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2016年のミステリーズ新人賞。
「診察」のプロが、病気を軸にした謎を解いていく、連作短編集。
病気やその関わり方、語り手の立ち位置等、パターンの付け方が上手い。次はどんな病気がテーマで、どんな人物やどんな謎が出てくるのか、毎度楽しみになる。
話の組み立ても新人とは思えないほど器用で、やはりバリエーション豊かに、かつ自然にストーリーに取り込まれる。
ちょっと惜しいのは、伏線がストレート過ぎる点か。登場人物たちが謎解きを進める構図が多いので、どうしても真相がうっすら分かってしまう。
しかし「消えた脳変異」などは、それでも面白いからよいのだけれど。
そういえば、2016年の新人賞はレベル高かった。
4
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【収録作品】血の行方/幻覚パズル/消えた脳病変/開眼/片翼の折鶴
主治医らが的確な診断を下せず試行錯誤している患者の病気を、診断の天才・西丸が見抜く連作。こういう医師がいたら頼りになる、というだけでなく、主治医らもみな力量は及ばずとも真摯に治療にあたろうとしているのが好もしい。現役医師というだけあってそつがないというべきか。人間ドラマがもっと膨らむと、西丸が魅力的になるだろう。
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医療ミステリの短編集。
ホワイダニットがメインになり短編でもあるため登場人物は少なく分かりやすい。ただミステリ部が分かりやすいかというとそうでは無く、よく考えられていて人間ドラマとしても読み応えがある。医者が患者と病気に向き合い原因を探す。
特に表題作の片翼の折鶴は面白かった。夫婦の話だったので感情移入しやすいのもあり身に詰まる。
他の作品も読んでみたい。
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医療もの。謎の症例の診断をするのは謎解きに通じるものがある。予断や消去法ではなく事実に基づいて判断。
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医療物短編集。5作の作品から構成されている。初老の講師が学生たちに行う脳外科臨床講義をテーマに据えた「消えた脳病変」が圧巻。将来に注目しておきたい作家のひとり。
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医療に関するミステリーが5編.医師としての診断が難しく,解決に悩む症例の中で,西丸豊が鮮やかに解決するパターンだが,多少専門的な用語が出てくるものの,ミステリーとして非常に楽しめた.表題作も良かったが,「消えた脳病変」で医学生に謎を投げかける榊と辻村,三矢,二階堂,西丸らのやりとりが楽しめた.榊の弱点を見つけ出した西丸の視点が素晴らしい.
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医科大学の脳外科臨床講義。
第一回目だというのに、初老の講師は意外な課題を学生たちに投げかけた。
患者の脳にあった病変が消えてしまった、その理由を考えてみろというのだ。
学生たちは推論を重ねていくが一向に正解にたどり着けない。
しかし、西丸という学生ただ一人が、その意外な真相を導き出す―。
選考委員が絶賛した第十一回ミステリーズ!新人賞受賞作「消えた脳病変」ほか、臨床医師として活躍するその後の西丸の姿を描いた四編を収めた連作ミステリ集。
(アマゾンより引用)
表題作も面白かった。
医者ってすごいなと改めて思う。
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医療現場のミステリ短編集。
医療の知識はありませんが、どれも面白かったです。
殺伐とはしておらず、どこか優しさを感じるお話しばかりでした。
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病気や器官の名前に専門用語が出てくるが、すっ飛ばして読んでも内容は十分理解できる。どの短編も読後感爽やかなので、医療ミステリーにありがちな敷居の高さは感じなかった。ただ表題作のテーマってどっかで読んだような・・・でもそれを補ってなお余る魅力があったのも事実。倒叙のスタイルを取った理由がよくわかった最後が印象的。
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現役の医師が書いた臨床探偵を主人公とする連作ミステリ短編集。
医療用語が出たり特殊な病気が題材だったりするので馴染めない所もあるが、可能性を一つ一つ潰しながら真相に迫っていくプロセスは本格ミステリそのもので、大変面白かった。「ミステリーズ!」の新人賞を受賞した「消えた脳病変」と表題作が特に良かったが、他の3編も引けを取っていない。これは傑作
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躁うつ病を患い睡眠薬による自殺を図ったとして精神科に入院した夫人が、再び原因不明の昏睡状態に陥る。傍らに落ちていた羽を片方千切られた折鶴から、診断の天才と謳われる一人の医師が隠された真実を突き止める。-表題「片翼の折鶴」-
優れた洞察力と医学に関する広範な知識を持つ臨床探偵『西丸』を主人公とした、第十一回ミステリーズ!新人賞受賞作。
現役医師が著者の、病気の原因解明を主題とした連短ミステリーではあるけれど、知識がなくても解ける話もあり。
勿論探偵役の主人公は非常に優秀で人間性も優れた医者として描かれている。そこに著者の医師として真摯でありたいという想いが、ひしひしと伝わってくるような気がした。
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探偵のように病を当てる医者。連作ミステリ。専門的なことが多く、登場人物も癖がない人たちばかりなので、深くはのめりこめなかったが、気になり…気になりでさっと読めた。「片翼の折鶴」が夫婦の思いが書かれてて、一番印象に残り、よかった。その次が「消えた脳病変」かな。こちらは第十一回ミステリーズ新人賞受賞のものとのこと。
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2019/06/01 読了。
図書館から。
初著者作品。
表題とあと一作面白かった。
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現役医師が書くミステリーということで興味を持って読んだ。
医療知識の乏しい私でも充分楽しめるほど、専門用語や病状については分かりやすく説明してあった。
救急科の病棟医長という肩書きながら驕ったところのない、外見上も平凡な医師・西丸が『臨床探偵』として様々な不思議な病状について解き明かす。
医療の点からではあるのだが、パズルのような要素もあり、ミステリー好きとしても楽しめた。
改善しない貧血、消えた男は幻覚か否か、消えた脳の病変、繰り返す呼吸困難、そして殺そうとした妻が残した片翼の折鶴。
『臨床診断を行う時、私たちは消去法で疾患を断定することはできません。なぜなら我々の持っている医学知識は完全ではないからです。全ての条件が揃っている前提でなければ、消去法は有効ではない』
『臨床の現場において全てを把握するのは困難です。できると考えているなら、それは、ただの驕りです』
西丸が各担当医に突きつける言葉は正論であり、正に『驕り』を抱えつつある医師にとっては深く突き刺さる。
西丸の姿に自分の姿勢を省みて再出発しようとするモチベーションのある医師なら良いが、中には打ちのめされる医師もいそうで気になる。
勿論傲慢な医師に診てもらいたいとは思わないが、意欲的で尚且つ真面目に医療に取り組もうとしている医師たちの心を折ってしまうのでは?と心配になってしまった。
余計なことを言わず姿勢を見せるのも良いが、今時の繊細な若者たちをもう少し上手く導くのも必要かな。
表題作だけは倒叙方式でもあり他の作品とは雰囲気が違うが、西丸の、症状だけでなく心理状態にまで思い至る正に『探偵』の姿が良かった。
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診断の天才で「臨床探偵」と呼ばれる救急医、西丸が担当医が気付かなかった本当の病気を明らかにしていく医療ミステリ短篇集。診断に至るまで医師がどう考えているかが丁寧に描かれていて思考の過程はまさにミステリで面白い。医療の知識がないと「血の行方」「開眼」は真相に至るのは無理だと思うけど「消えた脳病変」や「幻覚パズル」は大丈夫。単純に病気が判明して終わりではなくてそこから医師としての姿勢が問われる結びが光る。表題作はまた別の意味で。医療豆知識がたくさんあるけど爪半月の話がすぐ確認出来て唸ってしまった。