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芦沢央さん初読。短編集で読みやすかったし面白かった。ヒーリングミステリというジャンルとして自分の中で分類したい。
ミステリ的な連作の形を取りながら、実は勘違いや言葉のかけ違いで容易に崩れていきそうになる繋がりを言葉を尽くして取り戻す物語だったのかな。全てが「友情って素晴らしい」とかではなく、中にはそのまま消えていく友情もあるんだけど、それによって自分の考え方や世界が広がって、その友情が自分を積み上げていくことに繋がる、みたいな連作なのかな?読む前より読んだ後の方がちょっといい気分になる、という点で、とてもいい本だったと思う。ごちそうさまでした!
解説
大矢博子さんの解説には絶大な信頼を寄せている。解説を読んでようやく題名の「今だけの」って言葉の意味を理解できた。なるほど、そういう意味なのか…。
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いわゆる日常系ミステリ。
なるほど女の友情は刻一刻と形を変え、上手くは説明できない難解さを抱えたミステリかもしれない。
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読み終わって気づいたのだが、女性同士の友情の話だったのか。
女性同士の友情は成立するのか、もしくは女性同士の友情とは何なんだろう。
嫉妬や憧憬、同一化など一言では解決できないさまざまな感情を抱きつつ
平静はおだやかな「いい関係」「友情」を演じ続けなければやっていけない。
各章のスタートがもめているので少し読み進めるのが重く
まさしく暗澹たる状況ながら
そのしがらみ、苦しみが読み進めていくと少しだけ軽くなり、
気持ちがすーっと晴れていく。
ああ、もめていることって「何で」もめているかわからなかっただけなのかと
それがわかるだけも人にやさしくできるんだなと。
そんなミステリーも悪くない。
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環境が変わっても続いていく関係だってある。
ただ、あのときだけだったなあって思うことだってすくなくない。
ラストの『正しくない言葉』がよかった。わたしも澄江さんみたいなおばあちゃんになりたい。
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その友情、今だけのもの?
「女の友情」に隠された5つの物語。
イヤミスとみせかけて、爽やかな結末という、期待外れの話だった。
(図書館)
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なんか思ったよりいい話だった!
離れる事を憂うよりも、つかの間交わる事を喜べるのが本当の友情なのかも。だとすると女の友情も悪くないなと思う。
愛情はそれが永遠だと思い込まなきゃ持続しないよなぁと思うと、なるほど男と女の関係は儚い。
男同士のことは男じゃないからわかりません。
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いやぁ面白い。
私が女だからなのか、それとも人間関係に一度は悩んだことがある人であれば誰でもそうなのか。
一度は相手の悪意や裏切りやいやらしさを疑ってしまうところから、どうにか誤解だと気付いたり自己の中で消化したりする過程を巧みな心理描写で表現していく。
最後には自分の中の落とし所がちゃんと用意されていて、それが「女友達」との関係の修復や想像や清算に繋がっている。
見返してみると悪い人は1人もいなくて、それぞれがそれぞれの人生を、相手との関係性を真面目に思い遣っているからこその捩れを思う存分堪能できる短編集。
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2017.10.10.読み始めたら短編集だった。
私は短編は読まない事にしている
→2020.04読了。
再度購入してしまった。芦沢央作品ならおもしろいかもしれないとの期待だ!
連作というほどではないがそれぞれの作品に共通点がある。ページを戻りながら読み進めるとなるほどな。。。と。
よくできているがおもしろいものもあれば、つまらない作品もあり!
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「女の友情」をテーマにした日常の謎系ミステリー短編集。イヤミスの流れが鮮やかに反転する展開がすばらしい。
ただでもややこしくてめんどくさいのが女性同士の人間関係。エゴと見栄が見え隠れして、かつ変な気遣いも同居する。そんな不穏な空気が一変するオチに、思わず唸る。そして各篇の登場人物が繋がるという巧さ。ミステリーの面白さを堪能できる一冊。
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初読みの作家さん。
女性の友情をテーマにした連作短編集。
大学のサークル友達の結婚式。
招待状が自分にだけこなかったのは何故。
届かない、帰らない、答えない、願わない、正しくない
ないないの5編。
この「ないない」がくるりと様子を変える。
逆どんでん返しな感じで読後感がよかった。
「正しくない言葉」が好きだな。
あとがきもよかった。
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「女の友情」をテーマにした5つの短編。
女の友情と聞いて連想するドロドロした嫌ミスを想像していたら、さにあらず。なかなかよくできた話ばかりだった。
「届かない手紙」では、主人公が親友だと思っていた友人から結婚式に招待されなかった本当の理由がわかった時、思わず涙が出たし、「願わない少女」では最後の頁でどんでん返しにあった。最後に掲載の「正しくない言葉」は、この短編集を締めくくるにふさわしい作品で、主人公が悟った娘に伝えたい言葉には思わず涙した。
それぞれの作品が互いになんらかの形で繋がり合った本当によくできた連作短編で、作品の配置までが計算しつくされ、サークルを形成するような秀逸な短編集だった。
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短編集。「答えない子ども」と「正しくない言葉」が印象に残った。「答えない子ども」の主人公直香は、私の苦手なタイプの女の人だ(笑)。「正しくない言葉」の最後の方では、ちょっとうるうる来てしまった。おすすめ。
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芦沢央の連作短編集
「女の友情」をキーにバラバラだと思ってた短編が連作でまとまります。
既読作より読後感が良く、日常ミステリな仕上がり・・・私的には非常に好感が持てる作品でした。
中でも「答えない子ども」が一番お気にです(^_^;)
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女の友情。あるある。けど、女の友情って本当、捨てたもんじゃないよね。嫌な思いしたことも、後で糧になったりもするし。短編が少しずつ繋がっている、世界観が同じなのも、読んでいて面白かった。
後日、「あの信仰宗教にハマった娘と一緒に、母親も入信したのってどの本だっけ?」てなった。「正しくない言葉」だった。
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読書の楽しみ方は人それぞれだ。外国作品の翻訳物が好きな方もいれば、サスペンス物が好きな方もいる。また、新しい知識を得るために新書を読むのが好きな人もいれば、コミックエッセイで楽しみたいという人もいる。「読書」という言葉ひとつをとっても、その形態や楽しみ方は千差万別だ。
その中でもやはり「好きな小説を読んで楽しむ」という人がかなり多いだろう。私もその一人だ。小説とは言ってもジャンルが幅広くて多岐にわたっているので、例えば時代小説が好きという人もいれば推理小説が好きという人もいて、さらにはジャンルを問わず小説が好きだという人もいるだろう。
私は「ジャンルを問わず小説が好き」な部類だ。残酷なものや政治・宗教に関するもの以外は、時代小説からラブコメまで面白そうだなと感じたものは手あたり次第に読んでいる。そのため、「面白いと思ったけれども読んでみたらそうでもなかった」という物語もあれば、「何気なく買ったけど読んでみたらとても面白かった」という物語もある。
とにかく活字好きなので、手元に本がないと落ち着かない。だから書店に行って目についた綺麗なジャケットを見て本を選ぶこともある。いわゆるジャケ買いというやつだが、案外こういう第一印象で買った物語が思いがけず面白いということもある。
芦沢央さんの書かれた 「今だけのあの子 (創元推理文庫)」も表紙の絵が綺麗な一冊だが、ジャケ買いしたわけではない。芦沢央さんの計算しつくされたような手法が好きで、事件物ではない作品はどのようなストーリー展開なのかに興味があって読んでみたかったのだ。
読んでみたらなるほど良く考えられたストーリー展開で、一気読みしてしまったぐらいテンポが良くて引き込まれる。この一冊は、「女の友情」をテーマとした5つの短編から構成されていてそれぞれの短編がつながっている連作短編という形態なのだが、読み進めていくうちに「あれっ?」と思うような何気ない仕掛けがなされている。そういった一つ一つの仕掛けがすごい。
一番の親友だと思っていた大学時代の友達。彼女が結婚をすることになったのに、仲間の中で自分だけ誘われない。どうしてなのか。様々な憶測を胸にしながら、呼ばれていない結婚式に出かけてみるとそこには思いがけない出会いが待っていた。(「届かない招待状」)。お絵かきの好きな幼稚園児の娘。有名な絵画教室に通わせているが、ひょんなことから同じ教室に通うやんちゃな男の子の家に行くことになってしまう。すぐに帰るつもりが少し長引いてしまったが、その間に娘の描いた絵がなくなるというトラブルに見舞われてしまう。しかし、思いがけない結末が待っていた。(「答えない子ども」)
収録作品は「届かない招待状」「帰らない理由」「答えない子ども」「願わない少女」「正しくない言葉」の5作品。どの短編もおもがけない結末を迎えるものの、読み終わった時に心の中がふわっと暖かくなるものばかりだった。オススメの一冊だ。