投稿元:
レビューを見る
記憶、記録の改竄。
行動、思考、思想を支配・強制、矯正
あらゆることが監視、管理される世界。
何時の日か一九八四的だ、と言う日が、一九八四的と思うこともできない日が来ませんように。
語彙を単純にして意識、考えることを抑制するというのは、
独裁者や体制がなくても生じてしまっているのではないかとチョッと恐怖。
投稿元:
レビューを見る
新訳が出たということで、12年ぶりに購読した。読みやすい。
何度読んでも色あせない。そればかりか、ひとむかし前にくらべて社会がより監視化された点で、この作品からさらに学ぶ点は大きくなるばかりだ。
旧訳を読んだ時、附録「イングソックの諸原理」は、見えづらい組み方をされており、初読者は混乱するだろうと思ったことがある。これは新訳でも改善されなかった。より適切な誘導がほしかった。
投稿元:
レビューを見る
村上春樹の1Q84がなかなか図書館で借りられないがために、手を出した本。関連があるのか気になる。なくてもいいけど。
そんな不純な動機で読み出した本だったが、純粋に楽しめた。
全体主義に反対するだけの内容にも読めるけど、主人公の人目をしのんだ恋愛もどきどきするところ。
後半に物語が一気に進んで、終盤のどんでん返し、衝撃のラストには驚かされた。党の支配体制をみじんも揺るがせないための土台作りが狂気じみていて恐怖を抱かせる。ビックブラザーもゴールドスタインもたんに権力を維持するための道具かもしれないところに冷やりとさせられる。
最後の、未来に書かれたような「付録」は何を意味するのか。
投稿元:
レビューを見る
村上春樹の「1Q84」でやたらと触れられていたので読んでみた。
小学生の頃は訳書もずいぶん読んだけど、
最近は苦手になって敬遠気味だったんだよなぁ。
久々に読んでみてもその傾向は消えず。
おそらく、同じプロットで日本人が書いたものなら楽しめたと思う。
いつものように、途中でいやになることもなかったし、面白かったのはおもしろかった。
訳し方の問題なのか、日本人以外の文体に自分が合わないせいなのかはわからないなぁ。。
投稿元:
レビューを見る
この小説は、オーウェルの最後の作品であり1946年に書かれたという。資本家によって利潤追求の為に搾取されることから労働者を守ろうとする共産主義の実態は、結局は権力と体制維持が目的であることが本書のメッセージであろう。ここで書かれていることの多くは、ジェンキンス氏の「告白」の中で描かれていた、北朝鮮での生活と酷似しているのが驚きである。多くの共産主義国家がその国名に、民主主義という言葉を冠しているものの、実態は民主とは全く正反対の管理社会となっている、またはいたのである。この小説では、共産主義の本質が描かれている。
投稿元:
レビューを見る
半分ぐらいよんだところですが、思ってたほどハードな感じではなくて、読みやすいかんじです。
監視社会がテーマのようですが、まだ、背景的な話がでていないので、これからどうなるか楽しみ。
投稿元:
レビューを見る
小説の内容にも深く考えさせられるものがあるのだが、
作中で使われている「ニューイングリッシュ」の設定がすごく緻密で巻末資料ばっかり読んでしまう
投稿元:
レビューを見る
【再読】【書店ぶらぶら】
初めて読んだのは高校時代。「ビッグブラザー」による監視、という事象ばかりが印象に残っていた。
が、今回、新訳で読み直したからか、私自身が歳を取ったからか、思いの外情念あふれる作品と思い知った。
1984と言えば、SF小説の代表のように言われるが、これは人間の意志の源はどこにあるのかを問うた鋭利な文学と思う。
投稿元:
レビューを見る
ディストピアの典型として描かれる世界観
でも、これは今も世界のどこかの国では実際に起こっていることなのだ
そこでは愛も信頼も無意味で儚い
家族も恋人も信じられない世界があるのだろうか
ジョージ・オーウェルの描写は控えめであるが、その恐怖は伝わってくる
投稿元:
レビューを見る
「こうなるかもしれない」未来を描いた話。
私には少し難しくて読み進めるのに時間がかかりましたが、
中盤くらいから引き込まれて一気に読めました。
この本をもとにして「こうであったかもしれない」過去を描いたのが村上春樹の1Q84なのだとしたら、
確かにあの本はまだ完結してはいませんね。
もし当初はあれで完結のつもりなんだったとしたら、
かなりの駄作といっていいでしょう。
なんにしても、3や4が出るのを楽しみに待ちたいと思います。
投稿元:
レビューを見る
村上春樹の1Q84のタイトルの元ネタ本だな~という認識で
読み始めた本。
人間と社会に対する、徹底した冷徹な視点に背筋が寒くなりました。
拷問と再教育を受ける主人公が、既に物質への支配は完全である
という党幹部のオブライエンに反駁すると、オブライエンは言う
「われわれは精神を支配しているから、物質を支配しているのだ。
現実は頭蓋の内部にある。君も徐々に分かってくるだろう、ウィンストン。
われわれに出来ないことは何一つない。不可視にだってなれるし、
空中遊泳も出来る・・・われわれが自然界の法則を作っているのだ」
徹底的に思考と精神を支配、管理することによる権力の維持。
50年以上前に構想された思考管理の方法は、徹底した監視と拷問、洗脳による再教育ですが、現代ではどうでしょうか。
心理学的な分析に基づくマーケティング、意図的に作出された貧困、
合法的に追いつめられた精神と、1つしかないと思わせられた将来
などなど。方法は違えど、同様のことは様々に行われているようです。
投稿元:
レビューを見る
ディストピアな世界、だけども設定とか言葉遣いにメロメロ。うへーぐいぐい惹きつけられる。この世界を魅力的って言っていいものか? 『一九八四年』に自分で思いついた登場人物やストーリーをぶん投げたら、それはそれはおもしろいものができそう→『未来世紀ブラジル』。
投稿元:
レビューを見る
もちろん村上春樹の「1Q84」の前哨戦として手に取った一冊。
舞台は全体主義が蔓延した、人間が常に監視され、国家を愛すように強要された世界。
一言でいうと、暗い。胸やけしそうに気分が悪くなる。救いがない。
確かに設定は細かく作りこまれていて、それが傑作といわれる所以かもしれない、とは思う。
ただ、私は何らかの救いとか、価値観とか、ひとつの在り方とかを描くのが小説だと思っている。何らかの姿勢が描かれてこそ、読者はそこから何かを学んだり、批判することで反省的に自分を見つめなおすことができるのではと思うのです。
この小説はただ醜い世界がグロテスクに描かれているだけ。そうしたものから目を逸らしたいわけではないけど、著者なりの救いを示してほしかった。
ただ、ピンチョンの解説での指摘は秀逸。前から読みたいと思っていた作家さんだったので、こういった視点を持っていることを知られて良かった。彼の作品を読むのが楽しみです。
投稿元:
レビューを見る
好きなアーティストがインスパイアされてたり、某村上さんがインスパイアされてたので原書はおさえとかなきゃ!と購読。
行き過ぎた共産主義ってこんな感じなのかしら、と思うとともにひどく後味が悪い本。
でも普段読まないジャンルなので、勉強になった。
歴史をその都度生産してるってのが印象的。
投稿元:
レビューを見る
三連休二日目、
ジョージ・オーウェル『1984年』(高橋和久訳)を読む。
ずっと気になっていた一冊だが、ようやく読了。
訳者あとがきによれば、
英国での「読んだふり本」第一位が
オーウェルの『1984年』であるのには苦笑した。
知的な雰囲気を演出するのに都合のいい作品なのだろうか。
ちょうど村上春樹『アンダーグラウンド』と
並行して読んでいたものだから、
前半部分の陰々滅々とした雰囲気が重く
読み進めるのがつらかった。
既に読了していた副会長が
「後半は予測していたのとまったく違った展開になりますぜ」
と言ってくれたのを励みに、後半部に挑んだ。
確かにウィンストンとジュリアが逮捕される場面から
物語は急速に展開する。一気に最後まで読んでしまった。
全体主義はスターリンやナチズムに代表されるように
人類の歴史に負の遺産を残した。
けれども、そうした人間性を否定する思想や組織、社会の仕組みが
すべて過去のものになったとは思えない。
『1984年』のリアリティに暗澹たる思いになることが
何度もあった。
村上春樹『1Q84』は書名を見れば分かるように、
オーウェル作品へのオマージュとも言えるだろう。
そして村上が『アンダーグラウンド』で核心に迫ろうとした
オウム的なるものは、オーウェルの『1984年』に直結している。
さらには、厚労省・村上厚子さんが被疑者となった
「凜(りん)の会」事件の本質も
オウム的なるものに通じているように僕には思える。
『文藝春秋』10月号の村木さんへのインタビュアーが
オウム事件を追究した江川紹子さんであるのは偶然ではあるまい。
権力は時代により国により姿形は変えるものの、
勤勉かつ思考停止する人間を創り出そうとする。
その原動力は恐怖と無知である。
(文中一部敬称略)