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宮内さんと囲碁ということで、盤上の夜のような作品を期待しつつ、読みました。囲碁盤を中心にそれぞれ関わっている人の心情が浮き上がってくる連作短編集でした。碁盤と碁石、宇宙と星に見立てられること、特殊な木材を使うこと、呪術にも使われていた歴史など、様々な視点から碁盤、碁石、囲碁を読み明かし、事件の真相、人物の心情が豊かに浮上します。静謐な謎ときと、じんわりと広がる思いに酔いしれてしまいました。
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放浪の碁盤師・吉井利仙と、彼を師と慕う若き囲碁棋士・愼。ふたりが出会う入り組んだ謎の先に見える情念の闇と論理の光。囲碁をめぐる宿命に取り憑かれたような不思議な事件の数々は、ふたりに何をもたらすのか? 静かな迫力に満ちた逸品。
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囲碁ミステリと言えば竹本健治だが、本作は静謐と悲しみが全体を覆いながらミステリとして十二分に読ませる。楽しみなシリーズがまた一つ。引き出しが多い作者なので、続きを読みたくもあるが別の引き出しを堪能もしたく。7.75
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昨年、図書館で新刊のところにあったので、タイトルからして面白そうだと思い借りてみた。タイトルから囲碁の話かと思いきや、碁盤の話。それに連続短編集だった。
内容は碁盤師の「吉井利仙」と彼を慕う高校生囲碁棋士「愼」とのエピソードが書かれているが、ちょっと、内容的に私には合わなかったような気がする。一応タイトルの章では殺人事件が起きているのだが、あまりにも謎解きがあいましで、さらに犯人もあいまいにぼやけてしまっていて・・・・。なんか凄く当てが外れたみたいな気がした。まあ、図書館本だから良かったけど、あまりお勧め本ではないかと思う。
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放浪の碁盤師と彼を慕う少年棋士が出会う囲碁を巡る事件の数々。
碁盤を作る仕事など想像したこともなかったので、まずそれが新鮮だった。囲碁についてはほとんど知識がないが、これを読むとそれが単なる遊戯ではなく哲学、一つの世界であることが伝わってくる。
形としてはミステリ連作短編集でも、SFと同じくやはりセンスオブワンダーを感じる不思議な話だった。
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囲碁ミステリ……ではなく、碁盤ミステリ。もちろん囲碁も関係はあるのですが、メインは碁盤なので。囲碁をまったく知らなくても、とっつきやすい印象です。むしろ碁盤に関するさまざまな知識が楽しめるところが、魅力かも。
お気に入りは「花急ぐ榧」。何とも切ない物語。しかしそれにしても、碁盤にするために何百年……とんでもなくスケールの大きな物語が碁盤に秘められている気がしました。なるほどそれなら「宇宙」と言われても納得できそうです。
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私は碁を知らない。
けれども、この本を読んでいると「人生とは長い長い碁のようなものなのかもしれないなぁ」と感じてしまう。碁ってすごい世界だ、と。
碁盤なんて大きな木の何かくらいにしか思っていなかったけれども、機会があったら碁盤に打つところを見てみたい、石の音を聞いてみたいと思った。
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「ヨハネスブルクの天使たち」を絶賛した過去の自分が恥ずかしくなるくらいにつまらない本だった。
この著者はきっと、人生の機微だとか男女の愛だとかは書けないのだと思う。自分の頭の中だけで物語の設定をこねくりまわして悦に入っているだけの、妄想癖作家なのだと思う。難しい言葉や引用で装飾されてはいるけれど、よく見ればそこには何の意味も付与されていない。
利仙も安斎も幼稚な漫画キャラクターのようだし、愼と蛍衣の2人のシーンは目を疑ってしまうほどこっ恥ずかしい。
いっそ人間を登場させない小説のほうが、この人には向いているのではないかな、と思ったり。
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なんというか、取り上げた題材は面白いのですが、想定読者層を大幅に下げたのでしょうか?ライトノベル(?)的なものを読んでいる気分。楽しめませんでした。
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宮内悠介の作品にしては、うーん、どうやろ?ちょっと消化不良な感じかなぁ。
碁盤を作る碁盤師がホームス役、その弟子で棋士の若者がワトソン役兼主人公である。その設定は良いのだが、ホームズ役の碁盤師、利山がなんとも掴めないキャラクターで、悪役の贋作碁盤師安斎の方がキャラクターとしてしっかり成立しているくらいである。むしろこちらを主人公にしたプチノアールで良かったのでないか?と思えるくらい。
碁や碁盤に関するうんちく、ノウハウは興味深いが、肝心の物語が薄い。プロットを紹介しているだけ程度に思えるような作品もあって、残念。ボリューム含めてもっと掘り下げて欲しいなぁと思えた。
これシリーズ化するのだろうか?だとしたら、触りの1冊。役者も揃って、これからの展開には期待できそうである。長編、もしくはもっと突っ込んだ連作短編で読ませてほしい。