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著者が幾つかの出版社から依頼されて書いたものの、単行本に未収録状態だった短編を一冊にまとめた蔵出し本です。10年以上前のイッセー尾形さんと山田太一さんとの著者の対談も収録されています。ちょっとしたユーモアがあるのが著者の良いところですが、素朴な少年少女ものも掲載されていて、バラエティに富んだ一冊になっています。
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(2016/11/29読了)
久しぶりに読んだ奥田さん。以前好きで読んでたので、ちょっと期待しすぎてたかも。もしかしたら、読み手の私の受け方が変わってしまったのかもしれないけど。
あとがきにもあるけど、まとまりのない短編集で(それには理由がある)、さらに過去の対談も2つ入ってる。
社長の話はシリーズ可しようとして挫折した二篇で、各話ごとにラストは救われる感じになっていて楽しく読めたけど、ドライブインサマーのような、行き過ぎたドタバタだけで終わる話は、今の私には、イライラだけが残ってしまった。
同じくあとがきに、奥田さんご本人が気に入っていると書かれていた夏のアルバムは、三丁目の夕陽の世代。私の年代とは少しずれるけど、読んでいて胸が熱くなった。
(内容)
迷惑、顰蹙、無理難題。人生、困ってからがおもしろい。脱サラで会社を興した38歳の社長、渋滞中の車にどんどん知らない人を乗せる妻、住み込みで働く職場の謎めいた同僚…。著者お気に入りの短編から、唯一のショートショート、敬愛するイッセー尾形氏、山田太一氏との対談まで、あれこれ楽しい贅沢な一冊!!蔵出し短編集!
(目次)
おれは社長だ!
毎度おおきに
「笑いの達人」楽屋ばなし
ドライブ・イン・サマー
クロアチアVS日本
住み込み可
総てのひとが〈人生の主役〉になれるわけではない
セブンティーン
夏のアルバム
あとがき
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奥田英朗の単行本未収録の短編を纏めた本。なんでも編集者が方々探して収録したそうで、おかげで読むことができる。有り難いことです。
最後の「夏のアルバム」が感動的。多分昭和30年代初めの郊外に住む小学生姉弟の夏休みの日常を描いている。自転車に乗れなかったり、姉と喧嘩したり、従兄弟と遊んだりするところが、まさに自身が体験したみたいに思い出せるようである。そんな中、従兄弟のお母さんが亡くなり、気丈に振舞っていた子供達が泣き出すラストは、小説でなければ出せない雰囲気を感じてとても良かった。
そしてあとがきを読む。ここで著者が「夏のアルバム」は自分の短編でも五指に入ると書いており、うんうんと頷く。
また命を削るように小説を書いているとのこと。「直木賞作家の平均寿命は73歳なので、あと16年で死にます」だそう・・・。まだまだ良い長編、期待してます。
普通短編集に星は付けないのですが、「夏アル」で5☆。
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まとまらなかった短編集w(本人談)
アンソロジーに収録されているものもあるらしいけど、私はどれも初読み♪
奥田さんが敬愛する、イッセー尾形さん、山田太一さんとの対談もよかった!
どれもこれも奥田さんらしい、いいとこ取りの短編集に仕上がっています~♡
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あとがきで各編の解説がありますので、こちらも感想を。
「おれは社長だ!」「毎度おおきに」、これが一番面白かった。この二つの話でシリーズの一冊かと思いきや、あとがきでこの二つで力尽きたとのこと。残念です。
「ドライブ・イン・サマー」、ドタバタすぎて一番つまらなかった。
「クロアチアVS日本」、W杯に一喜一憂した記憶があるので、それなりに楽しめました。
「住み込み可」、お客さんの大半が一見さんの食堂の話。
オウムの事件も記憶に新しいので、興味深く読めました。
「セブンティーン」、娘を持つお母さんの心理が目の当たりにしました。
「夏のアルバム」、いやぁ~、いろんな場面が懐かしかった。世代が近いからなのか・・・
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奥田英朗らしい短編集。
『ドライブ・イン・サマー』が好き。「そんなやついないだろ」と突っ込みたくなるが、面白い。
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奥田英朗作品には珍しいあとがきによると、本書はまとまらなかった短編集だという。意地悪く言えば寄せ集めだが、奥田節は十分に堪能できる。
最初の2編「おれは社長だ!」と「毎度おおきに」は、大手広告代理店から独立した人物が主人公。見栄で虎ノ門に事務所を構えるも、早々に現実を思い知る。それでも、家族と部下に支えられ、何とか滑り出すが…。2編目に登場する、一見お調子者の社長の言葉は、重い。この2編で終わってしまったのが残念。
ユーモア路線も多い奥田さんだが、「ドライブ・イン・サマー」のような純粋なギャグは意外かもしれない。映像で見てみたい。ショートショート「クロアチアvs日本」。QBKという言葉を生んだ、2006年ドイツW杯のクロアチア戦を、クロアチア目線で描く。あのときのクロアチア人の気持ちを、言い当てている気がする。
「住み込み可」。夫のDVと借金から逃げ、熱海にたどり着いた母子。ある現実の事件がモチーフとだけ書いておく。この母子に、平安な日々は訪れるのだろうか…。「セブンティーン」。年頃の娘を持つ母の心理を、男性作家がよくぞここまで描けるものだ。つくづく引き出しが多い。ご自身がお気に入りだという「夏のアルバム」。誰もが経験した、少年時代。これもシリーズ化してほしい1編だ。
小説以外に、対談が2本収録されている。相手のお二人とも、僕はよく知らないが、奥田英朗という作家の、創作作法の一端が垣間見えるだろう。TVではほとんど見られない、イッセー尾形さんの舞台は、見てみたい。
本作収録作品の版元はバラバラだが、単行本にまとめるために動いてくれた、講談社の編集者に感謝したい。もちろん、作者の奥田さんにも。これからも、稀代のストーリーテラー・奥田英朗から、目が離せない。
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読み逃していた奥田作品をたくさん読めて幸せでした。
一番好きだったのは、ご自身でも気に入っておられた「夏のアルバム」
奥田さんが描く、すごく生き生きとした子供らしい子供が大好き!
みずみずしい子供の感性に、胸がいっぱいになりました。
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短編集。
『おれは社長だ!』と『毎度おおきに』はシリーズ。社長は大変そうね。社員のことも考えないといけないんだもの。さらに利益をあげなければ……。すごい。
『ドライブ・イン・サマー』はだんなさんの気持ちになっちゃう。知らない人と車の中で一緒に過ごす、耐えれないよ、しかも渋滞してるんだよ。勘弁してよね。
『住み込み可』温泉街ならあるの? こんなこと。
『セブンティーン』子供の頃は自分のことでいっぱいいっぱいだけど、親はすべてお見通しだったのかも。ハハハ。
『夏のアルバム』いとこのこと、自転車のこと、思い出深い夏。
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著者の後書きにもあるが、さまざまな小説誌に書き残した短編と対談をまとめたもの。
どれも人間臭く著者らしい。
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奥田さんの、
お蔵入りしかけてた作品を寄せ集めた、
文字通り、蔵出し短編集です。なので、
文字通り、統一感のなぃ、
ヴァラエティに富んだ作品集ですが…、
なるほろ、お蔵入りするには訳がある!
悪ぃ意味ではなぃけど、訳アリですね?
どの作品も、及第点はあげられますが、
珠玉の作品集といぅ程ではありません。
なので、評価は、ふつぅと致しまそぅ。
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2016/10/27
内容雰囲気バラバラ短編集。
独立する大手のサラリーマンにソワソワしたり、ヒッチハイクする若者を乗せた車の最期に大笑いしたり、17歳のクリスマスに思いを馳せたり、死に涙したり、忙しかった。
あとがきもまた良かった。新潮社ドンマイ。
奥田英朗さん大好きです。
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今まで表に出なかった短編と対談集でした!家日和と邪魔とかの間のようなおはなしが多かった気が…!会社の話は興味深かったけど、基本的にわりと後味良くないというかあまり良い展開じゃないのがおおくてなんとなくもやもやしてしまった…
でも山田太一さんとの対談はすごくなるほど、って思うことが多くて、誰もが主役にはなれない、けどそれぞれがんばってるみたいなかんじの内容がとても良かったなー!
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短編、中篇、対談などを、出版社の垣根を超えて寄せ集めたもの。人気作家ならではの1冊。で、やはり、細かいディテールの妙は、読んでて楽しいし、その源が「イッセー緒方」や「山田太一」にあるのが、対談でわかって興味深い。山田太一が電車の中で漏れ聞いた「セーター、そのまま着るとチクチクするよね」みたいなセリフをどっかで使いたくてそこから話を考える、という話は面白いと思った。奥田さんの作品にもそんな傾向があって、頷けるものがあった。
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お蔵入りしていた短編をまとめたもの。シリーズものではなく寄せ集めのごった煮。まさにバラエティ。だけど、どれもこれも実にいい。作品ごとにガラリと装いをかえ、引き出しの多さに本当に驚かされる。人生の処世術といった教訓が随所にあり物語としても面白い。あっという間の一気読みであった。心の琴線にやにわに触れられ、何度も涙腺が襲われた。圧巻はあとがきの最終行。これにはまったくもって油断していたので激流が止まらなかった。もう最後の最後までやられっ放し。最後の行だからいつでも目を通せる。何度読んでも、じわりと濡れる。この人すごすぎ。