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日本の現代史を復習しようと、
たまたま手に取った一冊だったが、思いの他濃ゆい内容で面白かった。
明治維新から日清戦争、日露戦争、
その後の韓国・台湾・中国への侵略の歴史。
軍部の暴走、第二次世界大戦。
戦後の復興から公害被害の実態まで。
この本の特徴は産業と財閥が歴史にどのような影響を及ぼしてきたのか。
という視点で歴史をとらえなおしており、
いままで読んだり聞いたりした歴史とは一味も二味も違っていること。
明治時代にはほとんどの財閥と政治は血縁で結ばれていたというのは、
全然知らなかった。
政治と産業の強いつながり、そして戦争時には軍人まで一体となって、
日本は突き動かされ、戦争に突入していったという描写は説得力がある。
この本のトーンは終始、右に批判的で、
歴史の話をしていたかと思うと、
ちょくちょくいきなり時代が飛んで安倍政権の批判が差し込まれる。
筆者の言いたいことというのはわかるんだが、
正直偏っているところもあり、好きな人は良いが単に歴史に興味がある人にはマイナス。
とはいえ、韓国・中国の立場に立った徹底的な日本の植民地支配への批判は、
自らもきちんと理解して、知識として持っておかなければいけないとは強く思わされた。
このテーマの話はどうしてこうも語る人によって内容や評価が違うのか。
難しいテーマだけど、韓国、中国のひととこれからも付き合っていかなければいけない、
日本人としては、興味無いでは済まされないことがらですね。
かなり内容偏っているのと、
あとボリュームも結構あるので読む人を選びますが、
力が入った力作であるのは確か。興味がある人はどうぞ。