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上下巻合わせると1000ページ近い大作です。
明治17年から昭和8年ころの米国、日本、欧羅巴を舞台に時代の波に翻弄される二人の互いに対する想いが胸に迫ります。特にやっと二人がお互いの思いについて素直になったときは、ほっとしました。出会ってから40年後くらいでしたが・・
物語は、ミサオの養子で、姪の子でもある綾子が、ミサオが持っていたブローチを手に入れ、そのいわれを知りたいと、綾子を捜し出した木村万里子に対して、語り始めるという形で始まりますが、その内容はミサオが綾子に語ったと思われる語り口である関西弁で綴られています。
桜賀光次郎のモデルは松方コレクションで有名な実業家松方幸次郎氏だそうです。
今度、彼について書かれた本を読んでみようかと思います。
ミサオのモデルは、オーストリアの貴族に嫁いだというのは、クーデンホフ・ミツコ氏のようですが、決まったモデルはいないようです。
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7年ぶりに読みました。
やっぱり、面白くてページをめくる手がとまりません。前は前半の方が面白いかとおもったけど、今回は7年という月日を経たのもあって、下巻で、二人が年を重ねてからの恋愛がうらやましいとさえ思ってしまった。
光次郎~、ナイスです。
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上巻に比べると、展開が少し遅い印象です。それでも波乱に満ちた生涯でした。
終わりはあまりスッキリとはしませんが、ある人の人生を描いたものにスッキリも何もないでしょうか。
登場人物のモデルとなった方々についても興味がわきました。
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その時代を生きたわけではもちろんないのだけれども、ノスタルジーを感じる作品。
もどかしいほどの主人公二人のやり取りも、時代背景をうまく取り込んでいるから、不自然ではない。設定がうまいのは、半ばノンフィクションだから?
華麗なる一族と同じ「匂い」がする。
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「下」はいささかスピードが落ちる。
幾分現実感が薄れる。
しかし、自分には関係のない「おはなし」として、充分楽しめる。
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日本とヨーロッパ、激動する時代の流れに翻弄されながらも強く生き抜くミサオと光次郎。
下巻は、何度も別れ、何度も再会する二人の苦しくてせつない恋が描かれている。なんと数十年越し…。生涯の大半をその人を想いながら、遠く離れて暮らし、背負っているものの大きさに、なにもかも捨てて結ばれることのかなわない恋人たち。流星の下での二人のダンスのシーンは、とても美しかった。楽しいから一緒にいたい、ではなくて、相手が苦しい時に寄り添っていたい、二人には、「好き」という言葉より「相手を想う」という言葉が似合っている。
恋だけでなく、その時代の背景を上手に絡めて描かれていておもしろかった。大河ドラマの名にふさわしい作品。児玉清さんのお墨付き!
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壮大な大河恋愛小説だ。文庫本上下巻の長編で最初は少々躊躇をしていたが、読み始めると、その面白さに長さも時間も忘れてしまうほどだ。明治時代に生まれた少女が思わぬ運命のいたずらで、オーストリーの子爵夫人になるというだけでも1つの小説ができるであろうが、それでは単なる少女好みの恋愛小説になってしまう。そこに実在の人物「松方幸次郎」を配し、又実在の政治家等も登場させ、まるでノンフィクションのような錯覚さえしてしまうリアリティのある大河小説にしている。
女性の立場から当時の日本の対外政策や松方をモデルとしている桜賀光次郎の人生を描いている。このことで単に桜賀を主人公にした固いイメージの伝記ではなく、エンターテイメントとしての面白さが倍増している。国立西洋美術館に収蔵されている「松方コレクション」の由来も知ることができ、また当時の美術、絵画の制作や取引等のことも知ることができ、とても興味深く読むことができた。
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面白かった~。夢中で読みました。ある女性の一代史。大正ロマン、時代を背負った船会社社長との運命の出会いと一生をかけた恋!面白すぎて、紹介分が実にありきたりになりましが、お勧めです~
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下巻。
一転してなんというか……うん、恋愛ってすごいですね。
そして、今もなお、お勝さんが一番強そうっていう不思議さ。お勝さん魅力的だわー。というわけで私は上巻の方が好きなのでした。
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今のように渡航が一般市民には到底考えられなかった時代。これは、まさに大海を挟んだ大恋愛小説。そのスケール感も壮大。
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激動の人生を綴った前編から、後編はメロドラマっぽい感じになりました。
「縁」というよりは、ご都合主義的な感じを受ける場面が多々あった。
そもそも、前編で光次郎さんが男気を発揮していたら、このすれ違い状態にならなかったんじゃないかと思うとすっきりしない。
光次郎さんは、それができる立場だった筈なので、余計にそう思う。
お互いに精神的には長年パートナーを裏切っていたわけで、個人的には奥様の矩子さんが気の毒だなと思ってしまうので、良かったねーと素直に思えない。
以前読んだ『クォーター・ムーン』もすっきりしない後味で、この作者さんとは感性が合わないのかなあ……。
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女性は、内に秘められた思いや決意をかかえて、長年生きていけるものなんだと強く感じられる作品。
あとがき児玉清さんなのも感慨深い。
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「天涯を渡るふなびと舵を持ち 行方を定む恋の道へと」の歌が標題になって居る様に、全編、史実を大幅にディフォルメしての大河小説。上巻は盛り上がって読むパッションも高まったが、下巻に入ると、所詮不倫。
有能な国際的ビジネスマンであり、地位も家庭も確固とした光次郎が突き進む道に、みさおはどんな路傍の花に写っていたのだろうなんて考えた。
でも表紙の彼女・・凛と背を伸ばし、自信に満ちている。
伯爵夫人として家庭の地位も安定し(社会的にはどうだったのだろうかと思うが・・所詮、極東から来た女以上とは見られなかったのかなと・・もの珍しくはあっても)日本へ帰ることなく、アメリカで生を終えたのは、彼女しかその思いを真実には語れないと思う。
しかし、結果オーライ・・
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時代が2人の運命を狂わせたけれども、その時を生きた人の中では進んだ2人だったが、男女の中だけはそうはいかなかった。
関西人としては、とても読みやすいお話。
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夏休みに長い本を読んだ学生気分が懐かしい!ってなわけで『エデンの東』に続いて読みました。
『天涯の船』玉岡かおる
エデンよりは短いんですけど上下巻1000ページもあるし、明治大正昭和にわたり時代背景も長く、スケール大きく、波乱万丈盛りだくさんの物語でした。
はじめにきらびやかな宝飾品がミステリーに登場、お姫様の替え玉、米国留学(明治の初め鹿鳴館の頃ですぞ)、替え玉のミサオの苦労、オーストリアの子爵に求婚される、遠距離恋愛、禁断の恋と続いて、少女コミックも真っ青です。
玉岡かおるが3年もかけてお書きになった力作だし、明治からから昭和の歴史的人物(たとえば岡倉天心、新渡戸稲造、...吉田茂まで!)もばっちりはめ込んであっておもしろいのです。
わくわくドキドキ、ジェットコースターものがたりの興奮なんですが、うーん、やっぱりわたしには何か足りないんですよね。ああおもしろかったでいいんでしょうけどね。