投稿元:
レビューを見る
【「火花」待望の文庫化!】第一五三回芥川賞を受賞し、二〇一五年の話題をさらった「火花」が文庫化。受賞記念エッセイ「芥川龍之介への手紙」を併録。
投稿元:
レビューを見る
こう並べてしまうと、文学賞受賞作ばっかりになってしまいますね(苦笑)まあ確かに、恩田陸作品とは違って、芥川賞を取っていなければ読むことはなかったと思うから、文芸賞受賞作品にはかなり影響を受けるってことですか。それはさておき、これは良かったです。『芥川賞というより直木賞じゃなくて?』とかは思いましたが、そんなことは些末な問題。自分の仕事を上手に物語に活かしていて、物語全体の流れも良いし、文章自体もなかなか。何より、ところどころに出てくるネタが結構面白くて、さすが本職って感じでもあり。思ってたより面白かったです。
投稿元:
レビューを見る
お笑い芸人が主人公の作品という予備知識はあったので、てっきりコミカルなエンタメ度の高い作品を想像していたのですが、全然違いました。人間のもつ暗さ、弱さ、そして才能とは何かということを問いかける非常に文学的な作品だと思います。
例えば所々で漫才の掛け合いのようなシーンがあるのですがほとんど笑えないですね。むしろ会話の裏を読んで考えさせられる場面が多かったような気がします。最後のとあるシーンを除いては奇を衒ったような展開もなく、スタンダードで古典的な小説のたたずまいを感じました。それは著者が真摯に小説と向き合ったことにも通じているように思えました。
とにかく芸人又吉が書いたものとは思えないほど大衆性およびエンタメ度は低いのですが、純文学の作品としてみるとレベルはかなり高いのではないでしょうか。これであれば芥川賞受賞も納得です。
さて問題は次回作。又吉さんの持つ一番大きな武器であろう芸人世界のことを描いてしまったので、次のネタをどうするのか。2017年2月時点ではまだ次回作は発表されていません。
(2017/2/13追記)
・・・と書いた翌日に2作目発表のニュースが。しかもまさかの恋愛小説とのこと。挑戦するなあ。マイペースで頑張って欲しいです。
投稿元:
レビューを見る
この本だけは買ってはいけない気がしてた。でも文庫本が出てたので買ってもた。
読み終わった後の満足感が全くない。
本に詳しい偉いさんとか、本をいっぱい読んでる人達が面白いと言ったなら、多分面白いんだろう。でも、自分にとって全く面白くなかった。
2人の掛け合いとか読んでて寒いし、若手のダラダラした漫才(特に突っ込み)を見てるようで嫌になった。
勢いがない。
投稿元:
レビューを見る
なんか記述が奥深そうに書いてあって、少しわざとらしく感じる。こんなかけるなんてすごいなとは思うけど、おもしろさは感じられない。
投稿元:
レビューを見る
受賞は少し甘い評価ではなかったのかな。
まだまだ直せるところが残っているような
気がする読後感。
特殊な世界だが、そこで真摯に生きる人が
きちんと描かれていて、芸人の自己崇拝などは
微塵も感じないし、だからと言って過度な
自己嫌悪もない。公正な、第三者の目が生きた
描き方だと感じた。
しかし…どこか物足りない。
抽象的な人生哲学を
詰め込みすぎたからだろうか。
面白味は、徳永と神谷の会話にこそある。
哲学を語る神谷も、それに心酔する徳永も
さして興味をひかない。
描写に凝ろうとして稚拙になったところも
散見されて、筆力はまだまだ鍛えるべき人だ。
世間の評価ほどには、楽しめなかったが
この小説の中の人たちは本当に素敵だった。
投稿元:
レビューを見る
ネタバレあり。
夏目漱石の『こころ』と似てる気がしました。
主人公が先生=師匠を慕うけれど、先生=師匠はそんな慕われるような自分じゃなくて、むしろすがるように自分の生きた証を主人公に託す、みたいな。
堕ちていく神谷の話を、徳永がメモした自伝ノートを元に園子温監督的な映像にすると全く別のエンタメかも。
風俗で働く彼女のヒモで、甘えて気づいた時には愛を失い、借金地獄で唯一の芸人の立場も失い、きっと落ち着きと人格を失うほど痛い目に遭い、おもろい体にさせられて、これでも生きていけますか?と徳永にすがる。
死ぬでしょう、でも生きるのね、激しく火花を散らして命を燃やす。
私はそんな風に読んだ小説でした。
投稿元:
レビューを見る
第153回芥川龍之介賞受賞作。
やっと、やっと読めた。文庫になってから買う!なんて変に意地張らんと、はよ読めばよかった。はよこの作品に出会いたかった。
売れない芸人徳永と、天才肌の先輩芸人神谷。純粋すぎる二人の、不器用すぎる芸人人生を描く。神谷のような独自の美学を持っているのはすごく格好いいけど、圧倒的に生きづらいだろう。天才に憧れて、天才になれなくて、歳を重ねるごとに現実との折り合いをつける徳永も、めっちゃ苦しいやろうなあ。きっとここに吐露されている何倍もの葛藤があるだろう。
文学への並々ならぬリスペクトと、著者の優しさが溢れ出してる作品だった。表現に、生きることにちゃんと向き合ってる人には、絶対彼の優しさが心に染み入ると思う。巻末の芥川龍之介への手紙を読んでさらに、私も表現から逃げない、と決意を新たにした。
投稿元:
レビューを見る
初出は『文學界』2015年2月号。掲載時より現役人気お笑いタレントの手がけた純文学小説として話題を呼び、文芸誌である同誌が増刷されるヒットとなったほか、第28回三島由紀夫賞候補作、第153回芥川龍之介賞受賞作。
お笑い芸人二人。奇想の天才である一方で人間味溢れる神谷、彼を師と慕う後輩徳永。笑いの真髄について議論しながら、それぞれの道を歩んでいる。神谷は徳永に「俺の伝記を書け」と命令した。彼らの人生はどう変転していくのか。人間存在の根本を見つめた真摯な筆致が感動を呼ぶ!「文學界」を史上初の大増刷に導いた話題作。
投稿元:
レビューを見る
ずっと読みたかった。期待感が多すぎたのか、読後それほどの満足感は残念ながら無かった。
芸人の世界も大変なんだな。神谷さんはハチャメチャなのかちゃんといろいろ考えているのかつかみどころがない。つかみどころがないのは主人公の「ぼく」も同じだけど。
投稿元:
レビューを見る
文庫になって読んでみた。これで芥川賞なんだ、が最初の感想。読了後、残るものがない。芸人じゃなければ、取ってないだろう。芸人が大変なのはわかるが、どの業界もあるだろう。
投稿元:
レビューを見る
芸人の世界の厳しさがひしひしと伝わってきました。徳永と神谷の絆の強さは、漫才を通してのお互いの笑いのセンスを認めただけでなく、人として認め合った存在としてのものだと感じました。所々可笑しくて、笑ってしまうところも何か所かありました。芥川賞受賞作品で可笑しくて笑ったのは初めてかもしれません。
投稿元:
レビューを見る
本当に意外だったけど、面白かった。「芸人さんが漫才の片手間に書いたものでしょ」っていう理由で読まない人がいるなら、そんなことはないよと強く断言できる作品でした。芸人である又吉だからこそ書けるんであろう描写があって、きっとそれを今、文字に起こせる人は他にはいないんだと思うから、彼がこの作品を書く意味・書く価値があるんだろうな。そんな感想。
時間や風景は淡々と進んでいくんだけど、感情の起伏は鮮やかで、ラストステージのシーンには結構グッとくるものがあった。物語の締めになる神谷の奇怪な行動も「これ必要かぁ?」と一瞬戸惑うけど、変な余韻を残してくれるからアリなのかもしれない…とすら思えてしまう。
火花。タイトルのチョイスも私は好き。今2作目を執筆中のようで、しかもそれは恋愛小説のようで、自分のフィールドではない世界をどう描くのか、今から期待してしまう。物書きとして、どこまで火花を散らせるのか、はたまた火花を手にできるのか。私は楽しみだなぁと思いました。
投稿元:
レビューを見る
2017/2/19
ピースの又吉が書いた本が文庫化されていたので買って読んでみました。
お笑い芸人の道を行く徳永と、その先輩の神谷との出会いからはじまり、二人が最終的には別々の人生を歩むことになるまでのおよそ10年間という期間にあった出来事や出会った人々から受けた影響など二人の関わりを中心とした周囲の人々も含めた生き様みたいなものが描かれている。その話の中にはその期間で考えた芸人に対する考え方の葛藤や、自分の生き方に対する葛藤が二人のやりとりを通じてすごく丁寧な言葉とともに描写されているように思う。熱海の花火大会での出会いから始まり、最後も熱海の花火大会で締めくくられるが、二人が別々の人生を行くことになるまでの経緯はおそらく又吉の経験したことがベースになっているというか、ノンフィクションの割合もだいぶ高いんじゃないかなあと思わされた。内容がすごく現実的だしいい意味ですごく人間臭いところがこの話の魅力だと思う。
投稿元:
レビューを見る
待望の文庫化。でも期待が大きすぎたのか・・・
あらすじ(背表紙より)
売れない芸人の徳永は、天才肌の先輩芸人・神谷と出会い、師と仰ぐ。神谷の伝記を書くことを乞われ、共に過ごす時間が増えるが、やがて二人は別の道を歩むことになる。笑いとは何か、人間とは何かを描ききったデビュー小説。第153回芥川賞受賞作。芥川賞受賞記念エッセイ「芥川龍之介への手紙」を収録。