投稿元:
レビューを見る
文科省一般職員・水鏡瑞希の不正研究ミステリー第5弾。
本作は、部署異動、不妊バクテリア、核融合反応、精神疾患等が絡んでくる。毎回思うが、一見関係ないことのように思える事柄を提示しながら、後半にうまいこと伏線を回収していく。
さすがにマンネリ感がするかと思ったが、そんなことは全然なかった。まだまだ新作を楽しめそうだ。
投稿元:
レビューを見る
核融合研究を題材にミステリを作るなんて想像もできないが、文部科学省の末席一般職のヒロイン水鏡瑞希のシリーズは、早くも5作目。一年で5作も書かれすべて文庫オリジナルで新作出版される裏事情はいったい何なのかわからないが、誰も挑んだことのない分野にシリーズ化して多面的に挑んできた松岡ワールドの実験的側面には感嘆するしかない。
思えばこの一年、ドラマでも有名になった人気のシリーズ『探偵の探偵』『万能鑑定士Q』などを春に完結させ、ほぼ同時期に本シリーズに取り組んだ松岡劇場。三シリーズをブレンドさせてのバトンタッチも見事だったが、どこに蓄えられているのかわからない不可思議なエネルギーと活力は健在で、走り続ける松岡圭祐のペンの冴えは留まるところを知らない。
多作なのに、ストーリーに淀みなく、題材に古さがなく、今を描く作家としてのアスリートぶりをいかんなく発揮し続けている。本書は核融合エネルギーという超新ネタ話題に加え、もう一つの人類生命の核融合技術でもある不妊治療というところにも視線が向けられる。
キョーカさんという患者に深夜、都電荒川車庫駅に呼び出された瑞希は、彼女の口から「不妊バクテリア」という言葉を聞き、目の前で白衣の男たちに連れ戻されるショッキングなシーンを目撃する。
部署移動によって新しい職場に面食らっている瑞希の前に別の事件が差し出されたかのように見えて、その不思議な夜が事件全体の核となって瑞希を陰謀の裏口に引き寄せてゆく。
傑作小説『催眠』の導入部、ある人物が語った「ワタシハユウコウテキナウチュウジンデス」というセリフも凄かったが、「不妊バクテリアに侵され私は子どもを産めなくなった、彼らが不妊バクテリアをばら撒いている」というキョーカの言葉もその時の驚きを想起させる。それが松岡圭祐の手口である。
奇術、手品、催眠、心理、博学、情報、といった言葉たちを思い起こさせる松岡圭祐の小説作法、そしてその他作ぶり、スピード。どれをとっても間違いなくエンターテイナーとしての才とパワーにに満ち満ちている。文庫で格安で大量に次々と面白さを提供してくれる稀代の娯楽小説作家の新作は、いくつもの罠と伏線に満ちていながら、水鏡家の家族の物語をサブストーリーとしても読めてしまう、シリーズでなくては書けないキャラクター造形も魅力である。
手軽に楽しくそして一気に読める面白シリーズ加速中、といったところか。
投稿元:
レビューを見る
核融合にもう一つの意味があるのは知らなかった。2つの意味で核融合に関する不正研究を暴く今作。
核分裂とは全く違う原理と言う事で期待していたが、まだ実現性は高くないのだろうか。
それにしてもシンカーってそんなに一般的に通じる言葉なのか?科学技術の世界で仕事しているが、そんな単語通じる気がしないなぁ。ここで書かれているように刑事同士で普通に通じるとは思えない。局所的に通じる分野があるのかもしれないけど、どうなんでしょう。
投稿元:
レビューを見る
水鏡推理第五作。研究公正推進室への異動が決まった初日の瑞希の目の前に現れたのは最先端技術実現度測定システムSOTA。SOTAに聞けば研究の実現度が数字ですぐ表れるため不正に研究費をくすねることもなくなるかと思いきや、サブワードの登録によっておこる罠。冒頭にでていた不妊バクテリアを注射されたと訴えてきたキョウコさんとどうつながっていくのか?シンカーという科学技術情報を盗みSNSでやり取りし、株で儲けるやからが絡んできたり盛沢山。瑞希と母親とのつながりのストーリーもよかった。ラストの変圧器の推理はさっぱりわからなかった。信じることを前提に行動する瑞希に拍手。このシリーズで最高の出来だと思う。でも、わたしが好きなのは4かな。
投稿元:
レビューを見る
ミスリードにまんまと引っかかり楽しく読めました。
相変わらずの水鏡瑞希の行動力には頭が下がります。
研究・技術開発陣は、常に短納期で当たった宝くじをもってこいと言われる状況は、どこでも同じことなんだろうと感じる一方で、自分の職責、守備範囲にとらわれることなく行動する主人公にも共感しつつ読みました。
タイムリーな社会問題と、科学分野のトレンドを交えつつ次から次へと上梓する筆者の筆力には頭が下がります。
投稿元:
レビューを見る
もはやすっかり社会派になってしまった本シリーズ。
もはや研究捏造ミステリーは添え物になってしまった。
まぁいつか実現できるであろう核融合よりも、目の前の少子化問題の方が大事だからね、仕方ないね。
まぁでもミステリーの部分も人間ドラマの部分も面白かったから別にいいんだけどね。
思いは一つ、日本の明るい未来のために。
投稿元:
レビューを見る
3.8
シリーズ第5弾
これまでの特別部署・タスクフォースから、学術政策局の正式なセクション・研究公正推進室への異動が決まった瑞希は、そこで次世代エネルギー・核融合研究の検証に関わる事に。
異動の数日前、不可解なメールの呼び出し先に現れた女・キョウカから、不妊バクテリアの存在を聞かされるが、女は不気味な医療関係者に連れ去られる。後日キョウカと再会するも、帰りがけに拉致され、不妊バクテリアを注射される。
世界中の情報を瞬時に反映し、実現の可否を随時判断スーパーコンピュータ・SOTA。そのあまりにも優秀な性能故の盲点と周到に張り巡らされた罠。
室長・米谷と上司・泉田、
最先端の科学技術情報を盗んで株で一儲けを企むシンカーという集団、何とかして研究費を引き出したい研究者達・・それぞれの思惑が絡み合い複雑に入り組む中、母優子の日記からインスパイアされ、事件の核心へと迫って行く。
前作後半の、余りにリアリティのなさから期待薄で読んだが、やや盛り返した感じ。
投稿元:
レビューを見る
事件の背景が文科省の難しい研究ベースの政治がらみミステリー。主人公もよくわからないのに判断推理力にたけているところから、ある時いきなり解決策が見えて来たりして、読者としては主人公と一緒に???でいたところが急に置いてきぼり感があったりするけれど、最後にはなるほど、というところですかっと解決する。今回は最後の方で、どんでん返しの人間関係になるのかとびっくりするところもあった。もう少し一般人にわかりやすい研究の話だともっと読みやすいかな(^^;
投稿元:
レビューを見る
核融合、こんな世の中だからこそ、知能が高くても、便利な機能がそろっても欺かれるんだね。
信じるってことも、並大抵じゃないのかも。命の危険がなければ騙されてもいいから信じたい。
投稿元:
レビューを見る
これもシリーズで5作目。今回は瑞希がターゲットとして狙われるってことで、大変でしたが、見事に切り抜けます。でも、これまでのQとかαに比べて、どうも瑞希が好きじゃないなあ・・・ 軽率過ぎるんじゃない?
投稿元:
レビューを見る
タスクフォースから異動になった瑞希。でもやっていることはあんまり変わらない気もしないでもないかなあ。少子化問題、中々解決の糸口は見つからない。働くだけで精一杯、生活するだけで精一杯。そんな現実じゃ、結婚も子育ても望んでいても躊躇するのは当然かなとも文章を読んで思う。(男性、独身の自分が言っても説得力はないかもしれませんが)。ともあれ、次も読んでいきたいと思う。感想はこんなところです。
投稿元:
レビューを見る
このところ多忙につき、読感を書いている時間がない。
とりあえず、読みましたということで、読了日と評価のみ記載。
投稿元:
レビューを見る
今回のも、読みごたえがあって面白かった。
化学のことはさっぱりなので、そこは何度も読まないとわかんないけど、瑞希の閃き、行動力、すごく勇気をもらいました。
米谷も、なかなかいい上司だった。
いつも思うけど、終わり方が温かくていいな。
投稿元:
レビューを見る
シリーズ5作目。
文科省不正調査タスクフォース(特別チーム)から「研究公正推進室」へ異動になった水鏡瑞希。
今回は核融合に不妊治療が絡む話。
やや散漫な展開だった。
(図書館)
投稿元:
レビューを見る
ラスト、どうやって火事を止めたか。。との部分は読み返すも消化不良だったけれど、前回と同様不正を暴くことと合わせて、母と娘、結婚、出産、不妊などの問題にも触れられていて、興味深く読むことができた。
最先端技術の実現度を測定するスパコンSОTA。いつか現実世界にも導入されるときがくるのかなぁ。。。