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岩石や鉱物には興味があるけれど、石の名前がどうもややこしくて覚える気になれない……という人は多いようです。
たしかに一般向けの石の図鑑や入門書も、美しい石の紹介にとどまったものや、歴史的・文化的な側面から石を語るものが多く、正面から「石」を論じるものはあまりありません。
それも、石の名前があまりにも複雑で、一般の人にはハードルが高くなるからでしょう。
しかし、地球は「水の惑星」であると同時に、太陽系で最も多い数千種類もの石が存在する「石の惑星」でもあります。それだけに石の世界は科学的好奇心を刺激される深さ、面白さに満ちています。
せっかく地球に住んでいながら、その恩恵を享受しないのは、もったいないことです。
そこで、まったくの石の素人の読者でも、たった三つの石の名前を覚えるだけで石の世界が楽しめるように企画したのが本書です。
「しんかい6500」に51回乗船という記録をもつ、地球を知り尽くした著者が、石の世界のしくみやなりたち、地球の進化と石の濃密なかかわりなどを、三つの石の物語にのせてみごとに描ききりました。
読めば必ず、複雑そうな石の世界が驚くほどすっきりと頭に入り、地球が太陽系で特別な惑星に進化するまでの道筋がわかり、そして石がいとおしくなるはずです。
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マントルを構成する橄欖岩、海洋プレートを構成する玄武岩、大陸プレートを構成する花崗岩の3つに焦点を当て、地球の成り立ちやそれぞれの岩石の関係などについて分かりやすく解説される。この分かりやすさが本書のポイントで、専門性を多少犠牲にしても、一般向けに理解しやすいように書かれている。それでいて、造岩鉱物の組成とかシリカの配列・原子ベースで見たシリカどうしの結合形態など、かなり突っ込んだ物理・化学的な話にも読者を誘導していて、全くの一般向けというよりは、「ブルーバックスの読者」向けの内容になっていて、知的な刺激も多い。
著者の本はブルーバックスで色々と読んでいるが、本書も中々面白かった。
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かなり簡単に書いてあるけどやっぱり石の名前はややこしい。途中で挫折しそうになったけど後半の地球の成り立ちに石がどう関与しているかの話はスケールの大きな話がそれまでの石の話と繋がる感じが爽快だった
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20171224途中で読むの中止。
地球は大きく
・橄欖岩(82%):マントルをつくってる
・玄武岩(1.6%):海洋の地殻
・花崗岩(0.68):大陸の地殻
の3種類でできているそう。
とはいえ岩は複数の物質からできているので橄欖岩→玄武岩といった移行もあるそう。
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この本を読んでも、ブラタモリのタモさんの話が理解できるようにはならない。タモさん得意の砂岩、泥岩は堆積岩の話で、この本の世代で行けば第二世代の新しい石だ。この本は、地球ができてすぐにできた3つの石(第一世代)のお話がメイン。
判りやすくて面白い。
地球の年齢46億歳はどうやって決めたのか?
ちょっと知人に喋りたくなる小ネタ(スケールはでかい)も挟みつつ、オヤジギャグ的なもの(こちらはちっとも笑えない)もいくつかあって、読者を飽きさせない工夫もちらりほらり。
高校生理系クラスなら、難なく理解できる難易度。
電子殻の話がなければ、文系クラスでも理解できるように思うのですが……意外に説明し辛いよね……
ブルーバックスは写真が白黒なので、非常に残念なことになってしまっている。鉱物図鑑とはいかないまでも、鉱物の写真はキラキラのカラー写真じゃないと魅力半減だと思うんですが、講談社さん、何とかなりませんか?
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三つの石とは橄欖(かんらん)岩、玄武岩、花崗岩。橄欖岩はマントルを作り、玄武岩は海底を作り、花崗岩は陸を作ります。
「三つの石によって、地球にはほかの惑星にはない特徴ができあがりました。まず層構造が生まれ、プレートがつくられて、プレートテクトニクスが起きて、水が大循環して地球の内部へと運ばれるようになりました。水は生命をつくる一方で、地下深くに運ばれることによって島弧をつくり、島弧が衝突・集積することで大陸が誕生しました。私たち人間を含めた、多くの地球生命が住める場所ができたのです。三つの石が地球を特別な星へと進化させたのです」。
46億年前に生まれた地球は、太陽系で最もケイ素が集まったためSiO4四面体が独立している橄欖石を中心に多彩な鉱物が出現しました。SiO4四面体に鉄、マグネシウム、カルシウムなどが結合し、その結晶構造の違いによって輝石、角閃石、雲母、石英、長石が作らました。
圧巻は「3つに石から見た地球の進化」の章。著者は46億年前に地球を作った隕石が橄欖岩そのものだと推理します。空と海も隕石により作られ、大陸を作る島弧も石に含まれた水が大きな役割を果たしたと、わくわくするような理論が展開します。
著者の藤岡換太郎さんは地球科学を専門とする理学博士。「しんかい6500」に51回乗船されたとあります。深海で生物の起源も見られたのかもしれません。読んでいて楽しい★★★★★のブルーバックスです。
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タモリさんのせいで岩石も勉強しようと思ったものの、書店に行っても岩石の写真集ばかりで何処でどう出来るものなのかさっぱり、と思ってました。
この本は、あえてマントルを作る橄欖岩、海洋地殻を作る玄武岩、大陸地殻を作る花崗岩、と、大雑把に説明することで頭に入りやすくなっています。石についての最初の勉強に、もってこいな本ですね。
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三つの石とは橄欖岩・玄武岩・花崗岩のこと。それぞれマントル・海洋地殻・大陸地殻を形作る主役である。
岩石や鉱物の大半の主成分は酸化したケイ素の化合物(珪酸塩)なのだけど、何がどのようになってこれほど多様な石が作られているのか、いままで系統立てて学んだことがなかった。しかしこの本では、マントルから地殻が、そしてそれぞれの岩石などが、どのように生み出されてくるのかを順序立てて説明してくれているので、暗記ではない知識が得られるので覚えやすい。
また、要所に若干の化学式が使われていることにより、珪酸塩鉱物のそれぞれの特徴が掴みやすくなっている。最低限度の科学情報というのは言葉を積み重ねるよりも理解しやすくしてくれることを改めて教えてくれた。
鉱物図鑑があればより楽しめる本だと思う。とてもオススメ。
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地球を構成する岩石は、大きくは3つしかない…。
さてそれは何なのか?から始まり、その兄弟たちの話も含めて名称がとにかく覚えにくい岩石のことを、カレーの例を使いながらかなりわかりやすく説明してくれ、その岩石たちからどう地球が出来上がってきたのかの推論を立てる内容。
著者の本はフォッサマグナを読んたことがあるが、毎度岩石学者の視点から大分下りてきた目線で、本作も説明がわかりやすく、クスっとさせられるユーモアもあり、読んでいて楽しい。
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いろいろな石があるが、全ての石の生い立ちを3つの石から紐解いたもの。よくわかる。
序章 そもそも、石とは何だろうか
石はケイ酸塩鉱物でできている。
第1章 マントルを作る緑の石
橄欖(かんらん)石はマントルを形成する石で地上で見ることはほぼない(ごくたまにあることもある)緑色をしており高温、高圧下で固体である。
第2章 海洋をつくる黒い石
二人目の主役、玄武岩。橄欖岩の直属の子孫。主に海底から噴出するマグマが急速に冷却されてできた石。
第3章 大陸をつくる白い石
花崗岩。玄武岩とは違いゆっくり冷却された石、プレートの沈み込みで形成された。
第4章 石のサイエンス
元素レベルから石のことを説明してある
第5章 三つの石と家族たち
橄欖石、玄武岩、花崗岩の違いを説明
第6章 三つの石からみた地球の進化
地球の進化に見え隠れしている三つの石の総まとめ
終章 他人の石たち
堆積岩など火成岩でない石の紹介
大陸と海底では石の種類が違う(花崗岩と玄武岩)。富士山は玄武岩でできている、が一番のびっくりでした。
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ブラタモリを見ていると、石の話が時々出てくる。
それで好奇心を掻き立てられ、何か入門書はないかと探して出会ったのが本書。
この本を読めば、細かな石の種類を見分けたりできる、とはならない。
しかし、ビッグバンから原始地球ができ、マグマだまりから橄欖岩、玄武岩、花崗岩が析出していった仕組みを、わかりやすく説明してあり、地球科学初学者にもつかみやすい。
筆者、藤岡さんは、本書が正確さをやや犠牲にしていると繰り返し断っているが、初学者が他の、関連書を読みたいと思うのなら、それは大成功ではないだろうか?
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分かりやすさの面だと非常によい。
正確さの面だとイマイチなので、詳しく知りたい層には物足りないかも。
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◯個別の石の特徴や、採掘できるところでも教えてくれるのかと思って読むと、やはり地学関係、宇宙から生物、化学まで幅広い展開を見せる。
◯3つの石を軸に分かりやすく論が展開されているが、個別の文章的な意味合いではスッと頭に入らないことがやや多かった(知識が足りないだけかもしれないが)
◯とはいえ、この分野に興味が出てきたときに読むには十分知的好奇心を満たしてくれると思う。面白い。
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皆さんは石について興味を持ったことはありますか?最近ではカラーの写真できれいな石を紹介している本は数多く、そこから興味を持ち始めた人も少なくないと思います。しかし石の惑星である地球には一説では3000種類もの石があるとされ、難しい漢字もよく使われているため、その時点で諦めてしまう人も多いのではないでしょうか。
こちらの「三つの石で地球が分かる」という本は、そのタイトルの通り地球上に存在する重要な三種類の石について詳しく説明された本であり、石の説明だけでなくその三つの石を用いて、地球の誕生から空と海の誕生、さらには生物の誕生など地球にとっての重要なイベントの解説がされています。「マグマオーシャン」や「プレートテクトニクス」など聞いたことはあるけれども詳しく知らないようなことについても三つの石を関連付けて詳しく説明されています。では、三つの石とは何という石なのでしょうか?こちらの本ではタイトルにも、表紙にも、帯にも、あえて三つの石が何という石なのか載せられていないのでここでもあえて言いませんが、三つのうち二つは中学校で習う六つの石の中の二つで、皆さんも知っていると思います。残りの一つも地球の体積の80%以上を占める有名な石なので聞いたことがある人は多いと思います。
こちらの本は、石に興味を持ち始めた石初心者の方にはぜひ初めに読んでいただきたい一冊です。 (地球環境学コース 修士1年)
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登山の途中に見える様々な岩石が気になって、初心者向けの岩石書籍を探していて見つけた本。細かい説明を省き、平易な文体で分かりやすく書かれており、非常に分かりやすい。
「本書は石に興味をもった人が初めて読む本、もしくはこれを読むことで石に興味をもっていただく本というつもりで書いていますので、厳密さよりも大づかみなイメージを大事にしたいのです」
「石の名前は、いくつも覚える必要はありません。基本的には、たった三つ、覚えるだけでいいのです」
と全編を通してハードルを下げる努力をしている。特に種々の火成岩の形成過程をカレー鍋に例えているのが秀逸。
また「岩石そのものの説明」よりも「地球形成のダイナミズム」を軸にしているので、ロマンあふれる記述が多く、最後までワクワクしながら読める。
「三つの石によって、地球にはほかの惑星にはない特徴ができあがりました。まず層構造が生まれ、プレートがつくられ、プレートテクトニクスが起きて、水が大循環して地球の内部へと運ばれるようになりました。水は声明をつくる一方で、地下深くに運ばれることによって島弧をつくり、島弧が衝突・集積することで大陸が誕生しました。私たち人間を含めた、多くの地球生命が住める場所ができたのです。」
最後に、登山がらみでいうと、富士山の謎の記述がとても面白い。
「世界でも類がないほどの美しい形をした山、富士山」
「富士山だけがなぜ、玄武岩でできているのかは、いまだによくわかっていない」
「3枚のプレートが接する『三重会合点』ともいわれる地点があるのですが、なんと、その真上にできた山が富士山」
などしばらく追ってみたくなるテーマもあって、さらに岩石への興味が続きそうだ。