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毎年刊行されるインターネットに関わる最新動向をまとめた本。
第一部のビジネス動向では、ソーシャルメディア、NetflixなどのSVOD、LINE MUSICやAWAなどの音楽配信、電子出版、インターネット広告、Eコマース、シェアリングエコノミー、決済プラットフォーム、クラウドビジネス、などが取り上げられていて、数年前とはかなり内容が変わっているのだろうなという印象。
第二部は 通信事業者動向。当然NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの大手通信事業者の決算情報を含む動向が語られる。中でもNTT地域の役割も卸の開始でずいぶんと変わった。今後はIP電話網への全面移行という大きな作業が待っている。海外通信事業の状況にも触れられているが、欧州を中心に再編が激しい。5Gに向けての投資も大きく、競争も激しくなっているからだろうか。米国の状況についても、ソフトバンクが買ったSprintやT-Mobile、Comcastなどのケーブル事業者などの競争も興味深い。国内の情報通信政策の動向にも触れられていて頭の整理にはなる。
第三部はインターネット基盤動向で、もっとも”インターネット白書”らしいパートになる。ドメインやIPv6、インターネットトラヒック、モバイルトラヒックの動向が数字をもとに議論されている。また、インターネットのガバナンスやセキュリティについてもさすがに詳しい。
第四部は製品・技術動向。IoT、ウェアラブル、AR/VR、無線LAN、ブロックチェイン、位置情報ビッグデータ、HTTP/2、DNS、コンテナ技術、次世代クラウド、が並ぶが短いページ数に収めるためか消化不良の感が強いものが多い。
第五部の社会動向においては、電気通信事業法/個人情報保護法/マイナンバー法などの関連法、オープンデータ、災害対応、教育ICT、ソーシャルメディア上の社会問題、などが並べられるが、なかなかしっくりこないものが多い。各テーマについて専門家に記事を書いてもらっているのだが、無理をしてこの本に掲載することもないのではないかと思うものもいくつかあった。それよりも第二部や第三部をさらに厚くしてほしい。
2016年度版には、去年1年間のイベントに加えて、1994年から20年間の通信業界の歴史が掲載されている。色々とあったなあと懐かしくいくつかのイベントを思い出した。
今後とも毎年買って読む本。