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さすがに、日本の空の米軍管理空域や日米合同委員会の存在は最早公然だろう。しかし、砂川判決の田中耕太郎最高裁長官が実はアメリカのパシリで、マッカーサー駐日大使から裁判の日程や判決の方向性についてなんども密談していたという事実は知らなかった。それなりに尊敬していた学者だけにショックも大きい。結局、我が国は、米軍と日本政府の密約と国連憲章を利用した法的ロジックによって、朝鮮戦争に端を発した米軍の反共軍事体制に組み込まれ、現在に至るレジームが決められたということか。すべて検証可能な事実の積み上げで発覚した事実だからこそ、「知ってはいけない」のではなく、「知らなければいけない」こと。
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反日、反米では全くないが、沖縄に住んでいると書かれている内容はなるほどと思うことは色々とあった。しかし、沖縄で行われている最近の米軍基地反対運動は、書かれている内容とは違う次元で行われていると思う。あと日本が発展していくためには、時間が掛かるかもしれないが、自分の事は自分で守ることが、必要ではないかと思う。。
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初めて氏の著作を読んだ。矢部氏は7年前に、あまりにも簡単に鳩山内閣が崩壊したことと福島原発事故の被害者の人権が無視される実態に衝撃を受けて、日本の支配構造を調べてたどり着いた結論を述べている。
ここに書いていることの8割から9割は、私を含めて長いこと平和運動をしている者にとっては常識の部類に入るだろうと思う。では面白く無かったかといえば、大変面白かったと言わなければならない。平和運動家たちがこの数十年間で書いてきた本が、果たして半年間で8万部も売れただろうか。私たちの常識は、国民の常識にはなっていないのである。だから、安保法(戦争法)というとんでもない法律を成立させてしまった。矢部氏の論理の展開の方法は、少なくとも長い戦後のジレンマを破るヒントがあるかもしれない。私はそのようにして読んだ。
例えば私たちは今迄「全ての元凶は安保条約にある!」と声を枯らして叫んできた。国民の反応はほとんど無かった。政府と財界が「安保を破棄するなんてあり得ない」ということを何十年もかけて国民を「教育」してきたからである。この本も、大枠では安保元凶論を書いているのに過ぎないのであるが、私たちの轍は踏まない。矢部氏は今まで書いてきた本の中で、何処が読者の関心を引いたのか、それを強調しながら論理を展開する。
つまり、
○日本の首都圏の空は米軍に支配されている(横田空域)。しかも、支配されているのは、首都圏だけではなく、日本の全ての空であり、必要とされれば日本の全土である(全土基地方方式)。
○その仕組みは、月2回の「日米合同委員会」にある。
と、いうものだ。
「そんなバカな!」とみなさんは言うかもしれない。と受けて、何度も何度も条文や公文書を元に論理を展開する。強調すべきところは必ず太文字にする。強調すべきところは、本文の中で2回は繰り返す。ホントに強調すべきことは、5回ぐらい繰り返したかもしれない。更には章ごとの表紙裏に、内容をマンガで要約してみせる。
こういう(しつこいぐらいの)読者に寄り添う姿勢は、少なくとも私には無かった。
今回の本のいろんなレビューを読んでいると、「砂川裁判の最高裁判決」によって、安保条約(と高度に政治的問題)を日本国憲法よりも上位に置く日本の仕組みができていることへの反応が多かった。
北方領土返還が安保条約の為にムリという仕組みにも反応が多かった。参考にしたい。「なぜか、うすうす感づいていた」という感想も散見する。それこそが、この60年間の運動で宣伝してきた「成果」なのかもしれない。その醒めた意識を「怒り」に変えるのにはどうすればいいのか、まだまだ課題は多い。また、密約の内容では新しく知った部分が多かった。勉強になった。
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目次を見てると信用のおけない陰謀論のような目次が並ぶが、それなりに説得力はある。
今の日本の状態は楽で居心地もいいのだろう。故に戦後70年にわたり真の独立も出来ないのだろう。
つくづく面白い国だ。
第一、国際的に認識されている正しい終戦の日を殆どの国民が知らないのだから、ほんとおめでたい。
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米軍には
・日本の国土を自由に軍事利用できる権利がある
・戦時には自衛隊を自由に指揮できる権利がある
という密約があることを解説した本。
その密約の延長線上に安倍首相が推進している「自衛隊の存在を憲法に明記する」という考えがあると知って恐ろしくなった。
さらに、この権利を利用することで自衛隊を世界中どの戦地へも連れ出してしまうことができる、という考えも現実味がある。
また、この密約がなければ日本は自分のことは自分で守らなければならない。そのためには徴兵制が必要か、など奥深い問題も考えさせられた。
ただ、本としてはその密約の根拠を延々と論じているので飽きてしまう。
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今週突然、オスプレイが当初予定を前倒しして配備される旨の発表がされました。
ちょうどこの本を読んだ直後だったのでまさに!と今驚愕の思いでニュースをみています。
本書は、日本と在日米軍の関係性について解説した本です。
目次からして衝撃的。
・日本の空は、すべて米軍に支配されている
・日本の国土は、すべて米軍の治外法権下にある
・国家は密約と裏マニュアルで運営する
・自衛隊は米軍の指揮のもとで戦う
等々・・・
戦後処理の不手際が現在まで多大な影響を及ぼしており、だから日本は米軍の犯罪にも寛大だし、オスプレイの件も口出し出来ないし、基地もなくならないんだとやっとわかりました。
だからって自国を守れない日本の現実もあるし、本当に難しい問題なんですね。
北方領土問題も、実はこれらの密約のせいで100%絶対に解決できないそうです。
アメリカの思惑もロシアの思惑もわかるだけに、確かに解決できるはずはないと納得してしまったよ・・・
とりあえず、国民が一人でも多くこの事実を知り関心を持つことが大事だと思いました。
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敗戦から現在まで、日本は米国、米軍に隷属してきた。
それが、どういう仕組であったのか、ということが書かれていた。
その調査、分析なんかについては、なるほどなぁと感じるところが多く、そこだけなら星4つ半の内容。
しかし、結論として「世界が退けるべき無責任な軍国主義はこのあまりに従属的な二国間関係のなかにこそ存在している」と断じているところには、違和感しか感じない。
これからは、中国が興隆する時代であろうかと想像しているが、彼らに軍事力などによる、拡張への野心がないとは到底思えず、日本の国益を守るために、現実的になにができるか、を考える際に、「この歪んだ従属関係から脱却すること」が「非常にプラス」になる、とは全く思えなかった。結論が残念。それだけ。
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「なぜ日本国憲法は今の文面なの?」「どうして日米安保がこんな不平等なの?」
改憲議論が盛んにもならなずに首相だけがいきり立つ今、どういう経緯で日本国憲法が出来、なぜ日米地位協定は存在し、それが憲法より上位と位置付けられているのかなど、本当はこういう知識を前提に議論を活発化させて行くべきだと思わせる内容がてんこ盛り。
日米合同委員会に日米行政協定、大西洋憲章。
どうして日本には主権が無いのか。(アメリカの属国のままだと言えるなのか。)
1つでも知らないなと思った時に読む良書。
すごくわかりやすく、しかし丁寧に書かれていると思った。
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ここに書かれている内容の信憑性がどれ程のものなのかは分からないが、もし真実だとするならば、戦後の日米関係や在日米軍の存在について辻褄の合うことが多いとは思った。航空機の飛行ルートが米軍指定の空域を不自然に回避していることや、米軍の演習場として日本国土が使われていること、横須賀基地や六本木ヘリポートにアメリカが自由に出入りできること、などは今まで全く知らなかった。
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このところ多忙につき、読感を書いている時間がない。
とりあえず、読みましたということで、読了日と評価のみ記載。
2018/8/5
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内容は為になるし面白い。
ただ、何かを主張する際には、一方的に証拠を並べるだけでは説得力は高くない。
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愕然とする。戦後の日本は占領が終わってからもずっとアメリカ(米軍)に支配されてきた,いや,支配が徐々に完成しつつあるという事実を,過去の文書を紐解き解釈することで明らかにする。日本で最上位にあるのは憲法でもなければ政府でもなく,米軍+官僚。キーワードは密約・朝鮮戦争。何とかしましょうよ。
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前著「日本はなぜ基地と原発を止められないのか」と
同様に、本来国民の安全や権利を守るべき憲法を超えて
も問題ない判例や米国との密約が存在していることを
告発する本です。
ポイントとなるのは、米軍が日本で自由に軍事行動を
行えるという密約を交わしている相手は「米国政府」
ではなく「米軍」であることです。
「米軍」相手であるがゆえに、本当のことが表に出に
くい構造になっていると著者は主張します。
最近のニュースで割とよく知られるようになった、羽田
空港上空の空域(実は大半が米国管理下の空域である
ので日本の航空会社はここを大きく迂回せざるを得ない)
を見る限りでは「本当かもな」と思ってしまう一冊です。
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内容は米軍基地や米軍人に対する裁判権を含む日米間の軍事関係。文体は軽く、前半はすらすら読める。後半は核心に迫るほど重くなっていくが、解き明かしていくカラクリは筋が通っている。
日本国憲法は、国連憲章との強い関連の中から生まれた。まだ太平洋戦争が始まっていない1941年8月、ルーズベルトとチャーチルは、アメリカが対日戦争に参戦することを前提として、英米が理想とする戦後世界の形を宣言した二ヵ国協定の大西洋憲章を結んだ。大西洋憲章の第8項には、武力使用の放棄、侵略的脅威を与える国に対する武装解除が書かれていた。1942年1月には、ソ連と中国を含めた26か国の連合国共同宣言を成立させ、第二次世界大戦を戦う体制を整えた。連合国の勝利が確実になった1944年10月には、米・英・ソ・中の4か国でダンバート・オークス提案をつくり、世界の安全保障は国連軍を中心に行い、米英ソ中の4大国以外の国は交戦権は持たないという原則が定められた。これをもとに、1945年4〜6月のサンフランシスコの会議で国連憲章がつくられた。1946年2月のロンドンで国連軍創設のための五大国の会議が始まった日に、マッカーサーが示した日本国憲法草案執筆のための3原則の中には、「日本はその防衛と保護を、今や世界を動かしつつある崇高な理念に委ねる」と書かれていた。日本国憲法の草案は誰がどのように書いたかまでわかっており、日本人が条文を書いた話は一切出てこない。
朝鮮戦争勃発時に日本を訪問中だった国務省顧問のジョン・フォスター・ダレスは、日本に全面的な戦争協力を約束させることを引き換えに、日本の独立に賛成することを軍部に説得し、日本のどこにでも必要な期間、軍隊をおくことを条件とした平和条約をつくることになった。ポツダム宣言には占領軍はただちに徹底すると書かれていたが、国連憲章第48条で定められた国連軍が編成されなかったため、暫定的に五大国が代わりに行うと書かれた同第106条を使って、国連の代表国であるアメリカとの間に安保条約を結ぶことによって米軍基地を置くことにした。
基地権や裁判権の密約のほかに、自衛隊は米軍の指揮の下で戦うという指揮権密約がある(古関彰一が1981年に朝日ジャーナルで発表)。1950年6月に始まった朝鮮戦争で、日本は様々な協力を求められていたことから、1951年1月に始まった独立交渉の中で、日本が米軍への軍事支援を継続する吉田・アチソン交換公文という条約を結んだ。占領終結直後に、日本の軍隊が米軍の指揮下に入って戦うことを米軍司令官から要請され、吉田茂首相が了承して密約が成立した。
占領下の在日米軍の法的地位を変えることなく、日本の独立後も軍事面では占領体制を継続するための政治的装置として、日米合同委員会が1952年に発足した。現在も月に2回ほど密室で行われ、国会に報告する義務はなく、議事録も公開されない。本会議と30以上の分科会で構成され、日本側の代表は外務省北米局長で、他のメンバーは各省のエリート官僚だが、アメリカ側の代表は在日米軍司令部副司令官で、他のメンバーは1人を除いてすべて軍人。最終決定権は米軍側(太平洋軍司令官)が握っている。日本側のメンバーは最高ポストの官僚たち���構成されているため、官僚は裏切ることはできない。さらに、法務省の大臣官房長は、その後、検事総長に就任することが多いため、影響力は司法にも及ぶことになる。鳩山由紀夫首相は、普天間基地の移設問題について協力を求めるために、外務省と防衛相から幹部を2人ずつ呼んで秘密の会合をもったが、翌日の朝日新聞でリークされた。首相すら官僚に裏切られる権力構造になっている。アメリカ側の軍人でない唯一のメンバーである在日米大使館の公使も、過去に何度も日米合同委員会を批判している。
米軍の特権についての条文が変更されると、その裏には日米合同委員会などで結ばれた密約が存在し、米軍の権利が損なわれることはなかった。占領終結時に発効した行政協定は、1960年の安保改定で地位協定に変更されたが、その裏側では「基地の問題についての実質的な変更はしない」という密約が結ばれていた。この米軍に対する治外法権を与えるために、最高裁、検察、外務省はそれぞれ裏マニュアルをつくっている。
アメリカとの間で米軍を国内およびその周辺の配備する権利を与える条約を結んでいるのは、日本のほかに韓国と台湾だけ。1979年に米中の国交が樹立した際に、台湾との国交は断絶して条約は失効した。日本と韓国がアメリカの軍事的支配下にあることが、アジアに冷戦構造が残っている最大の原因。著者は、突出した軍事力を維持し続け、国連憲章を無視した他国への軍事介入を繰り返しているのはアメリカだけであり、かつての敵であるロシアや中国の方がよほど自制的に振る舞っていると評する。
アメリカの海兵隊がアフガニスタンで使用した12種類の航空機の中で、オスプレイは全体の平均の41倍の事故率を記録している。普天間基地に配備されたオスプレイは、日本全国の6つのルートで低空飛行訓練を行っている。沖縄の北部訓練場の返還の見返りに高江周辺に移設されることになるヘリパッドは、高江の住民や家屋を標的に見立てた軍事訓練を行うためにつくられた。ベトナム戦争時代には、高江の住民がベトナム人の格好をさせられて軍事演習を行うベトナム村がつくられていた。
アメリカが集団的自衛権に基づく安全保障条約を結んでいるのは米州機構とNATOだけで、それ以外は個別的自衛権に基づいて協力しあう関係でしかない。日本が集団的自衛権を行使できるようになっても、アメリカと互いに血を流して守りあう関係になることはない。現在の日米関係では、憲法解釈を変えて海外へ派兵できるようになれば、米軍の司令官の下で従属的に使われるようになるだけ。
著者は、現在の日米関係は朝鮮戦争の混乱の中でできた不平等条約と結論付ける。基地権、裁判権は明らかに不平等だし、密約は法を逸脱している。官僚と軍人が行う日米合同委員会はいびつで権力構造を歪めている。基地周辺の住民は、この構造の犠牲にされているのだ。他国への軍事介入を繰り返すアメリカに追随し続けるのも、国際社会の一員として好ましくない。著者は、きちんとした政権をつくって、日本国内の既得権益層(安保村の面々)を退場させ、アメリカに対して改正することを交渉すればいいと主張する。
アメリカは、国際法の名のもとに、自分たちに都合のいい取り決めや政策を相手国にどこまで強要で��るかを議論しながら政策を決めていると、著者は評する。確かに、大西洋憲章から日本国憲法へと至る流れは見事だし、在日米軍を置くために国連憲章を用いる論理も狡猾ながらあっぱれだ。ただ、根にあるのは、自立するよりも、大国にすがって生きていこうとする日本人の性格と、その歴史で固められた国内体制にあるように思う。アメリカはそれをいいように利用しているのが実態なのだろう。それでも、高校生の教科書として使って欲しいと思うほどの、わかりやすく整理された内容だった。
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日本とアメリカの関係が現代の国際関係の中でいかに特殊か
われわれがいかにアメリカからの不合理な要求を受け入れているか
細かい取り決めや、情報公開されている密約。またその歴史的背景など
資料に基づいて客観的に論評しようとしている
日米の不公平は事実かもしれないが、それをどうしたいのかはよくわからない
知識として知っていたほうが話のタネにはなりそうだが、あまり生産性を感じなかった