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とりわけ猫好きでもなかった百?宅の庭に、ある日子猫が住み付くようになる。野良猫なのでノラと名づけて飼い始めるが、1年半を過ぎた頃、ふらりと外に出たまま帰らなくなる。
それ以来、ノラが寝ていた風呂の蓋の座布団に頭を付けては涙。「いい子だいい子だノラちゃんは」と妻に抱かれて合点のいかぬ顔をしていた姿を思い出しては涙々。雨風の強い日には「寒くないだろうか」と思い煩いさらに涙。延々と泣き続け、帰らぬノラを待ち詫びる日々を綴った日記。
読み始めの頃は百?に共感し思わずもらい泣きしてしまったが、あまりにいつまでも泣き続けているので段々と滑稽になってくる。嘆きっぷりが尋常ではない。これは今流行のペットロスだろう。当時百?は七十歳近かったらしいから、初老性の鬱もあったのかもしれない。
晩餐の席が寂しいと弟子や友人を呼びつけ、その前で滂沱し続けたり、新聞やラジオやさらには警察にまで捜索願を出す百?に、周りはほとほと困ったことだろうと思う。
その騒動の渦中にある本人が、混乱したままの気持ちを赤裸々に綴っている。ちょっと辟易するところもあるが、ストレートな感情描写が素晴らしく、ついつい読んでしまう。図らずも、百?の代表作になってしまった作品。(04.9.30記)。
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失われたノラを求めて、来る日も来る日も泣いている。ご飯も喉を通らない。読んでいて著者が心配になってくるくらい、いつも泣いている。
この本のせいで猫好きなイメージが強い内田先生ですが、本来は鳥好きなんだそうです。
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愛すべき頑固な老人と猫の話。
できれば百?先生のほかのエッセイをいくつか読了後し、心に「百?先生像」を作り上げてから読んでいただきたいと思う。
旧仮名に抵抗のない方には、中公文庫版をお勧め。そうでない方はちくま版でどうぞ。
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ノラやノラやといなくなった猫を想って泣く百?先生が可愛すぎる。読んでるこっちも胸がきゅうっと切なくなります。ノラとクルツの描写がすごく好き。
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猫嫌いの老人が愛猫家になる様がとても愛しい。
猫が失踪した後の狼狽振り、必死の祈り、いつまでたっても消えることのない喪失感には涙涙。
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雑記:田園。本屋。
http://ameblo.jp/pippu-t-takenoki/entry-10002899689.html
雑記:昼休み。訪問者。一服。
http://ameblo.jp/pippu-t-takenoki/entry-10002859255.html
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突然家出した猫を待ちわびる気持ちを、淡々とした日記のような文章の中で吐露した本。これは小説なのか…?猫を愛する者として、共感せざるを得ない一冊。
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いやぁ、もう、切ないのに何故かふふっと笑ってしまう傑作。いなくなった猫をひたすら待ってみる。探してみる。泣いてみる。そんなお話。
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猫好きは読めばわかる。猫好きじゃなくても動物好きなら多分わかるこの気持ち。そして猫を想って泣き続ける百間〈※正しくはもんがまえの中に月〉老の愛らしさよ。胸キュンものですぞ。
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野良猫「ノラ」の活き活きとした描写が印象的。表現の端々に、抑えきれない愛情がにじみ出ている。愛猫を失ったときの内田翁の悲嘆と、ある現代の作家の姿が重なった。「へッケ」を失った時の町田康である。彼の怪著『猫にかまけて』の原点がここにあったことを発見。
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内田百?を大好きになってしまった一冊。花火が上がるたびにノラが家に向かって帰ってくる!あのシーンはすごく響くよ。
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延々とノラを探し求める百鬼園氏の切実な姿が堪らない。「今日もまたノラが帰らない」「ノラやノラや」など、単純な言葉なのにその様子がありありと浮かぶ。
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猫好きなら読むべし。
突然消えた野良猫ノラが、とにかく大好きで、忘れられない!
何とか探し出そうと毎日奮闘する百?先生。延々と猫への思いを綴っています。
何てかわいいのだ。実は人間は猫に飼われているんだよ。
クルツが死ぬ場面は、涙無しに読めない。
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ノラやクルツをなくした百鬼園先生が痛々しく、哀しい。
でもそのお気持ちは猫好きとしてようく解ります。
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これは、作家「内田百?」の愛猫の失踪の顛末と、そのときの日記です。
動物を飼ったことの無い人が読んだら、「この人、どうかしちゃってるんじゃないの?」と思うこと間違いなし(笑)。
気持ちは痛い程わかるのだけれど・・・ 内田先生、ごめんなさい!思わず笑いがこみあげてきて、我慢できない箇所が何度もありました。
周りの人を巻き込んでの意気消沈ぶりもそうですが、ノラの回想場面では、あまりの猫っかわいがりブリに、噴出すことシバシバ。
刊行は、昭和32年!!!面白いものは、時代を超えるのですね。そして、猫(ペット?)を想う気持ちもまた、時代を超えちゃうのです。