消すこと、42年。仲間の窮地に42年ぶりに東京へ戻ってきた英二だったが…幕間に42年前に主人公に捨てられた恋人の小説が描かれ、それで過去の出来事の説明を補う形で、主人公目線からの事実を隠そうとする描き方が少しイライラする。いつも思うけど、やはり堂場瞬一は私には警察物以外は合わないみたい。
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静岡の元不動産会社経営者下山英二が、トラブル解決を依頼され、42年ぶりに東京へ出ていく。
1974年以来の東京に戻った英二は、42年間を取り戻そうとする。
個人的に42年前の1974年は最も忘れられない年です。
残念ながら物語には、あの頃の空気感がなかった。
物語の主人公と同じで、あの頃に戻りたかった。
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主人公は丁度同い年くらいなんだけど、どうも考え方、生き方に共鳴できず、苛付くばかり。長嶋の引退って、もちろん覚えてるけど、そんな感慨ってなかったなあ~
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本の楽しさという側面を求める作品ではないかな。ここまで自分勝手で魅力のない奴を書くのも才能なのかな。最初から最後まで「嫌」という文字が頭の中にあった。他の作品と同じようにいちいち料理に難癖つけるし、、、
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1974年といえば、大学紛争から内ゲバの時代へと移ろい、抗争全盛期だったと記憶している。そんな活動の一つとも思えるテーマを、長嶋茂雄引退の陰で蠢く陰謀として書かれているところが、とてもフィクションと思えないぐらい生々しい。当事者たちの後年、回想展開は、信念を持って生きてきた者たちの模様を描く、いわばステレオタイプにも感じるが、それがかえって人間臭さを醸し出す。思い出したくない者、すがり続ける者、冷ややかに見つめる者。近代の日本人の有り様を一つの縮図にした物語ともいえる。
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1974年企業爆破事件の日に失踪した18歳の大学生
学生運動のリーダー。近所の女子高生16才と交際
42年後。静岡で不動産会社を興し成功
学生時代の仲間から連絡
相談にのるが、失踪した自分の自己批判をさせる為の罠
女子高生は作家になっていた 本は全て読んでいた
あの日、彼女は妊娠したことを告げたかった
学生運動の仲間に相談するように公安の刑事から言われた
水商売をしながら子供を育てたが、10歳で事故死
弟が出版社にいた。作家となった彼女の連絡先を聞くが拒否
昔の仲間の一人はまだ活動をしている
拉致されてナイフをつきつけられるが引退した公安刑事が助けにきて病院へ。仲間の女弁護士からの手紙で全て罠だと知る、不動産会社の友人にも裏切られていた
彼女に会いにいき、やり直そうというが拒否
マンションを追い出され、彼女の部屋の窓を見続ける
窓が開き、冷たい表情で見つめていた
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過去に拘泥するというコンセプトで学生運動をベースにするのはぴったりだと思うけど、それを半ば強引なまでに敢えて1974年10月14日に設定するってところに著者と編集者の野球愛を感じるね。
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最後に見たものは、絶望か?希望か?
1974年10月14日 日本の夢が終わった日
長嶋茂雄引退試合の日、三井物産爆破事件が起こった。過激派のリーダー格だった男が突然、失踪した。あれから42年たった今、男が東京に足を踏み入れたのはなぜか?運命の歯車が高速で逆回転し始める、過去はいつまでも追いかけてくる。一気読みしちゃいました(^^)
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42年間の逃亡の末、ようやく辿り着いた昔の彼女にあっさり「憎んでいるというよりは無関心」と言われる恥ずかし過ぎ、情けな過ぎのラストに、そらそうやろと思いながらも、結局いい年をした大の大人が心の中で守ってるものってそんなもんなんかな〰って、妙にリアリティを感じてしまった。結局最後まで引っ張られた今年1冊目だったので甘めの☆4。
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意外と辛口コメントの多い本書だが、私もモヤモヤするところはあったもののそんなに悪くはなかったように思う。
主人公・下山(元学生運動のリーダー的存在)は、そもそも
・昔仲間だった吉塚に助けを求められて42年ぶりに上京
・上京してから元・恋人が昔の話を題材にした小説を描いたことを偶然知った
のに、なんか会う人会う人「今更何しに来た」のような対応をチラチラ見せている始末。
そんな対応取られるならすぐに静岡に帰ってしまえばよかったのに、嫌いで別れたわけじゃないモトカノが自分のことを題材にした小説を書いてくれているからって、今でも俺のことを想ってくれているのかも?と勘違いする、ここがやはり「そんなわけないでしょ」と一刀両断したい感じがしました。