投稿元:
レビューを見る
――
バネ座金過激派アンチ。
確信犯的に、間違いのないものを。
ある程度専門的な知識や技術を必要とする業界に居ると、それぞれの技術には流派というか流儀、みたいなものがあることが解ってくる。冗談めかして「それは◯◯流だねぇ」とか云ったりするのだけれど、実際のところ結構本気で信じていたりする。
前の職場に居たサイボーグ姉御もそうだし、いまの職場にいるバネ座金過激派アンチもそうなんだけれど、突き詰めた技術に神性が宿るというのはどうやら確かなようだ。
この方法でやらないと失敗する、この手順でやらないと意味がない。それはもう、宗教や信仰と同じ色をしていて。
小説にもそれはあるよな、と思う。特にSFやファンタジーの、緻密に組み上げられた設定には自然と信仰が宿るのだ。もちろんいま存在するものの延長線上にある信仰もあれば、それはそうなるよな、という想像力にガイドされた信仰もあるし、物語の設計上間違いなく生まれるだろう信仰もあるし。
そういうのがある小説が、好きです。
さて。
そういう意味では、得意分野の土俵に色々なテーマを取り込んで切り刻むこの短編集も、職人技である。2013年から2017年の間に書かれたとは思えないくらい、現代に切り込むSF短編集でした。
素直に面白く、洒脱で、肌寒く、熱い。
これよ、これ。☆3.9